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第三章
第64話 拗ねるアイギス
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「こちらが昇格の証であるギルドカードになります。大切に保管してください」
「ありがとうございます!」
王都の冒険者ギルドにてDランクの証明であるギルドカードを受け取る。
綺麗な銀色の厚みのあるカードだ。偽装防止の魔法印が内封されているらしい。
このカードがあれば次の目標である【地下深淵の塔】の挑戦権を得られる。
僕は大切に布に包んで鞄の中にしまう。ギルドから出るとルガンさんの姿が。
「ロロア。君もすぐにクランバルへと旅立つのか?」
「はい。クランバル行きの馬車の予約は取ってあるので。三日後に」
ガーベラ王国の隣のドワーフ一族が治めるリンドウ王国。
クランバルはそこの魔塔都市だ。ラティアと同規模の賑わいがある。
魔導武器の名産地としても有名だ。僕も新しい出会いを楽しみにしている。
「そうか。俺のような人間はこの国で精一杯だ。君の活躍を噂で聞ける日を楽しみにしている」
「ルガンさんならすぐに追いつけますよ! 僕も待っていますから!」
「まぁ、やるだけはやってみるさ」
ルガンさんはそう言って気恥ずかしそうに鼻を擦る。
次の昇格試験に向けて【星渡りの塔】で鍛え直すみたいだ。
Dランクに昇格したらもちろん、ルガンさんも【地下深淵の塔】を目指すはず。
「次に会える日を僕も楽しみにしていますね!」
「ああ、叶うなら【地下深淵の塔】で会おう。ロロアも元気でな!」
固い握手を交わして、僕たちは前向きな別れを告げる。
さてと、王都での残りの三日間を有意義に過ごさないと。
◇
「……まだアイちゃんは拗ねているのですか。盾なのに打たれ弱いですねぇ」
宿に戻ると妖精の身体に戻ったライブラさんが怒っていた。
クロスト戦での失敗を引きずったアイギスはまだ眠ったままだ。
「あまり言わないであげて。使い手にも問題があったんだから」
「いいえ、ロロアさんはまだ若く身体ができていないのですから。そこをアイちゃんが補わないと、神話級なんて遥か先ですよ! このままでは盾に代わる手段を探さないといけません。鎧なんてどうでしょうか?」
「鎧は足が遅くなるから。僕はずっとアイギスに守って欲しいかな」
「ここまでマスターに言われて、まだ出てこないのですか! 強情ですね!」
ライブラさんがやれやれと、挑発的な発言を繰り返す。
そうする事で怒らせて人の姿に戻そうとしているみたいだ。
本人は認めないだろうけど、身体を張った深い愛情だ。
「いつも守ってくれてありがとう」
僕は【アイギスの神盾】を心を込めて丹念に磨く。
裏側まで隅々を、汚れやすい持ち手の部分も入念に。
王都で高級研磨剤を買ってきた。
今日一日は彼女たちの身体を労わる時間だ。
「とろんさん、いつ目覚めるのでしょうか?」
隣ではエルが真似してトロンを磨いている。
彼女も改造されてからまだ眠ったままだ。
ライブラさん曰く、トロンは新しい身体に適応している最中らしい。
【擬人化】もそれに合わせて更新しないといけないので時間が掛かるとか。
「いいなぁ……」
コクエンが指を咥えて羨ましそうに正座している。
「コクエンもあとで磨いてあげるね? ピカピカにしてあげるよ」
「ぶふっ、ご、ご主人様の指で……私めの身体を……?」
想像だけで鼻血を出していた。後ろに倒れて幸せそうに痙攣している。
「エルも磨いて欲しいです!」
「順番にね。ライブラさんは?」
「私様は既に世界一輝いている妖精ですから。ですが、ロロアさんがどうしても私様を可愛がりたいとおっしゃるのでしたら仕方がありません。特別ですよ」
そうは言いつつ、まんざらでもない表情でちらちらとこちらを見ている。
「それじゃライブラさんは最後で――よし完成! どうだろう」
【アイギスの神盾】を机の上に置いて遠くから眺める。
照明の光を反射して眩しく輝いている。自分ながらいい仕事をした。
「見た目だけでなく気持ちが籠った仕上がりですね。見えないところまで行き届いています」
細かいところまでじっくり確かめながら、ライブラさんが褒めてくれる。
「これで少しは気が晴れてアイギスも戻りやすくなるかな?」
「アイちゃんの事です、余計に気を遣わせたと自分を責めるのでは?」
「そ、そうかも」
やる事すべてが逆効果な気がしてきた。あとは僕は何もせず見守ろう。
「次は、この子の番だ」
【創造の樹杖】を取り出して杖に組み込まれた宝珠を拭いていく。
「新人ちゃんにして初っ端から【理の破壊者】を相手に大活躍でしたね」
「うん、仮拠点から足止めまで記憶した造形を再現できるから可能性が無限大だね」
「……じぃ」
コクエンの視線が鋭くなる。優秀な新人にライバル意識が芽生えたのかな。
「ロロアさんもアイテムの数に対応するのが難しくなってきたのではないでしょうか?」
「それはあるかも」
「では、新人ちゃんはコクエンちゃんに託しましょう!」
「ええっ、私めがですか!?」
ライブラさんの提案にコクエンの背筋が伸びる。
「コクエンちゃんに足りていない自信を付けるには新人を付けるのが一番です。常に見られている意識を持ちましょう。いいですか、貴方はもう先輩なのですよ! しっかりするのです!」
「あひっ……」
エルもトロンと組んでから一気に成長したから。
相乗効果を狙うのは悪くないかな。僕もその提案に乗っかる。
ライブラさんも周囲の空気を読むのが上手だと思う。
コクエンの嫉妬心を上手く利用してセットにするなんて。
「はい。途中からだけど、コクエンがこの子を仕上げてあげて」
「わ、わわ……」
【創造の樹杖】を落としそうになりながらも受け取り。
コクエンは恐るおそる磨き始める。上手くいくといいな。
「ありがとうございます!」
王都の冒険者ギルドにてDランクの証明であるギルドカードを受け取る。
綺麗な銀色の厚みのあるカードだ。偽装防止の魔法印が内封されているらしい。
このカードがあれば次の目標である【地下深淵の塔】の挑戦権を得られる。
僕は大切に布に包んで鞄の中にしまう。ギルドから出るとルガンさんの姿が。
「ロロア。君もすぐにクランバルへと旅立つのか?」
「はい。クランバル行きの馬車の予約は取ってあるので。三日後に」
ガーベラ王国の隣のドワーフ一族が治めるリンドウ王国。
クランバルはそこの魔塔都市だ。ラティアと同規模の賑わいがある。
魔導武器の名産地としても有名だ。僕も新しい出会いを楽しみにしている。
「そうか。俺のような人間はこの国で精一杯だ。君の活躍を噂で聞ける日を楽しみにしている」
「ルガンさんならすぐに追いつけますよ! 僕も待っていますから!」
「まぁ、やるだけはやってみるさ」
ルガンさんはそう言って気恥ずかしそうに鼻を擦る。
次の昇格試験に向けて【星渡りの塔】で鍛え直すみたいだ。
Dランクに昇格したらもちろん、ルガンさんも【地下深淵の塔】を目指すはず。
「次に会える日を僕も楽しみにしていますね!」
「ああ、叶うなら【地下深淵の塔】で会おう。ロロアも元気でな!」
固い握手を交わして、僕たちは前向きな別れを告げる。
さてと、王都での残りの三日間を有意義に過ごさないと。
◇
「……まだアイちゃんは拗ねているのですか。盾なのに打たれ弱いですねぇ」
宿に戻ると妖精の身体に戻ったライブラさんが怒っていた。
クロスト戦での失敗を引きずったアイギスはまだ眠ったままだ。
「あまり言わないであげて。使い手にも問題があったんだから」
「いいえ、ロロアさんはまだ若く身体ができていないのですから。そこをアイちゃんが補わないと、神話級なんて遥か先ですよ! このままでは盾に代わる手段を探さないといけません。鎧なんてどうでしょうか?」
「鎧は足が遅くなるから。僕はずっとアイギスに守って欲しいかな」
「ここまでマスターに言われて、まだ出てこないのですか! 強情ですね!」
ライブラさんがやれやれと、挑発的な発言を繰り返す。
そうする事で怒らせて人の姿に戻そうとしているみたいだ。
本人は認めないだろうけど、身体を張った深い愛情だ。
「いつも守ってくれてありがとう」
僕は【アイギスの神盾】を心を込めて丹念に磨く。
裏側まで隅々を、汚れやすい持ち手の部分も入念に。
王都で高級研磨剤を買ってきた。
今日一日は彼女たちの身体を労わる時間だ。
「とろんさん、いつ目覚めるのでしょうか?」
隣ではエルが真似してトロンを磨いている。
彼女も改造されてからまだ眠ったままだ。
ライブラさん曰く、トロンは新しい身体に適応している最中らしい。
【擬人化】もそれに合わせて更新しないといけないので時間が掛かるとか。
「いいなぁ……」
コクエンが指を咥えて羨ましそうに正座している。
「コクエンもあとで磨いてあげるね? ピカピカにしてあげるよ」
「ぶふっ、ご、ご主人様の指で……私めの身体を……?」
想像だけで鼻血を出していた。後ろに倒れて幸せそうに痙攣している。
「エルも磨いて欲しいです!」
「順番にね。ライブラさんは?」
「私様は既に世界一輝いている妖精ですから。ですが、ロロアさんがどうしても私様を可愛がりたいとおっしゃるのでしたら仕方がありません。特別ですよ」
そうは言いつつ、まんざらでもない表情でちらちらとこちらを見ている。
「それじゃライブラさんは最後で――よし完成! どうだろう」
【アイギスの神盾】を机の上に置いて遠くから眺める。
照明の光を反射して眩しく輝いている。自分ながらいい仕事をした。
「見た目だけでなく気持ちが籠った仕上がりですね。見えないところまで行き届いています」
細かいところまでじっくり確かめながら、ライブラさんが褒めてくれる。
「これで少しは気が晴れてアイギスも戻りやすくなるかな?」
「アイちゃんの事です、余計に気を遣わせたと自分を責めるのでは?」
「そ、そうかも」
やる事すべてが逆効果な気がしてきた。あとは僕は何もせず見守ろう。
「次は、この子の番だ」
【創造の樹杖】を取り出して杖に組み込まれた宝珠を拭いていく。
「新人ちゃんにして初っ端から【理の破壊者】を相手に大活躍でしたね」
「うん、仮拠点から足止めまで記憶した造形を再現できるから可能性が無限大だね」
「……じぃ」
コクエンの視線が鋭くなる。優秀な新人にライバル意識が芽生えたのかな。
「ロロアさんもアイテムの数に対応するのが難しくなってきたのではないでしょうか?」
「それはあるかも」
「では、新人ちゃんはコクエンちゃんに託しましょう!」
「ええっ、私めがですか!?」
ライブラさんの提案にコクエンの背筋が伸びる。
「コクエンちゃんに足りていない自信を付けるには新人を付けるのが一番です。常に見られている意識を持ちましょう。いいですか、貴方はもう先輩なのですよ! しっかりするのです!」
「あひっ……」
エルもトロンと組んでから一気に成長したから。
相乗効果を狙うのは悪くないかな。僕もその提案に乗っかる。
ライブラさんも周囲の空気を読むのが上手だと思う。
コクエンの嫉妬心を上手く利用してセットにするなんて。
「はい。途中からだけど、コクエンがこの子を仕上げてあげて」
「わ、わわ……」
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