最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第66話 魔塔都市クランバル

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 ガーベラ王国の国境を越え、リンドウ王国の山脈地帯に入る。
 魔塔都市クランバルは、そんな山々に囲まれた立地に栄えていた。

 馬車を降りて砂利道を歩く。土埃臭さが街を漂っている。
 標高があるので少し息苦しさを感じながら人混みに入っていく。

「小さい人がたくさんいます。あれがどわーふさんですか?」

 街中には子供体型ながら無精髭を生やした人たちを見掛ける。
 筋肉質で装備も頑丈そうだ。共通して角のある兜を付けている。

 あとはちょっとお酒臭い。酒場の方が混み合っていて騒がしい。

「エルエル、ドワーフ族は怒ると手が付けられません。特に身長についてツッコむのは禁忌とされています。酔っ払いどもに山頂から投げ飛ばされますよ!」

「あひっ、恐ろしい一族です……!」

「つまり発言には気を付けようね?」

「はーい!」
「はーい!」

 エルとアイギスが同時に手を上げて元気よく返事する。
 幼児化してもあまり手が掛からないところはアイギスらしい。 

「まずはギルドで魔塔入場の手続きをしてくるよ。支援も申請するから時間が掛かるかも」

 普段ならこの間に、アイギスに宿の予約を取ってもらうところだ。
 いつも別行動時は僕の代わりにサブリーダーとして活躍してくれたけど。

「コクエン頼めるかな? 宿の場所は既に決まっているから」

 目的地までの地図と、金貨の入った袋を手渡す。
 お勧めの場所をレイリアから教えてもらっていた。

 人見知りを克服する訓練はしているけど初めての街だ。
 コクエンはごくりと唾を呑み込んで。後輩の杖を握り締める。

「は、はいっ。私めにお任せください! 必ずや任務を遂行して見せます!」 

「宿の予約だけで大袈裟な……。私様もついているのでご安心を」

 ライブラさんが一緒なら安心だ。

「二人ともよろしくね。アイギスは僕とエルが見ているから」

「ろろあ、える、いこっ」

「あいぎすさん。エルとお手てを繋ぎましょう!」

 アイギスは幼児化してから僕にべったりだ。
 小さい子の扱いが上手なエルと一緒にギルドを目指す。

 ◇

「ロロアさん! お久しぶりです!」

 クランバルの冒険者ギルドに入ると。
 見覚えのあるエルフお姉さんが出迎えてくれた。

「あれ、ヘラさん? どうしてクランバルまで!?」
 
「もちろん私はロロアさんの専属ですから。どこまでもついていきますよ」

 そう言ってヘラさんは僕に耳打ちしてくる。
 
「実は私、王国公認を得まして。ロロアさんはまだ公にはされていませんが、ガーベラ王国の大切な代表冒険者です。他国のギルド関係者に触れられる機会を減らさないといけません。引き抜きとかも当然あり得る話ですし」

 リンドウ王国でも有名になれば王族に目を付けられる可能性があるんだ。
 それを未然に防ぐのがヘラさんの任務らしい。王国公認って大出世だよね。

「なるほど。これからもヘラさんにはご足労をお掛けします」

「いえいえ、それがお仕事ですから。王族と繋がってお給料も以前の三倍になりましたし、ロロアさんのご活躍を応援しながらタダで世界を飛び回れるのです。役得ですよ!」

 現金な話だけど、ヘラさんも充実した生活を送れているようで。
 感謝の印に何度も抱き締められ。改めてDランク昇格を祝ってもらった。

 落ち着いた頃に、さっそく【地下深淵の塔】の入場手続きと支援の申請を行う。

 【星渡りの塔】と違い、支援を受け取れるのは三十階層までらしい。
 そこまで支援物資を運ぶ労力が掛かり過ぎて、採算が取れないのだとか。

 地上にある百階層から地下三十階層までの間だ。
 前回と違い、地下におりていく形式なのでややこしい。
 
「当然ですが、【星渡りの塔】とは別次元の難易度です。魔物の脅威度もそうですが、長くて数年に及ぶ長期間の過酷な攻略となるはずです。物資の調整だけでなく。精神面、仲間との信頼を維持するのも大変な環境です」

 どれだけ信頼している仲間と組んでいても。
 道中必ず一度はパーティ解散の危機に陥るらしい。

 常に緊張感を保ちながら本音で向き合うから。
 だからこそ、踏破できたパーティは街に名を残す。

 魔塔の前には栄光を刻んだ冒険者を称える像が並んでいるとか。

「今年はまだ踏破者が出ていません。去年でもたった二パーティ。八名だけだと伺っています」
 
「それじゃ、僕たちが今年最初の栄光を得られるように頑張りますね!」

「とても心強いお言葉です。ですが残念ながら今年はあと四ヵ月しかありませんよ?」

「あっ、そうでした。四ヵ月って僕たちが【星渡りの塔】踏破に掛かった時間よりも少ないですね」

 冒険者をしていると地上世界の時間感覚を忘れてしまう。
 【星渡りの塔】攻略時より二倍の速度で進まないと間に合わない。

「ですが、ふふっ。ロロアさんなら不可能を可能にしてしまうような気がしますね」

 ヘラさんはそう言って提出した書類をまとめていく。
 期待させてしまったけど。人間の足では間に合わないよね。

「むぅ……」

 アイギスが僕の後ろで頬を膨らませている。
 僕がヘラさんと話している間ずっとこの調子だ。

「えっと、私なにか用件でも? アイギスさん」

「ろろあをとらないで」

 僕の腕を引っ張って睨みつける。

「あの……ロロアさん、彼女は?」

 ヘラさんがアイギスの豹変ぶりに困惑している。
 直接関わった機会は少ないけど、明らかに変に見えるよね。

「あいぎすさんは子供になってしまったんです!」

「精神干渉の呪いでしょうか? 私もエルフですし呪い解除のお手伝いはできますが」

「そういう大袈裟なものではなく自分を自分で追い込んでしまったというか」

「な、なるほど。……呪いでなければお役に立てる事はないですね」

 逆に呪い関係で何かあればヘラさんを頼れるんだ。

「とにかく、申請は終わりましたので。魔塔攻略、頑張ってください!」

「はい! ありがとうございました」

 ヘラさんにお礼を伝えてギルドをあとにする。
 するとすっかりアイギスはご機嫌な状態に戻った。
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