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第三章
第106話 砂漠の移動要塞
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休息所で一晩を過ごした後、運搬ゴーレムに乗り込んで砂漠地帯を走る。
僕たちの後方には【深淵化】した魔物の群れが。まともに相手してられない。
「おぉ……数えられないくらいたくさんです!」
「えいえい、足止めです~」
ユグが地面に妨害用の木柵を設置して距離を離していく。
魔物同士がぶつかり合い。争いが生じた。勢いが一時的に落ちる。
「一体、この階層の生態系はどうなっているんだ……」
それぞれに住処が違う魔物たちが同じ砂漠地帯に集結している。
自発的に集まったとは思えない。何者かに誘導されていると考えた方が。
「どこかに集団を操る統率者が潜んでいるはずです。まずはその者を討伐しましょう!」
魔物は魔物で縄張り争いなどを繰り返す生物。
一つの目的に団結するような性質は持っていない。
ライブラさんの言う通り、全体を指揮する誰かが隠れている。
「しかし参謀。辺りは見晴らしのいい砂漠ですが、それらしき統率者の存在はありません!」
コクエンは両目を凝らして周囲を隈なく探っている。
狙撃手の目を持つトロンだって。二人の監視を掻い潜れるものなのかな。
「……目に見えるものだけがすべてじゃない。砂漠で隠れられる場所といえば……」
僕はゴーレムが走行している砂地を見下ろす。
もしかして、統率者は地中に潜んでいるのでは?
「ティアマトさん!」
「了解した」
説明するまでもなく、ティアマトさんが風の力を地中に送り込む。
段階的に揺れが増していき、ゴーレム上でも縦に振動が伝わってきた。
「――正解だったみたいだ」
遠方で耳の鼓膜が破裂しそうなほどの爆音が連続した。
「おおお……揺れが激しく……! みなさん何かに掴まってください!」
「ライブラ様、ゴーレムの姿勢制御をお忘れなく~」
「見てください! おっきなお魚さんです!」
エルが指差す先には、巨大な砂漠鯨が浮かび上がっていた。
サンドホエール。通常種の魔物の中では最上級の巨体を誇る。
「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオ」
鳴き声一つで砂漠に噴水が幾つも吹きあがっていた。
「はひっ……空が真っ暗に、こんなのが下に潜んでいたのですかぁ!?」
「おいしそう……」
「見ろ、口元から零れ落ちているのは雑兵どもだ」
黒い影が地面に向けて降り注いでいる。
一つ一つが魔物だとすれば、とんでもない数だ。
「まさに移動要塞ですよ。いつまでも止まらない増援にも納得です!」
「ヴヴヴヴオオオオオオオオオオオン」
サンドホエールは尾ビレを曲げて、進行方向を変える。
僕たちを上から押し潰そうとしているんだ。要塞が落ちてきた。
「ひぃゃひっ、ど、どどどうしましょう!?」
「落ち着いて。相手が空なら、こちらも空を飛べばいいんだ!」
「ええ、小回りが利く分こちらが有利ですよ!」
「飛ばすぞ。振り落とされるな」
「いつでもどうぞ~」
「わぁぁぁい!」
運搬ゴーレムの背中に局所的な暴風が駆け抜ける。
猛スピードで砂漠を走り、創造領域内のレールに乗った。
「ごちそう」
一気に上空を飛んだ。間髪入れずにトロンが雷光砲撃を放つ。
稲妻の光線がホエールの脚ビレを掠った。焼けた臭いを漂わせる。
巨体に対して攻撃力が足りない、けど僅かに姿勢が崩れてひっくり返った。
自分で自分の巨体を制御するのが難しいみたいだ。地上の魔物が潰されてる。
「トロンよ、無茶をするな。空中で制御を乱すと命取りなのだぞ」
「ごめん、なさい」
反動に対して風の保護を纏わせてティアマトさんが窘める。
気付かないところでティアマトさんの補助にいつも助けられてる。
「さて、反撃開始といきますか。近付きますよ!」
ライブラさんが運転棒を回して、ゴーレムがゆっくりと弧を描いて反転。
大地に落ちたサンドホエールに接近する。コクエンがフードを深く被る。
「ご主人様、行って参ります!」
「気を付けてね」
コクエンが背面から垂直に落ちていく。サンドホエールの背中に着地した。
座礁した鯨を手刀で刻んでいく。小さな炎が各地から燃え盛り。規模が増す。
「エルもついていきます! わわわ」
「だ、大丈夫……行っちゃった」
新しく手に入れた槍を持って、エルも回転しながら落ちていった。
武器の重さに負けて頭から着地していたけど。元気よく走っている。
「主人よ。これで上手くいくと思うか?」
「んー。あのサンドホエールが運搬役なのは間違いないはずですけど。統率者ではないと思います」
一応、これで増援は止まるだろうけど。肝心なところが不明のまま。
「だろうな。しかし地中にはこれ以上の反応はない。隠れる場所は皆無だ」
「逃げた、と考えるべきでしょうかね?」
「ティアマトの監視すら抜ける相手ですか……。また面倒な状況になりそうですね」
下を確認すると、コクエンとエルが手を振っている。
無事にサンドホエールを討伐し終えたみたいだ。
あくまで運び屋なだけでそこまで強くはなかった。
「とにかくこの階層は攻略完了だね。少しずつ見えない統率者を追い詰めていこう!」
僕たちの後方には【深淵化】した魔物の群れが。まともに相手してられない。
「おぉ……数えられないくらいたくさんです!」
「えいえい、足止めです~」
ユグが地面に妨害用の木柵を設置して距離を離していく。
魔物同士がぶつかり合い。争いが生じた。勢いが一時的に落ちる。
「一体、この階層の生態系はどうなっているんだ……」
それぞれに住処が違う魔物たちが同じ砂漠地帯に集結している。
自発的に集まったとは思えない。何者かに誘導されていると考えた方が。
「どこかに集団を操る統率者が潜んでいるはずです。まずはその者を討伐しましょう!」
魔物は魔物で縄張り争いなどを繰り返す生物。
一つの目的に団結するような性質は持っていない。
ライブラさんの言う通り、全体を指揮する誰かが隠れている。
「しかし参謀。辺りは見晴らしのいい砂漠ですが、それらしき統率者の存在はありません!」
コクエンは両目を凝らして周囲を隈なく探っている。
狙撃手の目を持つトロンだって。二人の監視を掻い潜れるものなのかな。
「……目に見えるものだけがすべてじゃない。砂漠で隠れられる場所といえば……」
僕はゴーレムが走行している砂地を見下ろす。
もしかして、統率者は地中に潜んでいるのでは?
「ティアマトさん!」
「了解した」
説明するまでもなく、ティアマトさんが風の力を地中に送り込む。
段階的に揺れが増していき、ゴーレム上でも縦に振動が伝わってきた。
「――正解だったみたいだ」
遠方で耳の鼓膜が破裂しそうなほどの爆音が連続した。
「おおお……揺れが激しく……! みなさん何かに掴まってください!」
「ライブラ様、ゴーレムの姿勢制御をお忘れなく~」
「見てください! おっきなお魚さんです!」
エルが指差す先には、巨大な砂漠鯨が浮かび上がっていた。
サンドホエール。通常種の魔物の中では最上級の巨体を誇る。
「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオ」
鳴き声一つで砂漠に噴水が幾つも吹きあがっていた。
「はひっ……空が真っ暗に、こんなのが下に潜んでいたのですかぁ!?」
「おいしそう……」
「見ろ、口元から零れ落ちているのは雑兵どもだ」
黒い影が地面に向けて降り注いでいる。
一つ一つが魔物だとすれば、とんでもない数だ。
「まさに移動要塞ですよ。いつまでも止まらない増援にも納得です!」
「ヴヴヴヴオオオオオオオオオオオン」
サンドホエールは尾ビレを曲げて、進行方向を変える。
僕たちを上から押し潰そうとしているんだ。要塞が落ちてきた。
「ひぃゃひっ、ど、どどどうしましょう!?」
「落ち着いて。相手が空なら、こちらも空を飛べばいいんだ!」
「ええ、小回りが利く分こちらが有利ですよ!」
「飛ばすぞ。振り落とされるな」
「いつでもどうぞ~」
「わぁぁぁい!」
運搬ゴーレムの背中に局所的な暴風が駆け抜ける。
猛スピードで砂漠を走り、創造領域内のレールに乗った。
「ごちそう」
一気に上空を飛んだ。間髪入れずにトロンが雷光砲撃を放つ。
稲妻の光線がホエールの脚ビレを掠った。焼けた臭いを漂わせる。
巨体に対して攻撃力が足りない、けど僅かに姿勢が崩れてひっくり返った。
自分で自分の巨体を制御するのが難しいみたいだ。地上の魔物が潰されてる。
「トロンよ、無茶をするな。空中で制御を乱すと命取りなのだぞ」
「ごめん、なさい」
反動に対して風の保護を纏わせてティアマトさんが窘める。
気付かないところでティアマトさんの補助にいつも助けられてる。
「さて、反撃開始といきますか。近付きますよ!」
ライブラさんが運転棒を回して、ゴーレムがゆっくりと弧を描いて反転。
大地に落ちたサンドホエールに接近する。コクエンがフードを深く被る。
「ご主人様、行って参ります!」
「気を付けてね」
コクエンが背面から垂直に落ちていく。サンドホエールの背中に着地した。
座礁した鯨を手刀で刻んでいく。小さな炎が各地から燃え盛り。規模が増す。
「エルもついていきます! わわわ」
「だ、大丈夫……行っちゃった」
新しく手に入れた槍を持って、エルも回転しながら落ちていった。
武器の重さに負けて頭から着地していたけど。元気よく走っている。
「主人よ。これで上手くいくと思うか?」
「んー。あのサンドホエールが運搬役なのは間違いないはずですけど。統率者ではないと思います」
一応、これで増援は止まるだろうけど。肝心なところが不明のまま。
「だろうな。しかし地中にはこれ以上の反応はない。隠れる場所は皆無だ」
「逃げた、と考えるべきでしょうかね?」
「ティアマトの監視すら抜ける相手ですか……。また面倒な状況になりそうですね」
下を確認すると、コクエンとエルが手を振っている。
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