最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第三章

第112話 一網打尽

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「うわっ!?」

 足元から木杭が飛び上がった。衝撃で左に傾くと今度は木矢が。
 前方に大きく飛び込むと、先程僕が立っていた場所が悲惨な状態に。

 偽ティアマトを倒してからまだ数分も経っていないというのに。

「今度はユグの偽物かっ!」

「無力な人間よ。お前はここで朽果てるのだ!!」

 本物とかけ離れた口調で、偽ユグが創造領域を展開する。
 単純な力押しとは違う、ユグの搦手は僕にとっては天敵だ。 

 足を奪われる前に速攻を掛けないと、もう一度スキルリンクを――

「ぐうっ、な、なんだこれは、うごがががががががああああああああああ」

「えっ?」

 突然、偽ユグの体内から無数の蔦が伸びた。天まで伸びていく。
 生きたまま植物に身体を侵食され、偽物は白目を剥いて絶命している。

 頂上で大きな花が咲く。真ん中からもう一人のユグが出現した。
 纏うのは純白の衣。彼女は挑発的な瞳で地上を、僕を見下ろしている。

「ふふふ、わたくしの偽物はおろか。今度はロロア様に化けるだなんて。とんだ命知らずですね。その罪、死をもって償うのです」

 言葉遣いから察するに本物だ。いつも笑みを崩さないユグが激怒している。
 杖を僕に突きつけて創造領域を構築して。って、見惚れている場合じゃない。

「違うよ、僕は本物だよ!」

「偽物はみなそう答えるのです。散りなさい」

「わわっ」

 次々と地面から這い出てくる槍を躱す、巨大花から種が零れ落ちた。
 種からは凶悪な臭いを放つ植物が宿った、指先から痺れが全身に回る。

「くっ、足が……動かない。やっぱりユグとは相性が悪い……」

 盾では臭いは防げないし、目に見えず走って逃げるというのも難しい。

「偽物とはいえ、主であるロロア様を害すのは抵抗がありますね」

 きっとここまで偽物と戦い続けたのだろう。ユグの疑心暗鬼が止まらない。 
 とはいえ言葉通り、トドメを刺すのを躊躇っている様子が伺えた。まだ間に合う。 

「落ち着いて、僕は本物だよ。証拠もあるんだ」

「……証拠、ですか」

 僕は痺れる腕を庇いつつ、アイギスの神盾を見せる。

「それは、アイギス様ではありませんか。まさか本物のロロア様で……?」

 するとユグの表情が変わった。元の優しい姿に――

「させるか!!」

 勇ましい女性の声。僕の背後から風の刃が殺到した。
 ユグは瞬時に植物を盾に後ろへと下がった。怒りを取り戻す。 

「主人よ、無事だったか」

「ティアマトさん!?」

 本物のティアマトさんが、僕の前に立ちユグと相対する。

「やはり罠、でしたか。偽物は姑息な真似をするものです」

「貴様こそ。偽物の分際で、我の主人を手に掛けようとするとは万死に値するぞ」

「ちょ、ちょっと待って。冷静に、どちらも本物だよ!」

 間に入って落ち着くように説得しようとすると。
 遠方から雷光弾が飛んできた。偽トロンだ。偽コクエンも居る。

「醜く争え」

「本物は私だ」

 偽ティアマトに偽ユグのおかわりまで。もうぐちゃぐちゃだった。
 次々と模倣する者ドッペルゲンガーが集まってくる。もはや僕の力では止められない。

「主人よ、我の傍から決して離れるな」

 本物のティアマトさんが、風海神龍ティアマトを召喚した。
 対するユグは巨大樹から蔦を伸ばす。嵐と植物の衝撃が世界を揺らす。

 四方から雷光砲撃が飛んでくる。ティアマトさんが僕を抱え飛翔。
 接近してくる偽コクエンを蹴り飛ばし、本物のユグへと龍と共に迫る。

「風海神龍よ、奴を根元から食い破れ!」

「世界樹の化身よ、主を騙る愚か者へ神の裁きを!」

 伝説の龍が咆哮し、対して伝説の巨大樹が立ちはだかる。
 ティアマトさんとユグの全力がぶつかり合う――はずだった。

「あれ……?」

 本物同士。両者の全力はぶつかる直前で、見事に交差した。
 そのままこの場に集っている本物の偽物に向かって降り注ぐ。
 
「ぐぎあ―――――」

「ごああ―――――」

 数十居た模倣する者たちが悲鳴をあげて消滅していく。
 残されたのは僕と、本物の二人。あとは荒れた地が続く。

「ロロア様、ご無事でなによりです~」

 何事もなかったかのように、ユグはのほほんと笑みを浮かべていた。

「これで、大半の偽物を片付けられたな」

 ティアマトさんも、何食わぬ顔でユグと話している。

「偽物様は、共通して調子に乗りやすい性格のようでしたから~力を自覚したばかりの幼子のように」

 うん。僕もわかっている。これは最初から二人の作戦だったって事は。
 敵に仲間割れだと思わせて、便乗してきた連中を一網打尽にするという。

「無事で何より~じゃないよっ! 僕は、本気で怖かったよ!!」

 自分が死ぬという怖さよりも。どちらかが死ぬのでは、という恐怖で。
 しかも仲間殺しだ。過呼吸気味になる身体を落ち着かせ、僕は地面に座る。

「ロロア様、ご心配をお掛けしてしまい申し訳ございません。わたくしたちは正常ですよ~」

「他に手が思いつかなかったのでな。趣味が悪かったのは自覚している」

 二人に支えられて立ち上がる。安心したら今度は笑いが出てきてしまった。

「もういいよ。二人が無事だったのなら。今度同じ作戦を取る際は、事前に説明してね?」
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