ギルドを追放された【ぼっち】だけど、スキル【自動生成ダンジョン】がSSSランクの魔剣や友人を生み出してくれました。

お茶っ葉

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21話 馬車の旅

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 車輪がコロコロと音を鳴らし車体が上下に揺れている。外の景色がゆったりと変化していた。
 俺たちは今、たまたま空いていた馬車に乗せてもらっている。ハーミルから出てすぐの事だ。
 交渉にダンジョンで拾った骨董品を渡すと、御者が驚きのあまりひっくり返っていたのが記憶に新しい。

「あんなにもたくさん渡して。もったいない気がしますけど……」

 クレルがそう言って俺の顔をじっと見つめてくる。少しむっとしているような。
 最初に出会った時は神秘的な雰囲気もあり。感情を表に出さない子なのかと思っていたが。
 考えていることが顔に出やすいところは、フランの姉だなって思う。

「薬草いっぱい採れましたね。フランも頑張りました!」
 
 フランは床から浮いた足を、ぶらぶらと揺らし旅を楽しんでいた。
 ニコニコと採ったばかりの薬草を眺めている。この辺では珍しい上薬草でいっぱいだ。
 
「高価な品を見せびらかしていては、悪い人たちに目を付けられますよ?」
「うう、残念です。もっと見ていたかったです……」
「次の村に着いたら、薬剤師を探して薬を調合してもらおう。中級回復薬はよく効くからな」 
「そうですね。カイルさんの怪我もまだ完治していませんし」
「なにを言っているんだ。クレルが一番酷い怪我をしているんだからな?」

 応急処置で両手両足に包帯を巻いたクレルが強がっている。

「私は剣精ですから。フランのマスターを優先するのは当然です」
「それ以前に女性だろ。放置している俺が悪い奴みたいになるじゃないか。譲らんぞ」
「も、もう……。大丈夫だと言っていますのに」
「なくなったらまた採りにいけばいいさ」

 ダンジョンは宝の宝庫だ。
 世界中の冒険者たちが我先にと殺到し。国もその資源を欲しがり権利を主張する。
 俺の周りに湧き出るダンジョンはその全てが手付かずのまま。つまり一人占めなのだ。

 入るたびに形状が変わるので、そこだけが唯一の欠点なのだが。
 時間の許す限りは無限の可能性に満ちた能力といえる。戦闘向けじゃないけどな。

 俺も未だにこの能力の全貌を掴めていないが。
 知らないまま置いておく訳にもいかないので。最近も暇なときは調査を続けている。
 クレルが仲間になった事で、散策範囲が広がり上薬草やら珍しい宝も見つけられるようになった。

 エルフの詩は万能だ。
 魔物を眠らせる子守唄のおかげでドラゴンの縄張りも怖くない。
 対象が多いと魔力が分散するらしく。群れには効果が薄いらしい。三人でも油断はできないか。

「カイルさんがスキルを持たない事にも驚かされましたが……。ですが、あのダンジョンはスキルと呼んでもいいのではないでしょうか? もしかしたら待遇が改善されるかもしれません。これ以上……誰かに糾弾されずに済むはずです」
「それを決めるのは俺たちの創造主様だし。その忠実な信徒である教会の連中だからなぁ。調べてもらってそれで結局、間違いでしたは笑い事では済まされないぞ。……つまらない事に巻き込みたくない」

 死を超越せし者との戦いのあと。
 クレルには一通りの説明はしていたが。
 それから彼女はやけに俺の身を心配してくれるようになった。

 可愛い妹の、フランのマスターだからというのもあるだろうが。
 何というか。同族意識に近いものを感じる。そういえば彼女も捨てられたんだっけ。

 戦場で傷つき仲間に見捨てられた彼女と、両親に捨てられた俺。
 こういう負の感情、傷の舐め合いはよくない気がするが。止められないよな。

「それに今さらスキルにこだわりなんてないからな。というか、それで今まで冷遇してきた連中に手のひらを返されても反応に困る。お前たちがいてくれるだけで。俺はそれで満足だ」
「……カイルさん」

 だからなんで、そんな泣きそうな顔をしているんだ。
 困ったな。実際、俺はもうどうでもいいと思っている。受けた痛みなんて忘れたし。

 一番欲しかった友人も、剣精だけど二人も見つけた。オッサは……よし三人にしておこう。
 そうだ。ロクも入れたら四人だ。なんて恵まれているんだろう。生きているって本当素晴らしい。

「マスター。そんなにスキルが無いことがいけないんですか? マスターは正義の味方なのに……」

 フランが悲しそうな表情で真理を問うてくる。
 スキルの有無で人を判断するのはくだらない。まったくもってその通り。
 だが大多数は違う。みんなスキルがあるのが当たり前すぎてそういう視点を持てないんだ。
 
「スキルは祝福だからな。神様に認められた。愛されて生まれた事を意味する。逆にそれを持たないのは神の目を盗んで生まれ落ちた異端者なんだよ。忌み子。悪魔の子とも呼ばれているな。大層な名だよ」

 古い時代では発覚した時点で火炙りにされたり。両親に殺されたりしていたらしい。
 現在ではそこまで野蛮ではないが。それでも冷遇は受ける。今は孤独に衰弱死するのが一番人気だな。
 どうも自分の手は汚したくないらしい。あぁどっちもくだらねぇ。

「想像を絶する苦しみを味わってこられたのですね……」
「まっ、気にしないでいいぞ。もう子供の頃の話なんて殆ど忘れたしな」

 多分、詳細に覚えていたら。俺はもっと早くにくだらない死に方をしていたはずだ。
 人間の防衛本能なんだろうな。一定以上の痛みを味わうと。脳が勝手に忘れてくれるんだ。

 あとは運がよかったのもある。

「俺がフランと最初に出会った街。ゴルテロって所なんだが。世界中からどうしようもない屑が集まるごろつきの街で有名でな。まぁ確かに酷い目には会ってきたが。それでも最低限生きる事だけは許されてきたんだ。ちょうどその街の近くで捨てられたんだよなぁ……懐かしい」

 金さえ払えば。仕事さえこなせば。身分なんてどうでもいい。
 元犯罪者やら訳ありの連中ばかりで。俺が混ざっても何も言われなかった。
 暴力を振るわれるのもスキルが無いからではなく、単純に使えないからだったしな。

 宿にだって泊めてもらえるし、買い物だってできる。
 これが他の場所なら。穢れを持ち込むとされて追い出されるところだ。
 
 ギルド長は最悪だったが。悪くはない街だったと思う。
 オッサだって他人に深く踏み込まないという、暗黙のルールに従って接してくれたし。
 最後の方は完全に入り込んでたけど。まっ、友人だし許す。

「今はフランがお傍にいますからね! ずーーっとずーーーーっとです!」
「お前はそうやっていつもいつも人が喜ぶ台詞を!」
「えへへ」
 
 頭を乱暴に撫でると、フランが顔を上げて喜ぶ。
 クレルはその様子をずっと眺めていた。なんだ。一緒に混ざりたいのか。違うか。

「カイルさんは強い人です。私は貴方を心から尊敬します」
「強いか? まぁいずれは心身ともに強くなりたいと思っているが。クレルにも負けないくらい」
「もう既に心の方は抜かれてしまっていますね」
「お前も褒めるのが上手いな……」

 フランのように撫でようかと思ったが、途中で腕を戻す。
 妹分のフランと違い、クレルはどうしてもたまに異性として見えてしまう。
 剣精であると意識すればおさまるが。最近まで友人がいなかった俺に異性は眩しすぎる。

「……訂正します。少しだけ、意気地なしですね」
「それは言わないでくれ……」

 ご機嫌なフランの隣で、クレルは不満げにしていた。
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