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18話 E級ダンジョン独り立ちです
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「海成、そろそろ1人でE級ダンジョン行けんだろ? てか1回攻略してんだから行ってこい! 」
久後さんから突如俺に告げられたE級ダンジョンソロ攻略許可。
いや、久後さんに止められたことなんてなかったけども。
彼のその一言は俺にというより、紗夜さんへの確認に近いような。
実際あの日以降、俺の教育に関しては全て紗夜さんに一任することになったし。
これは久後さんが丸投げしたわけでも本部が命令したわけでもなく、紗夜さんが決めたことだ。
俺自身、彼女のことは強く信頼しているためなんの異論もない。
むしろ大歓迎という限り。
「ん~ 」
そんな紗夜さんは久後さんの発言に対して、少し考え込んでいる様子を見せる。
「紗夜さん、俺そろそろ行けると思います 」
これは自信過剰でもなんでもなく、実際一度ソロでクリアしている経験とこの2週間彼女と見てきたE級ダンジョンの平均的な難易度から考えてのことだ。
「そうね~。いつかは1人で行くことになるのだし、E級ダンジョンで必要なことはある程度伝えることもできた。うん、わかった! 海成くん、今日から独り立ち……ってことでいい? 」
「はい! 俺頑張りますよ――っ! 」
おおっ!
ついにチュートリアル的な部分は終わったって感じか?
いよいよ俺の冒険者人生始まるぞ。
ただ紗夜さんと一緒に居れる時間が減ることだけが懸念点だ。
まぁでも事務所で会えるしそれだけでも嬉しい。
「あ、でもD級は勝手に1人で行かないでよ? まだまだ完全に独り立ちってわけじゃないからね! 」
やったぜ、まだまだ関わり合える。
なんならずっと紗夜さんの後輩でありたい。
「えー紗夜センパーイ、オレがここに入社した時と対応違くないですかー? 海成さん、羨ましいっす! 」
ソファでティーを嗜んでいる凛太郎が口を挟んできた。
「凛くん、あなたの教育係はねむちゃんでしょ? そんなこと言ったら彼女が可哀想っ! 」
「えーだってねむセンパイずっと実験室でなんかしてますし、ダンジョン同行だってその場で待ち合わせ、その場で解散っすよ? 海成さんどう思います?? 」
「どうって……いや待って待って! ねむちゃん? 誰それ? 」
突然知らない登場人物の名前が出てきたのだ。
そりゃ驚くしかないでしょうよ。
「あーごめん海成くんにはまだ説明してなかったね。この第2支部には私と久後さん、凛くんの他にあと3人居てね。そのうちの1人が凛くんの直属の先輩ってわけ 」
「え!? 実は3人も他にいらっしゃたんですか!? で、そのねむさんはいつもどちらに? 」
そう聞くと紗夜さんは凛太郎が座っている来客用ソファを指差した。
俺はその方に目をやるも、そこにはティータイム中のイケメンしかいない。
「え? 凛太郎しかいないですけど? 」
「海成さん、違うっす! 俺の後ろ! この先っす 」
そう言う彼は親指を突き立て、後ろを指差している。
あ、そういえば来客用ソファの後ろにドアがあったな。
俺としては完全に物置だと思っていた。
「あ、その先か。これ挨拶した方がいいやつよね? 」
なんかさっき実験室って言ってたよな。
名前的に女性ということは分かっているがそれ以外は謎まみれ。
しかし職場の先輩だ。
もちろん挨拶した方が良いだろう。
そう思って俺はそのドアの方へ歩き出すと、
「あ――っ! 大丈夫、大丈夫。 ねむちゃん実験中は少し機嫌悪いから今度改めて紹介するね 」
紗夜さんは俺の前に大の字で立ち塞がってそう口にした。
なぜだか彼女少し焦った様子だけど、一体どんだけ機嫌悪いんすか。
なんか納得いかんけど紗夜さんが紹介してくれるというんだ。
そのタイミングを待つしかあるまい。
「わかりました! あ、あと2人先輩がいるって言ってましたけど、その人たちは? 」
「あーそいつらは確かS級ダンジョン攻略中だったっけか 」
俺の質問に対して、久後さんは横向きにしたスマホ画面を見ながらそう答える。
「え、S級!? そんなすごい先輩方がいるんすね 」
というか俺ここ入社して2週間会ってないってことはずっとダンジョンの中?
S級怖いって、行きたくないって。
将来はB級くらいを着々とこなして行きたいな。
「それよりお前ら! 3人ともだらだら喋ってないでダンジョン行ってこい! 冒険者は万年人手不足、それなのにダンジョンは休む間なく次々開きやがる。ったくやめてくれよマジで 」
かったるそうな声で文句を並べている。
そして彼のデスクを見ると、すでに3部ものダンジョン攻略の依頼書が置かれていた。
この書類にダンジョンの位置や難易度、特徴なんてものが書いてある。
ちなみに俺が初回攻略した時はこんな紙すらもらえなかったけどな。
「わかりました 」
「了解です 」
「あ、はい 」
紗夜さんと凛太郎は文句一つ言わずその紙を受け取った。
俺もそれに続いて最後に残った紙を取る。
そして各自記載にあるダンジョンへ向かったのだ。
俺と凛太郎はE級ダンジョン。
紗夜さんはC級ダンジョンとさすがの難易度。
それも当然、彼女はBランク冒険者なのだから。
それにしてもこの2週間気になっていたが、久後さんに対してダンジョン攻略が絡むと誰も文句を言わない。
紗夜さんなら「ゲームばっかりするなら自分も行ってくださいよ! 」とか言いそうだし。
そう思って目的地へ向かう最中2人に聞くと、実は彼、誰よりもダンジョン攻略数が多いらしい。
常に事務所に居るように見えるのは、一瞬で仕事を終えるから。
つまり『久後 渉』彼は冒険者として化け物級に最強。
文句なしのSランク冒険者。
いや、その上の階級が設定されていないだけで本来はさらに上……SSランクの可能性を秘めている。
久後さんカッコ良すぎだろ……。
俺が女なら惚れてるぜ。
しかしそれを聞くと燃えない男はいない。
俺だっていつかSランクに――っ!
そんな熱い気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「よし、行くか! 」
俺は目の前の異空間に向かってそう呟いた。
ここを通れば依頼にあったE級ダンジョン。
実はこの2週間で習得したスキルもろもろを使ってみたかったので、1人でちょうどよかった。
どうやら紗夜さんによると上位職なんてものはかなりの高レベルにならないと条件を満たさないと言っていたし、このマジックブレイカーという職について念の為隠しておいた。
今日からE級ダンジョンはソロでいける。
これで今の力を試せるってわけだ。
「待ってろよ、E級ダンジョン! 」
勢いのある掛け声とともに俺は目の前の異空間へと飛び込んだのだった。
久後さんから突如俺に告げられたE級ダンジョンソロ攻略許可。
いや、久後さんに止められたことなんてなかったけども。
彼のその一言は俺にというより、紗夜さんへの確認に近いような。
実際あの日以降、俺の教育に関しては全て紗夜さんに一任することになったし。
これは久後さんが丸投げしたわけでも本部が命令したわけでもなく、紗夜さんが決めたことだ。
俺自身、彼女のことは強く信頼しているためなんの異論もない。
むしろ大歓迎という限り。
「ん~ 」
そんな紗夜さんは久後さんの発言に対して、少し考え込んでいる様子を見せる。
「紗夜さん、俺そろそろ行けると思います 」
これは自信過剰でもなんでもなく、実際一度ソロでクリアしている経験とこの2週間彼女と見てきたE級ダンジョンの平均的な難易度から考えてのことだ。
「そうね~。いつかは1人で行くことになるのだし、E級ダンジョンで必要なことはある程度伝えることもできた。うん、わかった! 海成くん、今日から独り立ち……ってことでいい? 」
「はい! 俺頑張りますよ――っ! 」
おおっ!
ついにチュートリアル的な部分は終わったって感じか?
いよいよ俺の冒険者人生始まるぞ。
ただ紗夜さんと一緒に居れる時間が減ることだけが懸念点だ。
まぁでも事務所で会えるしそれだけでも嬉しい。
「あ、でもD級は勝手に1人で行かないでよ? まだまだ完全に独り立ちってわけじゃないからね! 」
やったぜ、まだまだ関わり合える。
なんならずっと紗夜さんの後輩でありたい。
「えー紗夜センパーイ、オレがここに入社した時と対応違くないですかー? 海成さん、羨ましいっす! 」
ソファでティーを嗜んでいる凛太郎が口を挟んできた。
「凛くん、あなたの教育係はねむちゃんでしょ? そんなこと言ったら彼女が可哀想っ! 」
「えーだってねむセンパイずっと実験室でなんかしてますし、ダンジョン同行だってその場で待ち合わせ、その場で解散っすよ? 海成さんどう思います?? 」
「どうって……いや待って待って! ねむちゃん? 誰それ? 」
突然知らない登場人物の名前が出てきたのだ。
そりゃ驚くしかないでしょうよ。
「あーごめん海成くんにはまだ説明してなかったね。この第2支部には私と久後さん、凛くんの他にあと3人居てね。そのうちの1人が凛くんの直属の先輩ってわけ 」
「え!? 実は3人も他にいらっしゃたんですか!? で、そのねむさんはいつもどちらに? 」
そう聞くと紗夜さんは凛太郎が座っている来客用ソファを指差した。
俺はその方に目をやるも、そこにはティータイム中のイケメンしかいない。
「え? 凛太郎しかいないですけど? 」
「海成さん、違うっす! 俺の後ろ! この先っす 」
そう言う彼は親指を突き立て、後ろを指差している。
あ、そういえば来客用ソファの後ろにドアがあったな。
俺としては完全に物置だと思っていた。
「あ、その先か。これ挨拶した方がいいやつよね? 」
なんかさっき実験室って言ってたよな。
名前的に女性ということは分かっているがそれ以外は謎まみれ。
しかし職場の先輩だ。
もちろん挨拶した方が良いだろう。
そう思って俺はそのドアの方へ歩き出すと、
「あ――っ! 大丈夫、大丈夫。 ねむちゃん実験中は少し機嫌悪いから今度改めて紹介するね 」
紗夜さんは俺の前に大の字で立ち塞がってそう口にした。
なぜだか彼女少し焦った様子だけど、一体どんだけ機嫌悪いんすか。
なんか納得いかんけど紗夜さんが紹介してくれるというんだ。
そのタイミングを待つしかあるまい。
「わかりました! あ、あと2人先輩がいるって言ってましたけど、その人たちは? 」
「あーそいつらは確かS級ダンジョン攻略中だったっけか 」
俺の質問に対して、久後さんは横向きにしたスマホ画面を見ながらそう答える。
「え、S級!? そんなすごい先輩方がいるんすね 」
というか俺ここ入社して2週間会ってないってことはずっとダンジョンの中?
S級怖いって、行きたくないって。
将来はB級くらいを着々とこなして行きたいな。
「それよりお前ら! 3人ともだらだら喋ってないでダンジョン行ってこい! 冒険者は万年人手不足、それなのにダンジョンは休む間なく次々開きやがる。ったくやめてくれよマジで 」
かったるそうな声で文句を並べている。
そして彼のデスクを見ると、すでに3部ものダンジョン攻略の依頼書が置かれていた。
この書類にダンジョンの位置や難易度、特徴なんてものが書いてある。
ちなみに俺が初回攻略した時はこんな紙すらもらえなかったけどな。
「わかりました 」
「了解です 」
「あ、はい 」
紗夜さんと凛太郎は文句一つ言わずその紙を受け取った。
俺もそれに続いて最後に残った紙を取る。
そして各自記載にあるダンジョンへ向かったのだ。
俺と凛太郎はE級ダンジョン。
紗夜さんはC級ダンジョンとさすがの難易度。
それも当然、彼女はBランク冒険者なのだから。
それにしてもこの2週間気になっていたが、久後さんに対してダンジョン攻略が絡むと誰も文句を言わない。
紗夜さんなら「ゲームばっかりするなら自分も行ってくださいよ! 」とか言いそうだし。
そう思って目的地へ向かう最中2人に聞くと、実は彼、誰よりもダンジョン攻略数が多いらしい。
常に事務所に居るように見えるのは、一瞬で仕事を終えるから。
つまり『久後 渉』彼は冒険者として化け物級に最強。
文句なしのSランク冒険者。
いや、その上の階級が設定されていないだけで本来はさらに上……SSランクの可能性を秘めている。
久後さんカッコ良すぎだろ……。
俺が女なら惚れてるぜ。
しかしそれを聞くと燃えない男はいない。
俺だっていつかSランクに――っ!
そんな熱い気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「よし、行くか! 」
俺は目の前の異空間に向かってそう呟いた。
ここを通れば依頼にあったE級ダンジョン。
実はこの2週間で習得したスキルもろもろを使ってみたかったので、1人でちょうどよかった。
どうやら紗夜さんによると上位職なんてものはかなりの高レベルにならないと条件を満たさないと言っていたし、このマジックブレイカーという職について念の為隠しておいた。
今日からE級ダンジョンはソロでいける。
これで今の力を試せるってわけだ。
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それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
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