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3章 空中都市編
記憶の相違
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ノクティス様、なんでそんな深刻そうな顔をしているんだ?
「ティアのことだが…… 」
セレスティアのことを心配しているのか。
大丈夫、ちゃんと守ると決めた、それを彼に伝えて安心してもらう他ない。
「ああ、妹さんのことは俺たちが守るので大丈夫ですよ! 」
「いや……そうじゃない。 僕の記憶が曖昧なのだ。 何を言っていると思われるかもしれないが、ティアが妹だという記憶は確かにある。 だが、そうじゃない記憶も俺の中にあるんだ 」
どういうことだ。
彼は身体を失って混乱しているのだろうか?
それとも俺の知らないところで何か起こっている?
「ごめんなさい、ちょっとよく分からなくて…… 」
「そうだな……。 僕もわからん。 ただ、魔力の一部としてここでお前と話をしている時から少し記憶がおかしい。 今ではティアが僕の妹かどうかも分からない 」
つまりは記憶を操作しているものがいる?
それが身体から魂が離れたため効力が消え、元の記憶が戻りつつあるという可能性もあるか。
といってもそんなの誰が……?
全くわからん。
「……いや、悪い変なことを言って。 身体から離れて少し混乱してるのかもしれない 」
そうかもしれないが、魔族の中には人を暴走させるするやつもいた。
記憶操作だって出来るやつがいるかもしれない。
それに、神技ってやつで記憶を操作できる可能性も……。
さらに言えば、俺も気になっていることがある。
「いえ、俺も一つ気になってたことがあって、今ここで3つ目の街なんですけど全ての街で魔族が出たんです 」
200年以上姿を見せていなかった魔族がこの短期間に3回も現れるなんてどんな確率だよ、とは思っていた。
さすがに偶然では片付けることはできない。
「なるほど。 それとこの記憶の相違は関係があるかもしれないな。 決定的なことは分からない。ただ記憶を操るやつがいるかもしれない、このことはよく覚えておいてくれ 」
魔族とか神様が関わる時点で充分ややこしいことは分かっていたが、余計に拗れてきたなぁ。
でもここで得た収穫は大きい。
全てノクティス様のおかげだ。
「……はい。 本当にお世話になりました 」
感謝の意を示して、90°のお辞儀を送った。
もちろん日本式だ。
「何をしている? まぁよく分からんがもう時間だ。 春陽……といったか、シルヴァンディアを頼んだ 」
彼はそのイケメンな顔に恥じない微笑みをみせて、再び粒子となり、消えていった。
日本式の感謝は伝わらなかったが、最後初めて彼に名前を呼んでもらえた、これは信頼してもらえたということか?
いや……きっとそうだ。
この世界を神様に託されたのだ。
今まで以上に覚悟して望まなければならない。
「本当にありがとうございました。後は任せてください 」
心の中で彼にそう返事をした。
うん、きっと伝わった、そんな気がする。
◇
目が覚めた。
ノクティス様との出来事はしっかり覚えている。
なんだが長い夢を見ていた、そんなに気がする。
「春陽さん!! 目が覚めたんですか!? 」
「おおっ!春陽ぅぅぅ~!!」
「あれ、ここは……? 」
どうやら宿のベッドで横になっているようだ。
そしてお腹にはセレスティアが眠っている。
彼女はずっと傍に居てくれていたのだろうか。
「あれから春陽さん2日眠ってたんですよ 」
「ああ、急に倒れたもんだから心配したぞ! 」
「……俺そんなに寝ていたのか、それは悪かった 」
「ん~ふぁぁぁ~よく寝た……!? 春陽! よかったぁ! 」
呑気に欠伸をカマしていたセレスティアは俺に気づいた途端、大粒の涙を流して飛びついてきた。
「うおおっ! ごめん、心配かけたな 」
それからセレスティアをなだめ、ミア、カイルとたわいのない話をした後、この2日間見ていた夢の話をした。
もちろん記憶の件、以外をだ。
「ティアのことだが…… 」
セレスティアのことを心配しているのか。
大丈夫、ちゃんと守ると決めた、それを彼に伝えて安心してもらう他ない。
「ああ、妹さんのことは俺たちが守るので大丈夫ですよ! 」
「いや……そうじゃない。 僕の記憶が曖昧なのだ。 何を言っていると思われるかもしれないが、ティアが妹だという記憶は確かにある。 だが、そうじゃない記憶も俺の中にあるんだ 」
どういうことだ。
彼は身体を失って混乱しているのだろうか?
それとも俺の知らないところで何か起こっている?
「ごめんなさい、ちょっとよく分からなくて…… 」
「そうだな……。 僕もわからん。 ただ、魔力の一部としてここでお前と話をしている時から少し記憶がおかしい。 今ではティアが僕の妹かどうかも分からない 」
つまりは記憶を操作しているものがいる?
それが身体から魂が離れたため効力が消え、元の記憶が戻りつつあるという可能性もあるか。
といってもそんなの誰が……?
全くわからん。
「……いや、悪い変なことを言って。 身体から離れて少し混乱してるのかもしれない 」
そうかもしれないが、魔族の中には人を暴走させるするやつもいた。
記憶操作だって出来るやつがいるかもしれない。
それに、神技ってやつで記憶を操作できる可能性も……。
さらに言えば、俺も気になっていることがある。
「いえ、俺も一つ気になってたことがあって、今ここで3つ目の街なんですけど全ての街で魔族が出たんです 」
200年以上姿を見せていなかった魔族がこの短期間に3回も現れるなんてどんな確率だよ、とは思っていた。
さすがに偶然では片付けることはできない。
「なるほど。 それとこの記憶の相違は関係があるかもしれないな。 決定的なことは分からない。ただ記憶を操るやつがいるかもしれない、このことはよく覚えておいてくれ 」
魔族とか神様が関わる時点で充分ややこしいことは分かっていたが、余計に拗れてきたなぁ。
でもここで得た収穫は大きい。
全てノクティス様のおかげだ。
「……はい。 本当にお世話になりました 」
感謝の意を示して、90°のお辞儀を送った。
もちろん日本式だ。
「何をしている? まぁよく分からんがもう時間だ。 春陽……といったか、シルヴァンディアを頼んだ 」
彼はそのイケメンな顔に恥じない微笑みをみせて、再び粒子となり、消えていった。
日本式の感謝は伝わらなかったが、最後初めて彼に名前を呼んでもらえた、これは信頼してもらえたということか?
いや……きっとそうだ。
この世界を神様に託されたのだ。
今まで以上に覚悟して望まなければならない。
「本当にありがとうございました。後は任せてください 」
心の中で彼にそう返事をした。
うん、きっと伝わった、そんな気がする。
◇
目が覚めた。
ノクティス様との出来事はしっかり覚えている。
なんだが長い夢を見ていた、そんなに気がする。
「春陽さん!! 目が覚めたんですか!? 」
「おおっ!春陽ぅぅぅ~!!」
「あれ、ここは……? 」
どうやら宿のベッドで横になっているようだ。
そしてお腹にはセレスティアが眠っている。
彼女はずっと傍に居てくれていたのだろうか。
「あれから春陽さん2日眠ってたんですよ 」
「ああ、急に倒れたもんだから心配したぞ! 」
「……俺そんなに寝ていたのか、それは悪かった 」
「ん~ふぁぁぁ~よく寝た……!? 春陽! よかったぁ! 」
呑気に欠伸をカマしていたセレスティアは俺に気づいた途端、大粒の涙を流して飛びついてきた。
「うおおっ! ごめん、心配かけたな 」
それからセレスティアをなだめ、ミア、カイルとたわいのない話をした後、この2日間見ていた夢の話をした。
もちろん記憶の件、以外をだ。
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