無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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4章 ナイトフォール編

マナ・フュージョン

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   (反撃はいいんだがご主人よぉ )

 イフリートが何か言いたげにしている。
「どうしたの? 」と聞くと、

 (いやぁ……俺あいつに勝ったことないんだよね )

 ええっ!
 珍しく好戦的なイフリートが初めから弱気である。
 そのことから分かること。
 ミッドナイトはめちゃくちゃ強い。

 (そうだよねぇ。イフリートあの頃から弱いもんねぇ。 キャハッ! )

 急に上機嫌に笑い始めた……怖い。
 あの人の情緒が分からない。

 (だがミッドナイト、いい気になるのはいいけど、今の俺とお前には決定的な差がある! )

 (ふ~ん、何が言いたいわけ? )

 (お前もわかってんだろ? 主人がいるかいないかだ )

 (ふっ……くっだらない! その女に何ができるの? マナフュージョンでもしない限りは……ってまさかその女……! )

 (あぁマナフュージョンの適合者、それもたった今そうなったみたいだ )

 マナフュージョン?
 そんな言葉お母さんからも教えてもらってない。

「イフリート、何それ? 私知らないよ? 」

 (まぁ、今日は見ておけ )

 イフリートがそういった意味すら分からない。
 ただあんなに強いミッドナイトが怯えている。

 あれ、気づけばイフリートがいない……いや違う、彼は私の体の中だ。
 自分の精霊の魔力は把握している。
 それがなぜか私の体内から感じている、こんなの初めて。

 (ミア、感じているか? 今俺はお前の中にいる。 つまり精霊と一心同体となる、これがマナフュージョンだ )

「うん、わかるよ、何だか力が溢れてくる 」

 (これも全てお前の仲間、春陽……だったか、あいつのおかげだ。 どうやったのか分からないが、ミアの潜在的な力を引き出したようだな、後でお礼を言っておいてくれ )

「そっか、春陽……結局今回も私を助けてくれたんだね 」

 (ミアどうした? お前の懐あたりに感じたことない熱さを感じるぞ? 心なしか、顔も赤いようだ )

「ふぇぇっ!? な、何もないよ! さっどうやってこの力を使えばいいの? 」

 (ん? よく分からんがまぁいい、今回は俺が身体の主導権をもらうぞ )

「え、うん、わかった 」

 それからは私自身の身体が勝手に動くという謎の現象が起こった。
 まぁイフリートが動かしてくれてるんだけど変な感覚。
 そして自分の身体中から何だか赤くて熱い魔力が放出されている。
 しかも私宙に浮いてるし。
 周りからはどんな姿に見えているんだろうか。

 (イ、イフリートのやつ本当にマナフュージョンしやがった。 クソクソクソッ! )

 ただ目の前のミッドナイトが焦っていることは分かる。
 それと彼女が私を見て(ドラゴン…… )って言ってたし、周りからはそう見えているのかな?

 (さぁミッドナイト、決着だ! )

 (やめろ! こっちにくるな! )

 彼女はさっき私が捕まった闇、を放ってきた。
 え、イフリート避けないの!?って思ったけど、今私が纏っている赤い魔力が全て焼き尽くしたのだ。
 この身体強すぎじゃない?

 (ミッドナイトよぉ、もうわかってんだろ? 今のうちにご主人と契約したら、痛い目見なくてすむぞ? )

 何だかうちのイフリートが怖いこと言っている。
 完全にガラの悪い人だ。
 しかも今は私の見た目で、私の声だからとても恥ずかしい。

 (わ、私は絶対そんなやつと契約しないぞっ! )

 そういってまた身体に纏っている闇を放ってくる。
 そして私はというと、その闇すなわちミッドナイトに向かって突っ込んでいった。
 ちょっとイフリート!と思ったが、もちろん全ての闇は私に近づいた時点で燃えていく。

 (ひぃぃっ! )

 ミッドナイトから小さい悲鳴が聞こえた気がしたが、私はすでにミッドナイトを貫通するところまで駆け抜けていた。
 後ろを振り返ると、ミッドナイトの胴体部分が大きく欠損しており、その断面は焼け焦げた後がついている。
 それを見ると、私の身体が彼女を貫いたのだと容易に想像がつく。

 (よし、ご主人終わったぞ! この力、あまりに魔力を使うため5分ともたない。 マナフュージョンが解除される前に力の代償を伝えたかったが、もう時間のようだな。 すまぬ )

 え、ちょっとイフリート!?

 ここで私の記憶は途切れたのだった。

 
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