83 / 129
4章 ナイトフォール編
豪邸での出来事
しおりを挟む
あれからさらに3日経った。
アリア様が決めた出発の日だ。
「結局俺の力、試せなかったではないかぁぁ! 」
カイルは両手で目を擦り泣き喚いている。
実際泣いてはいないだろうが、そんな素振りをしているのだ。
ったく子供じゃあるまいし。
「うるさいなぁ、カイルくん! この3日ずっと言ってるでしょ? 何度も言ってるけど、力というのは見せびらかすものじゃないのっ 」
さすが、神様! 説得力がある。
本当に尊敬できる神様だ。
ここ数日のことがなければ本当にそう思う。
「アリア! そんなカッコつけても、昨日のことは許さないんだからね! 」
「え?? なんのことかなぁぁ? 」
お酒のせいで忘れているのかと思ったが、あの含み笑いはきっと誤魔化しているだけだろうな。
本当酒癖の悪い神で、毎晩毎晩酔って暴れての繰り返し。
まぁ抱きつかれたり誘惑されたりしたのは悪い気しなかったが、突然殴られなりは勘弁してほしかった。
さらに言えば、部屋の片付けは全て俺とカイル。
まるで雑用係だった。
そしてティアが怒っているのはきっとあの出来事だ……。
◇
「あ~よく食べた、飲んだぁぁ~。あ~ははっはぁぁ。 あれ、おつまみが切れたな 」
「アリア様、もうおつまみないですよ 」
俺がそう伝えるも、彼女の気持ちは収まらない。
彼女は机をひっくり返し、ソファを退かし、あらゆるところを探し始めた。
そんなとこだれが隠すんだよ。
「おい、カイル!! 起きろ!! 」
「え、な……なんですか? 」
「おつまみと酒買ってこい 」
「ええ……今からですか? 」
さっきまでイビキをかきながら眠っていたカイルを叩き起こし、パシらせようとしている。
完全に輩だ、初めて会った時のあの美女はどこ行った……。
「そうだよ! 私が言ったら大人しく買ってくれば……あれ、おつまみあるじゃんっ 」
嬉しそうに駆け寄る先には、同じくソファで眠っていたティアだ。
「誰だよ、こんなところにピーナッツ落としたのはぁ 」
と嬉しそうに口へ運ぶ。
「あああっ!!! アリア様!! それ食べ物じゃ…… 」
ゴクンッ――
時すでに遅し。
手段を選んでいられない、そう思って無属性エーテルバフを纏い、移動速度を上げようかと思い始めた時にはもう遅かった。
さすが神様、食べるスピードも速い、そういうことか……。
◇
「ティア~ごめんってばぁ 」
彼女はティアに擦り寄って謝るが、当事者はもう今まで見たことないほどブチギレている。
「そりゃ怒るでしょうよっ!! なんでボクはあんたの嘔吐物として出されなきゃいけなかったのっ!!」
「ま、まぁティア、えっと……噛み砕かれなくてよかったじゃないか 」
ごめん慰め方が分からない。
「……っ! 春陽まで想像したくなかったこと言わないでよぉ~! 」
彼女は怒りを通り越したのか、もう涙目だ、いや……もう泣いちゃってる。
「……えっと皆さん、お騒がせしました 」
ミアだ。
気づけばリビングにミアが来ていた。
うるさくておこしてしまったかな?などと思っていたが、彼女はすっきりとした顔をしている。
魔力量を見ても全快といったところのようだ。
心配はないだろう。
「本当に3日で治して来るとはねぇ。 あっぱれだよ 」
え、でもあなたが3日って言ったんだよね?
そう思ったが、触れないでおこう。
「ミア! よかったよぉ~」
「本当だ! 本当によかった!! 」
ティアとカイルもミアへ駆け寄り、喜びを分かち合っている。
「さぁさぁ、ミアちゃん、庭でミッドナイトを呼び出そうか 」
「はいっ! 」
ミアの力強い返事をきっかけに、俺たちは各自荷物を持って庭へ向かった。
アリア様が決めた出発の日だ。
「結局俺の力、試せなかったではないかぁぁ! 」
カイルは両手で目を擦り泣き喚いている。
実際泣いてはいないだろうが、そんな素振りをしているのだ。
ったく子供じゃあるまいし。
「うるさいなぁ、カイルくん! この3日ずっと言ってるでしょ? 何度も言ってるけど、力というのは見せびらかすものじゃないのっ 」
さすが、神様! 説得力がある。
本当に尊敬できる神様だ。
ここ数日のことがなければ本当にそう思う。
「アリア! そんなカッコつけても、昨日のことは許さないんだからね! 」
「え?? なんのことかなぁぁ? 」
お酒のせいで忘れているのかと思ったが、あの含み笑いはきっと誤魔化しているだけだろうな。
本当酒癖の悪い神で、毎晩毎晩酔って暴れての繰り返し。
まぁ抱きつかれたり誘惑されたりしたのは悪い気しなかったが、突然殴られなりは勘弁してほしかった。
さらに言えば、部屋の片付けは全て俺とカイル。
まるで雑用係だった。
そしてティアが怒っているのはきっとあの出来事だ……。
◇
「あ~よく食べた、飲んだぁぁ~。あ~ははっはぁぁ。 あれ、おつまみが切れたな 」
「アリア様、もうおつまみないですよ 」
俺がそう伝えるも、彼女の気持ちは収まらない。
彼女は机をひっくり返し、ソファを退かし、あらゆるところを探し始めた。
そんなとこだれが隠すんだよ。
「おい、カイル!! 起きろ!! 」
「え、な……なんですか? 」
「おつまみと酒買ってこい 」
「ええ……今からですか? 」
さっきまでイビキをかきながら眠っていたカイルを叩き起こし、パシらせようとしている。
完全に輩だ、初めて会った時のあの美女はどこ行った……。
「そうだよ! 私が言ったら大人しく買ってくれば……あれ、おつまみあるじゃんっ 」
嬉しそうに駆け寄る先には、同じくソファで眠っていたティアだ。
「誰だよ、こんなところにピーナッツ落としたのはぁ 」
と嬉しそうに口へ運ぶ。
「あああっ!!! アリア様!! それ食べ物じゃ…… 」
ゴクンッ――
時すでに遅し。
手段を選んでいられない、そう思って無属性エーテルバフを纏い、移動速度を上げようかと思い始めた時にはもう遅かった。
さすが神様、食べるスピードも速い、そういうことか……。
◇
「ティア~ごめんってばぁ 」
彼女はティアに擦り寄って謝るが、当事者はもう今まで見たことないほどブチギレている。
「そりゃ怒るでしょうよっ!! なんでボクはあんたの嘔吐物として出されなきゃいけなかったのっ!!」
「ま、まぁティア、えっと……噛み砕かれなくてよかったじゃないか 」
ごめん慰め方が分からない。
「……っ! 春陽まで想像したくなかったこと言わないでよぉ~! 」
彼女は怒りを通り越したのか、もう涙目だ、いや……もう泣いちゃってる。
「……えっと皆さん、お騒がせしました 」
ミアだ。
気づけばリビングにミアが来ていた。
うるさくておこしてしまったかな?などと思っていたが、彼女はすっきりとした顔をしている。
魔力量を見ても全快といったところのようだ。
心配はないだろう。
「本当に3日で治して来るとはねぇ。 あっぱれだよ 」
え、でもあなたが3日って言ったんだよね?
そう思ったが、触れないでおこう。
「ミア! よかったよぉ~」
「本当だ! 本当によかった!! 」
ティアとカイルもミアへ駆け寄り、喜びを分かち合っている。
「さぁさぁ、ミアちゃん、庭でミッドナイトを呼び出そうか 」
「はいっ! 」
ミアの力強い返事をきっかけに、俺たちは各自荷物を持って庭へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根立真先
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる