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4章 ナイトフォール編
アリアと精霊
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少しずつ街も近づいてきた。
しかしその前に気になることがある。
俺は一度立ち止まって、ティアに質問した。
「ティア、アリア様なんだけど、ミッドナイトを呼び出せるって言ってたが、どういうことだ? 」
すると、皆も同じように立ち止まり、
「あ、そうそう。 私も気になってました 」
「もちろん俺も気になってたぞ! うんうん! 」
カイルは目が泳いでるから怪しいが、ミアはもちろん気になる話題のはずだ。
「げっ! 」
なんだか、ティアは突かれたくないとこを突かれたといった様子だ。
「なんだ? ティア知ってたのか? 」
「春陽、そんな怒った顔しないでよ~。 ボ、ボクも実のところ知らなかったんだけど……。だけどね? よ~く考えたらアリアって精霊使いだし~確かに呼び出せてもおかしくないってゆ~かぁ。 ……ごめんなさいっ!!! 」
なんだか俺も険しい顔をしてしまっていたようだ。
ティアもすごい涙目になりながら謝っているし。
「そんな……ティアちゃん大丈夫ですよ。 アリア様のことです、きっとあえて課題を与えて、ナイトフォールへ行ける器があるか試したかったんですよ 」
ミアのその推測には一理ある。
というか俺もミアと同意見だ。
ただあのアリア様だ、5割は俺たちを試そうとしたのだろうが、もう半分は面白半分かもしれない。
……と思ったが、それは言わない方がいいか。
「あぁ、俺もミアと同じ意見だ 」
「俺もだぞ! ミア!! 」
「みんな~ごめんね~!! 」
ティアはものすごく反省しているが、そもそも彼女が反省することは特にないと思う。
実際、戦力アップにも繋がったわけだし。
一応?意見がまとまったところで、再び街へ歩き出した。
◇
ようやく街が見えてきた。
もう目と鼻の先だ。
にしても暗い。
辺りは夜だと言うのになんだこの灯りの少なさは。
かといってあの洞窟のように真っ暗というわけではなく、所々に街灯はあるが少なすぎるだけのことだ。
あぁ確かうちの近くも夜になるとこれくらい暗かったよなぁ。
俺の実家近くは田舎だったため、街灯も少なく夜になると真っ暗だったことを思い出した。
「懐かしいなぁ…… 」
「? 春陽さんどうしました? 何が懐かしいんですか? 」
無意識に声が漏れていたようだ。
特段日本に帰りたいというわけでもないのだが。
「あ~いや、故郷を思い出しただけだよ 」
「ふむ、そういえば春陽の故郷の話なんて聞いたこと無かったよな!! 」
「春陽はここシルヴァンディアが故郷じゃないんだよ! 」
ティアが勝手にネタばらししやがった。
まぁ特に隠していたわけでもないのだが。
「そうなの!? 」
「そうなのか!? 」
2人の若干ハモった台詞に対して、
「あぁ、俺は日本っていう異世界からきたんだ 」
「日本? はて聞いたこともないな! どの辺りなのだ? 」
「いや……わからん 」
カイルの質問に答えられるほど、日本とシルヴァンディアの関係について詳しくない。
「分からんってお前、帰りようがないじゃないか 」
心配そうな顔で彼は俺の方を見る。
人のことを本気で心配できる、これが彼の優しさだ。
「まぁ俺の話はいいとして、街の目の前なんだからこの先どうするか考えないと 」
「ん~春陽の話の続きもしたいが、確かにこれからどうするかが今は大事か…… 」
ミアもティアもそれについては同意のようだ。
話を勝手に広げてきたのはティアなんだけどな。
「えっと……提案なんだけどね 」
ミアが手を挙げた。
特に挙手制じゃないと話してはいけないルールもないのだけれども。
「ミア、どうした? 」
一応話しやすいように話を振ってみた。
「まずは分担して情報収集ってのはどうかな? 街の雰囲気と、泊まれる宿、余裕があればシャドウバレーについても聞けたらと 」
全くその通りすぎる。
全て大事なことだ。
言うまでもなく全員賛成の意を示した。
そのままミアが続き、
「実はいい魔法があるんです 」
突然の怪しい台詞が、飛んできたがミアは自信ありげな顔で胸を張っている。
しかしその前に気になることがある。
俺は一度立ち止まって、ティアに質問した。
「ティア、アリア様なんだけど、ミッドナイトを呼び出せるって言ってたが、どういうことだ? 」
すると、皆も同じように立ち止まり、
「あ、そうそう。 私も気になってました 」
「もちろん俺も気になってたぞ! うんうん! 」
カイルは目が泳いでるから怪しいが、ミアはもちろん気になる話題のはずだ。
「げっ! 」
なんだか、ティアは突かれたくないとこを突かれたといった様子だ。
「なんだ? ティア知ってたのか? 」
「春陽、そんな怒った顔しないでよ~。 ボ、ボクも実のところ知らなかったんだけど……。だけどね? よ~く考えたらアリアって精霊使いだし~確かに呼び出せてもおかしくないってゆ~かぁ。 ……ごめんなさいっ!!! 」
なんだか俺も険しい顔をしてしまっていたようだ。
ティアもすごい涙目になりながら謝っているし。
「そんな……ティアちゃん大丈夫ですよ。 アリア様のことです、きっとあえて課題を与えて、ナイトフォールへ行ける器があるか試したかったんですよ 」
ミアのその推測には一理ある。
というか俺もミアと同意見だ。
ただあのアリア様だ、5割は俺たちを試そうとしたのだろうが、もう半分は面白半分かもしれない。
……と思ったが、それは言わない方がいいか。
「あぁ、俺もミアと同じ意見だ 」
「俺もだぞ! ミア!! 」
「みんな~ごめんね~!! 」
ティアはものすごく反省しているが、そもそも彼女が反省することは特にないと思う。
実際、戦力アップにも繋がったわけだし。
一応?意見がまとまったところで、再び街へ歩き出した。
◇
ようやく街が見えてきた。
もう目と鼻の先だ。
にしても暗い。
辺りは夜だと言うのになんだこの灯りの少なさは。
かといってあの洞窟のように真っ暗というわけではなく、所々に街灯はあるが少なすぎるだけのことだ。
あぁ確かうちの近くも夜になるとこれくらい暗かったよなぁ。
俺の実家近くは田舎だったため、街灯も少なく夜になると真っ暗だったことを思い出した。
「懐かしいなぁ…… 」
「? 春陽さんどうしました? 何が懐かしいんですか? 」
無意識に声が漏れていたようだ。
特段日本に帰りたいというわけでもないのだが。
「あ~いや、故郷を思い出しただけだよ 」
「ふむ、そういえば春陽の故郷の話なんて聞いたこと無かったよな!! 」
「春陽はここシルヴァンディアが故郷じゃないんだよ! 」
ティアが勝手にネタばらししやがった。
まぁ特に隠していたわけでもないのだが。
「そうなの!? 」
「そうなのか!? 」
2人の若干ハモった台詞に対して、
「あぁ、俺は日本っていう異世界からきたんだ 」
「日本? はて聞いたこともないな! どの辺りなのだ? 」
「いや……わからん 」
カイルの質問に答えられるほど、日本とシルヴァンディアの関係について詳しくない。
「分からんってお前、帰りようがないじゃないか 」
心配そうな顔で彼は俺の方を見る。
人のことを本気で心配できる、これが彼の優しさだ。
「まぁ俺の話はいいとして、街の目の前なんだからこの先どうするか考えないと 」
「ん~春陽の話の続きもしたいが、確かにこれからどうするかが今は大事か…… 」
ミアもティアもそれについては同意のようだ。
話を勝手に広げてきたのはティアなんだけどな。
「えっと……提案なんだけどね 」
ミアが手を挙げた。
特に挙手制じゃないと話してはいけないルールもないのだけれども。
「ミア、どうした? 」
一応話しやすいように話を振ってみた。
「まずは分担して情報収集ってのはどうかな? 街の雰囲気と、泊まれる宿、余裕があればシャドウバレーについても聞けたらと 」
全くその通りすぎる。
全て大事なことだ。
言うまでもなく全員賛成の意を示した。
そのままミアが続き、
「実はいい魔法があるんです 」
突然の怪しい台詞が、飛んできたがミアは自信ありげな顔で胸を張っている。
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