無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
100 / 129
4章 ナイトフォール編

VSゾルガン①

しおりを挟む
 ゾルガンが目の前にいる。
 彼を見ると思い出すな。
 空中都市での出来事を。

 あの時、やつを見ると恐怖を感じていた。
 もちろん共にいるゼフィールも今、怯えている。
 彼は必死に平然を装うとしているが、足もガクガクだし全く隠せていない。

 あの時は恐怖で身体が動かなかったが、今俺の身体はいつも通りのコンディションだ。
 仮説としてノクティス様の力を引き継いだことによる影響もしくは、そもそも2回目のため耐性ができた、そんなところか?

「お前、俺が怖くないのか?  」

 ゾルガンはそれこそ無表情ではあるが、言い方から少し驚いていることが伝わってくる。

「あぁ、どうやらそうみたいだ  」

「そうか。 お前が以前感じた恐怖、それは俺の体質みたいなものだ。 俺を見たモノ全てが恐れをなす。 そんな呪いだ。 ただ、対象外もいる  」

 そこで彼は言葉を止めた。

「対象外って?  」

 今は本当に恐怖心を感じないため、彼になんでも聞けそうな気がする。

「……神だ。 つまりお前は神ノクティスの力を引き継いだということだな?   」

 そうか、あの時本来は魔族神マルコスへと引き継がれる予定だったのだ。
 だが、そうなっていない。
 つまり他に引き継いだヤツがいるって考えるのは自然なことか。
 どう答えるのが正解だろう……。

「そういうことになるな  」

 仕方ない。
 まぁ隠し通せるわけもないだろうし。
 というわけで嘘はつかず正直に答えた。

「わかった。 最優先事項変更。 人間、お前から殺すことにする。 その後でゼフィール、次にセレスティアの順だ  」

「ええっ! ボ、ボク!?  」

 そりゃ神様だしな。
 それにセレスティアだって対象外のはずだけど、ガクガク震えている。
 いや、これ単純にビビっているだけか。

 ゾルガンは人差し指を立てて、クイッと自身に向けた。

「うおっ! 」

 俺自身がゾルガンに引き寄せられる。
 あれはたしか空中都市でもやられた。
 何が起こったか分からなかったが、あの時もあいつが向けた指の方向へ身体が飛ばされたのだ。
 しかも宙に浮いているため、全く身動きが取れない。

 ゾルガンがもう目前に迫り、もうぶつかるっ!と思ったところで地に叩きつけられた。
  
 「ぐあっ! 」

 うつ伏せたままではマズイと思い、仰向けになるとちょうどやつの拳が振り下ろされてきた。

 ドンッ――

 間一髪避けることができた。

 きっと初めに叩きつけられたときもあの拳にやられたのだろう。 

 それからまた数発の拳が振り下ろされるも、なんとか転がりながら避け続ける。

 そしてこの大連撃がふと一瞬だけ止まった。
 俺はそのタイミングで立ち上がり、再び距離をとる。

「悪い、助けるのが遅くなった  」

 後ろからそう聞こえてきた。
 この声、ゼフィールだ。
 何かしてくれたのだろう。

「今のゼフィールか、ありがとう!  何をしたんだ? 」

「時間魔法で、 一瞬だけゾルガンの動きを止めた。 やつは強すぎる! せいぜい止めることができて、1秒程度だが   」

「いや、それでもすごい!  助かったよ  」

 実際そのおかげでゾルガンの猛攻から抜け出すことができた。

「春陽、悪いが俺が戦闘に交じると足でまといになる。 だからこの時間魔法で援護させてくれないか?  」

「もちろん! 頼んだよ! 」

 まずはあの引力っぽい技を攻略しなければいけないが、1秒も止められるならば回避できるかもしれない。

 再びゾルガンは人差し指をクイッと自身に向ける。
 それに対して俺は無属性エーテルバフを纏い、溢れるエネルギーによる空中旋回をして避ける姿勢を見せた。
 そして今回は引き寄せられることもない俺の姿を見て、さすがのゾルガンも目を見開いている。

「……なぜだ? 」

 ただ避けるだけではきっと引き寄せられていた。
 だがゾルガンは今ゼフィールの時間魔法によって時折時間を止められる。
 それに加え、俺はやつの動体視力を鈍らせた。
 さすがダークオーダー第二席、神技でも時間魔法同様にほんの1秒遅らせるのが限界だったが。

 つまり時間魔法と合わせて2秒のズレが生じる。

「それを教えちゃ攻略されちゃうだろ  」

「……そうか。  まぁいい  」

 やつがこのズレに慣れるまでが俺たちの勝機。
 一気に攻めてやる!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根立真先
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー
ファンタジー
転生した主人公は、平民でありながらダンジョンを作る力を持って生まれ、その力を持った者の定めとなる貴族入りが確定します。 ですが主人公は、普通の暮らしを目指し目立たない様振る舞いますが、ダンジョンを作る事しか出来ない能力な為、奮闘してしまいます。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...