「俺、女子高生になります

あさき のぞみ

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文化祭

第38話 クラスメイトの1人

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放課後。

文化祭の準備のために、クラス全員が教室に残った。

「じゃあ、役割分担をしよう!」

高橋さんが、仕切り始める。

「メイドさん役は、佐伯さんと……あと誰かいる?」

シーンと静まる教室。

誰も、手を挙げない。

「えー、誰もやりたくないの?」

「だって、恥ずかしいじゃん……」

「人前に出るの、苦手……」

女子高生たちの声。

その時。

「……近藤さん、やってみない?」

高橋さんが、教室の隅にいる女の子に声をかけた。

近藤さん。

私も、名前だけは知っていた。

クラスメイトの一人。

目立ちはしないが、何か華がある人。

いつも静かに本を読んでいるイメージ。

でも、顔立ちは整っている。

黒髪のロング。

色白。

少し儚げな雰囲気。

「え……私?」

近藤さんが、驚いたように声を上げた。

「うん。近藤さん、綺麗だし、メイドさん似合うと思う」

「で、でも……私、人前に出るの……」

「大丈夫だって! みゆきちゃんと一緒だし!」

私の名前が出た。

近藤さんと、私の視線が合う。

「……」

彼女は、少し困ったような顔をしている。

「ね、みゆきちゃんからも言ってあげて」

桜井さんが、私に振る。

「あ……うん。一緒にやろう、近藤さん」

「……」

近藤さんは、少し考えてから――

「わかりました……」

小さく頷いた。

「やったー! じゃあ、メイドさんは佐伯さんと近藤さんで決定!」

拍手が起こる。

近藤さんは、半ば強引に任されていた。

さすが女子校というか、パワフルというか。

「じゃあ、次はメイド服をどうするか!」

「買う?」

「既製品でいいんじゃない?」

そんな意見が出た時――

「待って! 既製品じゃなくて、自分たちで作ろうよ!」

誰かが言い出した。

教室が、また騒がしくなる。

「手作り?」

「できるの?」

「でも、その方が愛着湧くよね」

「オリジナルのデザインにできるし!」

「いいね! 手作りにしよう!」

「賛成!」

次々と、手が挙がる。

私と近藤さん以外――

全員が、賛同した。

「じゃあ、決まり! メイド服は手作りで!」

高橋さんが、宣言する。

「ちょ、ちょっと待って……」

私が、声を上げた。

「手作りって……誰が作るの?」

「家庭科部の子たちに協力してもらおうよ」

「あと、みんなで分担すれば大丈夫!」

「デザインは?」

「ネットで調べて、可愛いの参考にしよう!」

話が、どんどん進んでいく。

私は――

『ちょっと待って』

と思った。

手作りのメイド服。

つまり、採寸が必要だ。

体のサイズを測る。

胸囲も、ウエストも、ヒップも――。

「……まずい」

タッキングしている体。

ブラジャーで作った胸。

それを、測られる?

「大丈夫?」

隣から、声がした。

近藤さんだった。

「あ……うん」

「私も、ちょっと不安で……」

近藤さんは、小さく笑った。

「一緒に頑張りましょう」

「……うん」

彼女は、いい人そうだ。

でも、問題は――

「じゃあ、明日の放課後、採寸しよう!」

高橋さんの声。

採寸。

明日。

「佐伯さんと近藤さん、二人のサイズを測って、それに合わせてメイド服作るから!」

「……はい」

返事をするしかなかった。

-----

家に帰って、すぐに美山理事長にメールを送った。

件名:緊急相談

本文:
『美山理事長

文化祭でメイド服を着ることになりました。
明日、クラスメイトに採寸されます。

タッキングやブラジャーのことがバレないか、非常に心配です。

何か対策はありますでしょうか。

ご返信お待ちしております。

斎藤』

送信。

三分後。

返信が来た。

『斎藤様

承知しました。

明日の朝、ご自宅に専用の下着をお送りします。
それを着用すれば、採寸時も自然に見えるはずです。

また、採寸の際は以下の点に注意してください:

- リラックスして、自然体で
- 緊張すると、体が硬くなり不自然に見えます
- 測る人を信頼して、任せる

大丈夫です。あなたなら乗り越えられます。

美山崇子』

「専用の下着……」

また、美山理事長が何か手配してくれるらしい。

「助かる……」

でも、不安は消えない。

採寸。

クラスメイトに、体を測られる。

近い距離で。

「バレないよな……」

窓の外は、もう暗くなっていた。

明日。

採寸の日。

また、新しい試練が待っている。

ベッドに横になる。

目を閉じる。

でも、眠れない。

明日のことを考えると――

不安で、胸がいっぱいになる。

「大丈夫……大丈夫……」

自分に言い聞かせる。

でも、本当に大丈夫なのか。

わからなかった。

時計を見る。

深夜一時。

「……寝ないと」

無理やり目を閉じる。

そして、いつの間にか――

眠りに落ちていた。

明日、採寸。

その日が、もうすぐやってくる。​​​​​​​​​​​​​​​​
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