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第10話 依存
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客。
そんな日が続いた。
2週目が終わり。
3週目に入った。
月曜日も、火曜日も、水曜日も。
お茶。
0円。
待機室で、サキたちの笑い声。
店長の、ため息。
「美雪ちゃん、このままだと……」
言葉が続かない。
クビ。
そう言いたいんだろう。
木曜日。
もう、諦めかけていた。
その時。
ある客が私を指名した。
「美雪さん、お願いします」
受付での声。
え?
私を?
部屋に入ってくる。
40代くらいの男性。
スーツ姿。
落ち着いた雰囲気。
「はじめまして」
「……はじめまして」
緊張する。
久しぶりの客。
久しぶりの、指名。
「座って」
男が、優しく言う。
ベッドに、並んで座る。
「最近、大変そうだね」
「え?」
「レビュー、見たよ。ひどいこと書かれてるね」
客は、優しい言葉を並べてくれた。
「あれ、嘘だろ?」
「……はい」
「だと思った。君、そんな子じゃないよ」
涙が、出そうになる。
「頑張ってるのに、嫌がらせされて。辛いよね」
「……はい」
「でも、大丈夫。僕は、君の味方だから」
男が、近づいてくる。
髪を撫でた。
優しく。
ゆっくりと。
「綺麗だよ、美雪さん」
「ありがとう、ございます……」
声が、震える。
久しぶりに。
優しくされた。
久しぶりに。
認められた。
サービスが終わって。
男が、財布を開く。
「これ、チップ」
1万円札。
5枚。
チップも、はずんでくれた。
5万円。
本来の料金と合わせて。
6万円。
「また、来るね」
「……はい」
男が、部屋を出る。
私は、呆然と。
6万円を、握りしめていた。
金曜日。
また、同じ男が来た。
指名。
「美雪さん、昨日は楽しかったよ」
「ありがとうございます」
また、優しい言葉。
また、髪を撫でられる。
また、6万円。
「明日も来ていい?」
「……はい」
土曜日。
3日連続してきた。
同じ男。
「今日も、綺麗だね」
「ありがとうございます」
もう、慣れた。
この人の、優しさに。
この人の、言葉に。
この人の、お金に。
また、6万円。
3日間で、18万円。
生き返った。
でも、その客以外は来なかった。
他の指名は、0。
フリーの客も、0。
ただ、この男だけ。
日曜日。
店に行く。
男が来るかもしれない。
待つ。
でも、来ない。
お茶。
0円。
月曜日。
また、待つ。
来ない。
火曜日。
来ない。
水曜日。
やっと、来た。
「美雪さん、待った?」
「はい……」
正直に答える。
「ごめんね。仕事が忙しくて」
「いえ……」
また、優しい時間。
また、6万円。
「明日も来るよ」
「……お願いします」
縋るように、言ってしまった。
木曜日。
来た。
金曜日。
来た。
土曜日。
来た。
日曜日。
来ない。
月曜日。
来ない。
火曜日。
やっと、来た。
「美雪さん、待たせたね」
「待ってました……」
「可愛いな」
男が、笑う。
でも、その笑顔。
少し、違う。
優しさの中に。
何か、別のものが混ざってる。
「ねえ、美雪さん」
「はい?」
「僕のこと、好き?」
「え……」
「僕、君のこと、すごく気に入ってるんだ」
手が、腰に回る。
「君も、僕のこと、気に入ってくれてる?」
「……はい」
嘘だ。
でも、そう言うしかない。
この人が、来なくなったら。
私は。
お金が。
「嬉しいな」
男が、キスをしてくる。
いつもより、深く。
いつもより、長く。
「美雪さん、僕だけの子になってくれない?」
「……え?」
「店、辞めて。僕が、養うよ」
心臓が、跳ねる。
養う?
「毎月、30万円、渡すから」
30万円。
「その代わり、僕以外の男には会わないで」
「……」
「どう?悪い話じゃないでしょ?」
男の目が。
笑っていない。
値踏みしている。
私を。
商品のように。
「考えて、おきます……」
「そう。じゃあ、返事、待ってるね」
また、6万円。
男が、部屋を出る。
私は、座り込んだ。
養われる。
月30万円。
サブスクは、払える。
生活も、できる。
でも。
それは。
愛人、ということ?
囲われる、ということ?
この男の、所有物になる、ということ?
スマホを見る。
銀行残高:87,000円
クレジットの請求:398,000円(来週引き落とし)
サブスクの請求:96,000円(今週引き落とし)
足りない。
全然、足りない。
このままじゃ。
支払えない。
30万円。
それがあれば。
全部、払える。
でも。
それは。
自由を、売るということ。
体だけじゃなく。
時間も。
人生も。
全部、その男に。
どうする。
どうすればいい。
答えが。
見つからない。
ただ、時間だけが。
容赦なく、過ぎていく。
私がまだ…
ベッドに座り込んだまま。
天井を見上げる。
頭の中に、記憶が蘇る。
私が、また普通?に男として生きていた時…
まだこのサブスクの存在すらも知らなかった時のことを思い出した。
あの頃の、俺。
26歳。
会社員。
平凡な。
いや、違う。
平凡じゃなかった。
俺は、ひとでなしだった。
営業部。
若手が多い部署。
女子社員も、たくさんいた。
後輩の、女の子たち。
可愛い子。
真面目な子。
頑張ってる子。
俺は、そういう子たちに。
優しく声をかけた。
「最近、どう?仕事、大変?」
「相談、乗るよ。飲みに行こうか」
信頼させた。
心を、開かせた。
そして。
後輩の女子達、ほとんどを食った。
一人目は、入社2年目の、ユリ。
「先輩、聞いてください。彼氏と、うまくいかなくて……」
飲み屋で、泣いていた。
「大丈夫だよ。ユリは、いい子だから」
肩を、抱いた。
「先輩……」
その日のうちに、ホテル。
二人目は、新人の、アヤカ。
「先輩、仕事、教えてください」
残業。
二人きりの、オフィス。
「頑張ってるね。偉いよ」
髪を、撫でた。
「先輩、優しいですね……」
その週のうちに、俺の部屋。
三人目、四人目、五人目。
数えきれない。
みんな、俺を信じた。
みんな、俺に心を許した。
そして、俺は。
全員、捨てた。
飽きたら、連絡を断った。
泣かれても、無視した。
「遊びだったんだけど」
そう言って、笑った。
それだけじゃない。
もっと、ひどいこともした。
相談したいことがあると言って。
女の子たちから、金を、むしり取った。
「実は、母親が病気で。治療費が足りなくて……」
嘘だった。
母親は、元気だった。
でも、女の子たちは信じた。
「先輩、大変ですね。私、少しですけど……」
10万円。
20万円。
中には、50万円貸してくれた子もいた。
返すつもりは、なかった。
そのお金で。
キャバクラに、通った。
女の子たちを、利用した。
「ああ、やばいんだ。借金が……」
「私、助けます!」
純粋な子だった。
名前は、ミサキ。
新卒1年目。
貯金を、全部、俺に渡した。
100万円。
それでも足りないと、言った。
「消費者金融で、借りてくれないか?」
「え……でも……」
「頼む。このままじゃ、俺、終わる」
泣き落とし。
ミサキは、借りた。
50万円。
また50万円。
また50万円。
合計、250万円。
全部、俺に渡した。
俺は、そのお金を。
自分のために使った。
服。
時計。
車。
遊び。
ミサキは、気づいた。
俺が、キャバ嬢に貢いでいないことを。
「先輩……嘘、だったんですか……?」
「ああ、そうだよ」
「返して、ください……お金……」
「無理だね」
「お願いします!私、返せないんです!」
「知らないよ。勝手に貸したのは、お前だろ」
ミサキは、泣いた。
でも、俺は。
何も感じなかった。
その後。
ミサキは、自己破産した。
会社も、辞めた。
消息は、知らない。
俺は。
何も、感じなかった。
罪悪感も。
後悔も。
何も。
ただ。
「バカだな」
そう、思っただけ。
騙される方が、悪い。
そう、思ってた。
それが、俺だった。
男として生きていた時の。
俺。
ベッドから、立ち上がる。
鏡を見る。
美雪が、そこにいる。
女の、顔。
女の、体。
でも、中身は。
あの時の、俺。
ひとでなしの、俺。
今、私は。
男に、養われようとしている。
月30万円で。
自由を、売ろうとしている。
これは。
罰、なのか。
俺がした、ことの。
報い、なのか。
女の体になって。
女として、利用されて。
女として、金で買われて。
これが。
因果応報。
笑えてくる。
ああ、そうか。
俺は、今。
あの時の、女の子たちと。
同じ立場なんだ。
利用されて。
金で釣られて。
捨てられそうになって。
笑いが、止まらない。
でも、涙も。
一緒に、出てくる。
ざまあみろ。
自分に、言う。
お前が、やったことが。
今、お前に、返ってきてるんだよ。
スマホが、震える。
男からの、メッセージ。
『返事、待ってるよ。美雪さん』
指が、震える。
返信する?
「はい」と。
「養ってください」と。
それとも。
「やめます」と。
答えを。
出さなきゃいけない。
でも。
まだ。
決められない。
ただ、一つだけ。
わかったことがある。
俺は。
私は。
あの時の、女の子たちに。
謝らなきゃいけない。
でも。
もう。
遅い。
美雪として。
女として。
この体で。
あの子たちには。
会えない。
声も、顔も、名前も。
全部、違う。
謝ることも。
償うことも。
できない。
ただ。
この苦しみを。
味わうしかない。
これが。
俺の。
罰。
そんな日が続いた。
2週目が終わり。
3週目に入った。
月曜日も、火曜日も、水曜日も。
お茶。
0円。
待機室で、サキたちの笑い声。
店長の、ため息。
「美雪ちゃん、このままだと……」
言葉が続かない。
クビ。
そう言いたいんだろう。
木曜日。
もう、諦めかけていた。
その時。
ある客が私を指名した。
「美雪さん、お願いします」
受付での声。
え?
私を?
部屋に入ってくる。
40代くらいの男性。
スーツ姿。
落ち着いた雰囲気。
「はじめまして」
「……はじめまして」
緊張する。
久しぶりの客。
久しぶりの、指名。
「座って」
男が、優しく言う。
ベッドに、並んで座る。
「最近、大変そうだね」
「え?」
「レビュー、見たよ。ひどいこと書かれてるね」
客は、優しい言葉を並べてくれた。
「あれ、嘘だろ?」
「……はい」
「だと思った。君、そんな子じゃないよ」
涙が、出そうになる。
「頑張ってるのに、嫌がらせされて。辛いよね」
「……はい」
「でも、大丈夫。僕は、君の味方だから」
男が、近づいてくる。
髪を撫でた。
優しく。
ゆっくりと。
「綺麗だよ、美雪さん」
「ありがとう、ございます……」
声が、震える。
久しぶりに。
優しくされた。
久しぶりに。
認められた。
サービスが終わって。
男が、財布を開く。
「これ、チップ」
1万円札。
5枚。
チップも、はずんでくれた。
5万円。
本来の料金と合わせて。
6万円。
「また、来るね」
「……はい」
男が、部屋を出る。
私は、呆然と。
6万円を、握りしめていた。
金曜日。
また、同じ男が来た。
指名。
「美雪さん、昨日は楽しかったよ」
「ありがとうございます」
また、優しい言葉。
また、髪を撫でられる。
また、6万円。
「明日も来ていい?」
「……はい」
土曜日。
3日連続してきた。
同じ男。
「今日も、綺麗だね」
「ありがとうございます」
もう、慣れた。
この人の、優しさに。
この人の、言葉に。
この人の、お金に。
また、6万円。
3日間で、18万円。
生き返った。
でも、その客以外は来なかった。
他の指名は、0。
フリーの客も、0。
ただ、この男だけ。
日曜日。
店に行く。
男が来るかもしれない。
待つ。
でも、来ない。
お茶。
0円。
月曜日。
また、待つ。
来ない。
火曜日。
来ない。
水曜日。
やっと、来た。
「美雪さん、待った?」
「はい……」
正直に答える。
「ごめんね。仕事が忙しくて」
「いえ……」
また、優しい時間。
また、6万円。
「明日も来るよ」
「……お願いします」
縋るように、言ってしまった。
木曜日。
来た。
金曜日。
来た。
土曜日。
来た。
日曜日。
来ない。
月曜日。
来ない。
火曜日。
やっと、来た。
「美雪さん、待たせたね」
「待ってました……」
「可愛いな」
男が、笑う。
でも、その笑顔。
少し、違う。
優しさの中に。
何か、別のものが混ざってる。
「ねえ、美雪さん」
「はい?」
「僕のこと、好き?」
「え……」
「僕、君のこと、すごく気に入ってるんだ」
手が、腰に回る。
「君も、僕のこと、気に入ってくれてる?」
「……はい」
嘘だ。
でも、そう言うしかない。
この人が、来なくなったら。
私は。
お金が。
「嬉しいな」
男が、キスをしてくる。
いつもより、深く。
いつもより、長く。
「美雪さん、僕だけの子になってくれない?」
「……え?」
「店、辞めて。僕が、養うよ」
心臓が、跳ねる。
養う?
「毎月、30万円、渡すから」
30万円。
「その代わり、僕以外の男には会わないで」
「……」
「どう?悪い話じゃないでしょ?」
男の目が。
笑っていない。
値踏みしている。
私を。
商品のように。
「考えて、おきます……」
「そう。じゃあ、返事、待ってるね」
また、6万円。
男が、部屋を出る。
私は、座り込んだ。
養われる。
月30万円。
サブスクは、払える。
生活も、できる。
でも。
それは。
愛人、ということ?
囲われる、ということ?
この男の、所有物になる、ということ?
スマホを見る。
銀行残高:87,000円
クレジットの請求:398,000円(来週引き落とし)
サブスクの請求:96,000円(今週引き落とし)
足りない。
全然、足りない。
このままじゃ。
支払えない。
30万円。
それがあれば。
全部、払える。
でも。
それは。
自由を、売るということ。
体だけじゃなく。
時間も。
人生も。
全部、その男に。
どうする。
どうすればいい。
答えが。
見つからない。
ただ、時間だけが。
容赦なく、過ぎていく。
私がまだ…
ベッドに座り込んだまま。
天井を見上げる。
頭の中に、記憶が蘇る。
私が、また普通?に男として生きていた時…
まだこのサブスクの存在すらも知らなかった時のことを思い出した。
あの頃の、俺。
26歳。
会社員。
平凡な。
いや、違う。
平凡じゃなかった。
俺は、ひとでなしだった。
営業部。
若手が多い部署。
女子社員も、たくさんいた。
後輩の、女の子たち。
可愛い子。
真面目な子。
頑張ってる子。
俺は、そういう子たちに。
優しく声をかけた。
「最近、どう?仕事、大変?」
「相談、乗るよ。飲みに行こうか」
信頼させた。
心を、開かせた。
そして。
後輩の女子達、ほとんどを食った。
一人目は、入社2年目の、ユリ。
「先輩、聞いてください。彼氏と、うまくいかなくて……」
飲み屋で、泣いていた。
「大丈夫だよ。ユリは、いい子だから」
肩を、抱いた。
「先輩……」
その日のうちに、ホテル。
二人目は、新人の、アヤカ。
「先輩、仕事、教えてください」
残業。
二人きりの、オフィス。
「頑張ってるね。偉いよ」
髪を、撫でた。
「先輩、優しいですね……」
その週のうちに、俺の部屋。
三人目、四人目、五人目。
数えきれない。
みんな、俺を信じた。
みんな、俺に心を許した。
そして、俺は。
全員、捨てた。
飽きたら、連絡を断った。
泣かれても、無視した。
「遊びだったんだけど」
そう言って、笑った。
それだけじゃない。
もっと、ひどいこともした。
相談したいことがあると言って。
女の子たちから、金を、むしり取った。
「実は、母親が病気で。治療費が足りなくて……」
嘘だった。
母親は、元気だった。
でも、女の子たちは信じた。
「先輩、大変ですね。私、少しですけど……」
10万円。
20万円。
中には、50万円貸してくれた子もいた。
返すつもりは、なかった。
そのお金で。
キャバクラに、通った。
女の子たちを、利用した。
「ああ、やばいんだ。借金が……」
「私、助けます!」
純粋な子だった。
名前は、ミサキ。
新卒1年目。
貯金を、全部、俺に渡した。
100万円。
それでも足りないと、言った。
「消費者金融で、借りてくれないか?」
「え……でも……」
「頼む。このままじゃ、俺、終わる」
泣き落とし。
ミサキは、借りた。
50万円。
また50万円。
また50万円。
合計、250万円。
全部、俺に渡した。
俺は、そのお金を。
自分のために使った。
服。
時計。
車。
遊び。
ミサキは、気づいた。
俺が、キャバ嬢に貢いでいないことを。
「先輩……嘘、だったんですか……?」
「ああ、そうだよ」
「返して、ください……お金……」
「無理だね」
「お願いします!私、返せないんです!」
「知らないよ。勝手に貸したのは、お前だろ」
ミサキは、泣いた。
でも、俺は。
何も感じなかった。
その後。
ミサキは、自己破産した。
会社も、辞めた。
消息は、知らない。
俺は。
何も、感じなかった。
罪悪感も。
後悔も。
何も。
ただ。
「バカだな」
そう、思っただけ。
騙される方が、悪い。
そう、思ってた。
それが、俺だった。
男として生きていた時の。
俺。
ベッドから、立ち上がる。
鏡を見る。
美雪が、そこにいる。
女の、顔。
女の、体。
でも、中身は。
あの時の、俺。
ひとでなしの、俺。
今、私は。
男に、養われようとしている。
月30万円で。
自由を、売ろうとしている。
これは。
罰、なのか。
俺がした、ことの。
報い、なのか。
女の体になって。
女として、利用されて。
女として、金で買われて。
これが。
因果応報。
笑えてくる。
ああ、そうか。
俺は、今。
あの時の、女の子たちと。
同じ立場なんだ。
利用されて。
金で釣られて。
捨てられそうになって。
笑いが、止まらない。
でも、涙も。
一緒に、出てくる。
ざまあみろ。
自分に、言う。
お前が、やったことが。
今、お前に、返ってきてるんだよ。
スマホが、震える。
男からの、メッセージ。
『返事、待ってるよ。美雪さん』
指が、震える。
返信する?
「はい」と。
「養ってください」と。
それとも。
「やめます」と。
答えを。
出さなきゃいけない。
でも。
まだ。
決められない。
ただ、一つだけ。
わかったことがある。
俺は。
私は。
あの時の、女の子たちに。
謝らなきゃいけない。
でも。
もう。
遅い。
美雪として。
女として。
この体で。
あの子たちには。
会えない。
声も、顔も、名前も。
全部、違う。
謝ることも。
償うことも。
できない。
ただ。
この苦しみを。
味わうしかない。
これが。
俺の。
罰。
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