★ある調教物語★

あさき のぞみ

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冤罪を求めて

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「ち、違う!これは冤罪だ!俺はやってない!」
萱野は混乱と恐怖のあまり、かろうじて育美から身体を引き抜き、震える声で叫んだ。彼の頭脳は、**「不同意性交罪」**という現実の脅威から、なんとか逃れようと必死に言い訳を探していた。
「この女が!なつみが、自分から誘ってきたんだ!キスも、服を脱いだのも、全部この女の誘惑だ!見てただろう!あんたたちも!」
彼は育美を指差したが、育美は冷たい目で萱野を見返すだけで、何の感情も示さなかった。
男たちのリーダー格らしき人物は、そんな萱野の必死な訴えを、まるで子供の言い訳を聞くかのように退屈な表情で受け止めた。
「へえ。この嬢さんが、ですか」
男は、自分のスーツの袖についた見えない埃を払う仕草をしながら、静かに切り出した。
「でもね、この店にいる間、彼女からずっと相談されてたんですよ。『怖い客がいるからどうしたらいいか』って」
その言葉が、萱野の背筋を凍らせた。
「**『SNSで私生活を探られて、脅されているみたいなんです』**ってね。あなたのアカウント名も、うちにはちゃんと記録が残ってるんですよ。ストーカー行為、強要行為……」
男は、わざとらしくスマートフォンを操作し、何かを探すような動作をした。
「それも、警察に言えばいいですか?」
その瞬間、萱野の「冤罪」を訴える声は、喉の奥で完全に詰まった。彼が育美に対して行ってきた**「調教」の全て、すなわちSNSの監視**、私生活への介入、仕事の制限、そして**「品位」を盾にした精神的な支配**。それは、育美の側から見れば、「脅迫とストーカー行為」として、あまりにも明確な証拠となってしまう。
萱野が築き上げたかった**「支配」は、この男たちの冷徹な論理によって、「犯罪」という一つの事実に還元された。彼の頭の中は、社会的地位の崩壊、家庭の破綻、そして刑務所**という、真っ暗な未来で満たされた。
彼は、もう何も言い返せなかった。
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