マッチングアプリで知り合った

あさき のぞみ

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第6話 りな

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日曜日の朝、俺は7時に目が覚めた。
デートの日に限って、早起きできてしまう。昨夜はあまり眠れなかった。りなさんとのデートのことばかり考えてしまって。
シャワーを浴びて、髪をセットして、服を選ぶ。今日は白いTシャツにネイビーのジャケット、黒いパンツ。カジュアルだけど、きちんと感も出るスタイルだ。
鏡の前で何度も確認する。
大丈夫。昨日よりは良く見える。
美咲さんとのことは、もう忘れよう。今日は新しいスタート。今度こそ、ちゃんと成功させる。
12時過ぎに家を出た。新宿駅東口には、30分前に到着していた。
待ち合わせ場所の前で、スマホを何度も確認する。りなさんから「もうすぐ着きます!」とメッセージが来ていた。
13時。
人混みの中、俺は必死に彼女を探した。
そして——見つけた。
え!!かわいすぎる!!
りなさんは、プロフィール写真の何倍も可愛かった。
ショートカットの黒髪に、大きな瞳。華奢な体に、白いブラウスと——
しかもスカート短くない?
膝上15センチはある、チェック柄のミニスカート。
生足だし……。
細くて白い脚が、初夏の日差しに映えている。
「裕太さん!」
彼女は笑顔で手を振った。
「りなさん、こんにちは」
「こんにちは!会えて嬉しいです😊」
近づいてくると、甘い香水の香りがした。
「りなさん、すごく可愛いですね」
「もう、お世辞ばっかり。でもありがとうございます」
りなは照れたように笑った。
「じゃあ、映画館行きましょうか」
「はい!」
二人並んで歩き出した。
りなの身長は155センチくらいだろうか。俺より15センチ以上低い。横を歩いていると、守ってあげたくなるような小ささだった。
映画館に着いて、チケットを購入する。俺が二人分払おうとすると、りなが「半分出します」と言ったが、俺は断った。
「いいよ、今日は俺が出すから」
「ありがとうございます。優しいですね」
りなは嬉しそうに笑った。
上映時間まで少し時間があったので、カフェに入った。
「裕太さん、普段どんな映画見るんですか?」
「色々見るけど、アクションとかサスペンスが好きかな。りなさんは?」
「私は恋愛ものが好きです。でも、今日の映画はアクションですよね?」
「うん、そうだけど……大丈夫?」
「全然大丈夫です!裕太さんと見るなら、何でも楽しいです」
その言葉に、胸が温かくなった。
上映時間が近づいて、シアターに入った。
座席は隣同士。暗くなると、りなの存在がより近く感じられた。
映画が始まった。
だが——
俺は全然集中できなかった。
隣に座るりなさんが、気になって仕方ない。
時々、彼女の横顔を盗み見る。スクリーンの光に照らされた、その美しい横顔。
そして、どうしても目がいってしまうのが、その脚だった。
ミニスカートから伸びる、白くて細い生足。
座っているから、スカートの丈がさらに短くなっている。太ももが、ほぼ見えている。
まずい。
昨日美咲さんと分かれた後にしたのに。
反応してる……。
俺はジーンズの上から、さりげなく隠そうとした。
俺どんだけフラストレーション溜まってんだよ。
映画のアクションシーンで、爆発音が響く。
りなが「きゃっ」と小さく声を上げて、俺の腕に掴まってきた。
「ごめんなさい、びっくりしちゃって」
「いや、大丈夫」
俺の腕に、柔らかな感触。
心臓が跳ねる。
りなはそのまま、俺の腕から手を離さなかった。
暗闇の中、二人の距離がどんどん近くなっていく。
映画の内容なんて、まったく頭に入ってこない。
ただ、りなの体温と香り、そして腕に触れる柔らかさだけが、意識のすべてを占めていた。
2時間の映画が、永遠にも一瞬にも感じられた。

映画が終わって、シアターを出た。
「どうでした?面白かったですか?」
りなが聞いてきた。
「うん、面白かった」
嘘だった。ストーリーなんて、ほとんど覚えていない。
「私も楽しかったです。裕太さんと一緒だったから」
りなは俺の腕に、また掴まってきた。
「この後、どうします?」
「そうだね……お茶でもする?」
「いいですね。でも……」
りなは少し恥ずかしそうに、俺を見上げた。
「もっと静かなところで、二人きりで話したいです」
その言葉に、心臓が激しく鳴った。
「静かなところって……」
「裕太さん、分かりますよね?」
りなは微笑んだ。
またか。
昨日の美咲さんと、同じ展開だ。
だが、今回は違う。
今回は、最後までいける気がする。
「分かった。じゃあ……」
「私に任せてください」
りなは俺の手を取って、歩き出した。
新宿の雑踏を抜けて、少し離れた場所へ。
そこには、いくつものホテルが並んでいた。
「ここでいいですか?」
りなが指差したのは、比較的綺麗なホテルだった。
「うん」
二人でホテルに入る。
自動チェックイン機で部屋を選び、鍵を受け取る。
エレベーターで5階へ。
廊下を歩く間、俺の手は汗ばんでいた。
部屋に入ると、昨日よりも少し狭いが、清潔感のある空間だった。
「裕太さん」
りなが振り向いた。
「私、裕太さんのこと、すごく素敵だなって思ってました」
「俺も、りなさんのこと……」
言葉が続かない。
りなは俺に近づいてきて、両手を俺の胸に置いた。
「緊張してます?」
「……うん」
「私も、ちょっと緊張してます」
そう言って、りなは爪先立ちして、俺にキスをした。
柔らかくて、甘い。
昨日の美咲さんとは違う、少し控えめで、でも確かな温もりを持ったキス。
「シャワー、浴びてきていいですか?」
りなが聞いてきた。
「うん、どうぞ」
りなはバスルームに消えた。
水の音が聞こえる。
俺はベッドに座って、深呼吸した。
今度こそ。
今度こそ、最後まで。
そう思いながら、ベッドサイドのバスケットを確認する。
コンドームが、ちゃんと入っていた。
今度は、邪魔は入らない。
スマホの電源も切った。
通知音が鳴らないように。
準備は万端だ。
水の音が止まった。
バスルームのドアが開いて、りなが出てきた。
白いタオルを体に巻いただけの姿。
濡れた髪が、肩に張り付いている。
「裕太さんも、シャワー浴びますか?」
「……うん」
俺は立ち上がって、バスルームに向かった。
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