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16. ニセモノの正義に鉄槌を
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傍聴席は静まり返っていた。
セリーヌは証言台に立っているが、口を開いたのはオスカー検事だ。
「あなたは事件当夜、被害者のそばにいた。しかも――これをご覧ください」
魔法映写で、ヴィラン少年を踏みつけるセリーヌの姿が法廷に流れた。
オスカーは声を張る。
「この暴行。あなたはひどい人だ」
映像が切り替わる。
「その前にも毒殺事件が起きた。――グラスから、あなたの指紋が見つかっている」
一歩踏み出し、低く吐き捨てる。
「その場でヴィランに罪を着せ、卑怯な手を使い罪を逃れた。……あなたこそが犯人だ」
オスカーが最後静かに言った時、僕は察した。
きっと気づいたのは僕だけじゃないだろう。
これは、セリーヌを第二の被告人として祭り上げようとしているね。
いやさ……。もうちょっと、マシな問い詰め方ないの?がばがばな論理立てだなぁ。はああ、こんなの反論する気も無くしてきた。
ふと、誰にも聞こえないような声量で僕の近くの傍聴席に座るミナがぽつりと呟いた。
「………ひどい……」
かすれるような声だった。
セリーヌは優雅に立っている――ように、見える。
だけど君…実際は、倒れそうになってるんじゃないの。
セリーヌは冷たい仮面のまま沈黙を貫いた。それを利用しオスカーがさらに攻め立てる。
「あなたの家は封印庫を管理する権限を持つ。毒の入手は容易だ!それで何を守ろうとした? あなたの冷酷な正義か!?」
傍聴席から怒声が聞こえる。
『そうだ!』
『自らの権限を利用し人を殺めるなんて!』
『あぁ恐ろしい!』
うわあ。
傍聴席の英雄族は口々に罵声を飛ばす。
一方、ヴィランたちは表情を歪めていた。カイは身を乗り出し、ウィリアムは眉間を押さえる。
ミナは泣き腫らした目を伏せ、ゼオスさんは目を閉じた。アヅミの額には怒りで血管が浮き、ライラさんは今にも泣きそうな顔だ。
これは誰が見てもむごい問い詰めだね。証人を被告人扱いするなんて、僕がいた日本だとまず前例がないくらい常識から外れている。唯一笑っている者はアレクシス王子だけである。その冷笑の理由なんて知りたくもない。
「答えなさい! 有罪か、無罪か!」
セリーヌの指がわずかに震え、目が赤くなった。
「わたくし、は…」
あぁ、もう。
「――異議あり」
低い声で、けれど笑って――声を響かせた。
僕は手を上げ立ち上がった。さて、そろそろ時間切れとしよう。
いつも凛として賢くて、本来皆に憧れられるような強い女性なんだ、あの人は。
でもいくらなんでも、限度があるよねぇ?
場内が一瞬静まり返る。裁判長も目を見張っていた。
セリーヌは証言台に立っているが、口を開いたのはオスカー検事だ。
「あなたは事件当夜、被害者のそばにいた。しかも――これをご覧ください」
魔法映写で、ヴィラン少年を踏みつけるセリーヌの姿が法廷に流れた。
オスカーは声を張る。
「この暴行。あなたはひどい人だ」
映像が切り替わる。
「その前にも毒殺事件が起きた。――グラスから、あなたの指紋が見つかっている」
一歩踏み出し、低く吐き捨てる。
「その場でヴィランに罪を着せ、卑怯な手を使い罪を逃れた。……あなたこそが犯人だ」
オスカーが最後静かに言った時、僕は察した。
きっと気づいたのは僕だけじゃないだろう。
これは、セリーヌを第二の被告人として祭り上げようとしているね。
いやさ……。もうちょっと、マシな問い詰め方ないの?がばがばな論理立てだなぁ。はああ、こんなの反論する気も無くしてきた。
ふと、誰にも聞こえないような声量で僕の近くの傍聴席に座るミナがぽつりと呟いた。
「………ひどい……」
かすれるような声だった。
セリーヌは優雅に立っている――ように、見える。
だけど君…実際は、倒れそうになってるんじゃないの。
セリーヌは冷たい仮面のまま沈黙を貫いた。それを利用しオスカーがさらに攻め立てる。
「あなたの家は封印庫を管理する権限を持つ。毒の入手は容易だ!それで何を守ろうとした? あなたの冷酷な正義か!?」
傍聴席から怒声が聞こえる。
『そうだ!』
『自らの権限を利用し人を殺めるなんて!』
『あぁ恐ろしい!』
うわあ。
傍聴席の英雄族は口々に罵声を飛ばす。
一方、ヴィランたちは表情を歪めていた。カイは身を乗り出し、ウィリアムは眉間を押さえる。
ミナは泣き腫らした目を伏せ、ゼオスさんは目を閉じた。アヅミの額には怒りで血管が浮き、ライラさんは今にも泣きそうな顔だ。
これは誰が見てもむごい問い詰めだね。証人を被告人扱いするなんて、僕がいた日本だとまず前例がないくらい常識から外れている。唯一笑っている者はアレクシス王子だけである。その冷笑の理由なんて知りたくもない。
「答えなさい! 有罪か、無罪か!」
セリーヌの指がわずかに震え、目が赤くなった。
「わたくし、は…」
あぁ、もう。
「――異議あり」
低い声で、けれど笑って――声を響かせた。
僕は手を上げ立ち上がった。さて、そろそろ時間切れとしよう。
いつも凛として賢くて、本来皆に憧れられるような強い女性なんだ、あの人は。
でもいくらなんでも、限度があるよねぇ?
場内が一瞬静まり返る。裁判長も目を見張っていた。
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