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1章 始まったもの
俺のクラス 〜壮二編〜
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「あっ、えっと……五組…ここかな?」
そう小さな声で呟きながら壮二は扉をそぉーっと開けて教室へと入っていく。
自分の席は後ろから二番目の列の窓側。
あまり社交的でない性格の彼にとって、その席は結構良かった。
もう壮二が入ってきた時には、五組の教室には沢山の人が居た。 五組には知らない顔ばっかだった。
今日初めて会った人なのだろうか。それとも小さい頃からの友達だからなのだろうか。
壮二は、教室の中で仲良く話す人々が、結構羨ましかった。
(あっ、あの人… 電車の中にいた人だ)
そう、その子はさっき電車の中で英一と壮二が座ってる真ん前に立っていた人だ。
その子は、1人でひっそりと何かの本を読みながら、周りの様子を見渡していた。
自分の斜め前の、前から4列目、窓側から2列目だった。
(その本なんの本かな……)
チラチラと目をその子が読む本に向ける。
漫画であることはわかった。ブックカバーをしていてよく分からなかったが、何かの女の子が写っていた。
(まさか俺が読んでるのと同じ…?!)
そんな感じがした。 でも話しかける勇気が出ない。
(ふぅ…)
壮二は、勇気を持って話しかけようとした。
「君…」
ちょうどそのタイミングで五組の担任が入ってきた。
「静粛に! 私は星川高校1年5組の担任を務めることになった田西栄子だ。
これからお前たちが高校生としての自覚を持ち、これから社会人、また進学をする実感を持てるよう、お前たちを教育していく。
それでは入学式を前に、皆が集まったか点呼を取るから大きな声で答えるように。」
その大きな気迫のある声とその威厳を持ったような顔は、とても恐れるものだった。
「やべぇ担任に当たっちまった」
さっきまでワイワイ騒がしくしていた子が、小さな声でそう呟いている。
「静かにしろ!」威厳のある声でそう言う。
「天野天治!」「はい!」
「飯澤翔吾!」「はい」
「飯山勤!」「はい!」
「卯島賢!」「はい」
「大島壮二!」「あっ、はい。」壮二も慌てて答える。
……次々と点呼が終わっていく。
あの男の子も小さな声ながらも答える。「……はい」
その声は、まるで小さな猫のようであった。
名前は壮二には聞き取れなかった。
点呼が無事終わり、体育館へと足を進める。
「あっ、英一だ。」
壮二はそう呟き、すぐ前を行く英一とその友達を見届けた。
「羨ましい」 そう壮二は小さながらもはっきりした声で言葉を発した。
(多分誰にも聞こえてないだろう。)
そう思っていた。
彼の足は、前を行く英一と同じ、体育館の方向へと進んで行った。
その男の子も、壮二の後ろを小さな足音を立てながら歩いていった。
その背丈は、壮二より随分小さかった。
そう小さな声で呟きながら壮二は扉をそぉーっと開けて教室へと入っていく。
自分の席は後ろから二番目の列の窓側。
あまり社交的でない性格の彼にとって、その席は結構良かった。
もう壮二が入ってきた時には、五組の教室には沢山の人が居た。 五組には知らない顔ばっかだった。
今日初めて会った人なのだろうか。それとも小さい頃からの友達だからなのだろうか。
壮二は、教室の中で仲良く話す人々が、結構羨ましかった。
(あっ、あの人… 電車の中にいた人だ)
そう、その子はさっき電車の中で英一と壮二が座ってる真ん前に立っていた人だ。
その子は、1人でひっそりと何かの本を読みながら、周りの様子を見渡していた。
自分の斜め前の、前から4列目、窓側から2列目だった。
(その本なんの本かな……)
チラチラと目をその子が読む本に向ける。
漫画であることはわかった。ブックカバーをしていてよく分からなかったが、何かの女の子が写っていた。
(まさか俺が読んでるのと同じ…?!)
そんな感じがした。 でも話しかける勇気が出ない。
(ふぅ…)
壮二は、勇気を持って話しかけようとした。
「君…」
ちょうどそのタイミングで五組の担任が入ってきた。
「静粛に! 私は星川高校1年5組の担任を務めることになった田西栄子だ。
これからお前たちが高校生としての自覚を持ち、これから社会人、また進学をする実感を持てるよう、お前たちを教育していく。
それでは入学式を前に、皆が集まったか点呼を取るから大きな声で答えるように。」
その大きな気迫のある声とその威厳を持ったような顔は、とても恐れるものだった。
「やべぇ担任に当たっちまった」
さっきまでワイワイ騒がしくしていた子が、小さな声でそう呟いている。
「静かにしろ!」威厳のある声でそう言う。
「天野天治!」「はい!」
「飯澤翔吾!」「はい」
「飯山勤!」「はい!」
「卯島賢!」「はい」
「大島壮二!」「あっ、はい。」壮二も慌てて答える。
……次々と点呼が終わっていく。
あの男の子も小さな声ながらも答える。「……はい」
その声は、まるで小さな猫のようであった。
名前は壮二には聞き取れなかった。
点呼が無事終わり、体育館へと足を進める。
「あっ、英一だ。」
壮二はそう呟き、すぐ前を行く英一とその友達を見届けた。
「羨ましい」 そう壮二は小さながらもはっきりした声で言葉を発した。
(多分誰にも聞こえてないだろう。)
そう思っていた。
彼の足は、前を行く英一と同じ、体育館の方向へと進んで行った。
その男の子も、壮二の後ろを小さな足音を立てながら歩いていった。
その背丈は、壮二より随分小さかった。
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