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第24話 - 戦争のあと
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戦争から1か月ほど経って後片付けが終わった頃、俺は状況を整理していた
戦争は魔物軍が勝利した、だが兵士の半数近くが死んでしまった
次、同様の規模の戦闘が発生した場合、もしくはそれ以上の戦闘になった場合確実に負けるだろう
戦略戦術についてもっと研究が必要だ
脅威に対する知識があまりにも無さ過ぎる
人間達は個人の能力は大したことはないが防具や兵器を用いる
さらに人間から逸脱した戦闘能力を持つ英雄
あまりにも知識が無さ過ぎた、結局魔力に頼って力技で辛勝
戦術なんてあったものではない、もう少し体系化を進めていかなければ
それにしても、まさか俺が人間と戦う事になるとは予想していなかった
きっと仲良くやっていけると思ってた、交渉さえできれば何とかなると
甘かった
相手が人なら話くらいは聞いてくれるだろうと思っていた
そういう次元の問題ではなかった
使者として送った鬼人族たちは戦う事も出来ず殺され、悔しかっただろう
今後は敵指揮官の性格も分析してから使者を送ろう
…
リリアナを家に呼ぶようミミに伝えた
しばらくするとリリアナが家に来たので客間で話しをした
「リリアナ、当面の敵はシルヴァン帝国になる、彼らの兵科や戦術について情報を集めてくれないか?」
「わかりました、厄介な国に目を付けられましたね」
「まったくだ、俺が人と戦争するとは思わなかった」
リリアナは少し困ったような顔で話しをつづけた
「実はシルヴァン帝国の情報はあれからとりわけ注意して集めておりました」
「シルヴァン帝国では魔物が軍を組織していることは予想していなかったようで、当面侵略はしない方針になったそうです」
俺はリリアナの顔を見て、小さくうなずいた
「それはありがたい情報だ、だが休止しているだけでまた来るんだろう?」
「その可能性は十分にあります、そして次はもっと大きな侵略になるでしょう」
「そうだろうな、決して数的有利が必ずしも戦況優位ではないことは学んだはずだ」
「そうですね、今シルヴァン帝国軍は侵略した大陸の領土を分割するという条件で他国へ同盟を持ち掛けています」
それが実現すると非常にまずいな
「進捗は?」
「今のところうまく行ってないようです、玄人さまの活躍が大きな要因でしょうか」
「俺の?」
「はい、魔物軍との戦闘の噂はあっという間に各国へ広まりました
その中でもとりわけ “魔王” の存在が注視されています」
ほう...
いやいやいやいや、誰だその魔王は、俺か?きっと俺だろうな
そんな風になろうと思ってはいなかったし予想外だ
俺は人間だぞ?シルエットだって魔物とは似つかない
正直ショックだ、どうしよう
俺はがっかりしながらリリアナに訴えた
「取り下げてほしい」
「噂ですので...私がどうこうできる問題では...」
俺は腕を組んで考えた
考え方を変えよう、非常に不本意な称号だが今はこれでいいか、
侵略を思いとどまらせるくらいは効果あるみたいだし
それよりも戦術がいる、ただの力のぶつけ合いだけで勝てる戦争ではなくなっていくな
同盟による連合軍が結成されたら今のダイバーツリーにある戦力だけじゃ足りない
今後の事を考えて戦力をどういう風に蓄えていくか軍事担当者がいるな
諜報力に優れ、頭がよく、人間側の戦争の歴史に詳しい人物...
俺はリリアナに目を向けた
リリアナは不思議そうにこちらを見ている
「うちの軍事担当にならない?」
「へ??私他国の人間ですよ???」
「うちにくればいい」
「...」
リリアナは少し考えた後、返答した
「さすがに急な話ですので、回答はしばらく待って頂けますでしょうか」
「そうだな、準備もいるだろうし、今月中に返事をくれ」
「...わかりました、前向きに検討します」
リリアナは不服そうな顔をしながら部屋を出ていった
リリアナの諜報力は優秀だ、このままうちに来てくれればいいが
オークターヴィル魔道国家に引き留められる可能性も十分にある
どっちに転ぶかわからないが、こちらに来ると決めた場合は後悔しないよう準備を進めておこう
それに、魔道国家を裏切れません的な返答ではなかった、少なからず脈はあるだろう
…
リリアナの返答を待つ間、俺は街の有力者たちと話をしていた
街の戦力を増強する計画についてだ
兵士の増員については戦士ギルド長のシデンが担当することになった
戦士ギルドへ街の外から集まる魔物に向けて兵士募集の依頼をする
さらに種族ごとにまとまり、特性を活かした部隊を組むよう訓練をする
サキュバスは戦闘で兵士たちの身体能力を強化するような魔道具の開発
クラピウスは広範囲回復魔術の開発などを魔導士と協力して開発する
それぞれの魔物に合わせた武具などもできるだけ手に入れられるよう、交易品目も見直し
その他、リリアナを通じてオークターヴィル魔道国家へ同盟を遅らせるよう工作を依頼した
工作の報酬として結構な量の魔石を要求されたが街のためだ、仕方あるまい
なんとか、来年までは次の侵略を遅らせることができればいいが
…
リリアナから移住に関しての返答がきた
リリアナが家へ来たので客間へ通し、話しをした
「移住の件でお話に参りました」
「うん、来れるかい?」
リリアナは少し沈黙した後、話し出した
「結論から言うと、移住いたします、ただ、条件があります」
「わかった、条件を言ってくれ」
「魔道塔の管理をさせてください」
「それはもちろん」
リリアナは目を伏せながら話し始めた
「もう一つ、あの、この街は住民のほとんどが魔物ですよね」
「そうだな」
「なので、不安なんです、人間がここで暮らしていくのは」
「まぁ、そうだな、どうすればいい?」
リリアナは顔を上げた、赤面し、目を合わせない
この流れは...
リリアナは深呼吸した後、話し始めた
「すぐでなくてもいいんですけど、玄人さまの、子供が、欲しい...です」
うーむ、そう来たか、確かに、言い分はわかる
俺は魔物と会話できるがリリアナはできない、まめいもそうだろう
二人にとっては俺が最後の砦なのだ
フリートに相談したらこれも長の務めとか言い出しそうだ
しかし、それほどまでに不安ならなぜ移住を決意したんだろうか
「えーと、うーん、結論から言うと、わかった、ちょっといろいろあるからタイミングは相談させてほしい」
「はい、それは玄人さまのご都合がありますので」
「ひとつ質問したい」
「なんでしょう」
「それほどまでに不安なら、なぜ移住する決断をしたんだ?」
リリアナは少し暗い顔で話し始めた
「私、孤児なんです、産まれはセドリオン貴族国家なのですが、シルヴァン帝国の国境近くに領地を頂く貴族の娘でした」
「幼いころに魔術の適正が見いだされ、勉強に励み、同じ年の子たちよりも優秀と言われ調子に乗っていたころ、オークターヴィル魔道国家からのお誘いもあり、修行も兼ねて留学していたのです」
「15歳になる頃、シルヴァン帝国の侵略があったのですが、タイミング悪く領内の軍は全て首都へ移動しており、領土は荒らされました、しかし領主の館は無傷だったのです」
「それをきっかけに帝国へ寝返った売国奴と罵られ、館は領民により火を放たれたのです」
「その噂はオークターヴィル魔道国家にも届き、陰口を言われ、両親もおらず、帰る場所もない哀れな女となりました」
なるほど、俺に居場所になれという事か
「居場所がないわけか」
「はい」
彼女は優秀だ、見目もよく他にいくらでも男など寄ってきそうなものだが
「リリアナほど美しく、年頃の女性なら護りたがる男もいただろう」
「それは、何人かはお話がありました」
「ではなぜ俺なんだ?」
「嫌らしい下心のある殿方のお誘いは不快なものです、哀れな女と蔑みながら都合よく飼える女と思い声をかけているのでしょう、そういった方は少し話せばわかります
その点、玄人さまは違いました」
「敵に有益な情報を与える可能性があるにも関わらず私を頼ってくださいました
魔物たちへの態度も誠実です、自ら前線へ立ち、力を振るう姿に私は感動いたしました
玄人さまは見た目や出自など関係ないのだと思います、ただ、この街に人間として住み着くには少し勇気がいります、玄人さまが受け入れてくださるのであれば
私は玄人さまのモノとして、この身を捧げたいと思います」
重い、そして長い、しかもどこかで聞いたことがあるような内容だ
魔物たちは飯と寝床があればいいから簡単だ
人間はそういうものだったのを痛感した
ややこしい、浅ましく、他者を貶める理由を常に探している、元の世界では他人の愚痴を聞くのが嫌で嫌で仕方なかった
それはさておき、彼女は優秀だし、彼女の力ももちろん借りたい
移住する理由も俺を頼る理由もわかった、うーん
外で様子を聞いていたまめいが空気を読まずに客間に入ってくる
「男なら腹くくれよ」
シリアスな場面が台無しだろ
「お前はもっと空気読め」
「いいじゃねーかケチケチすんな!女の子泣かせんなよ!」
そういうとまめいは出ていった
まめいなりに気を利かせているんだろう
自分たちの事は気にせず受けろという事だ
いつの間にかこの街では一夫多妻制が推奨されている気がする
仕方ない、誘ったのは俺だ、最後まで面倒みよう
俺はリリアナの目を見つめなおし、返事をした
「わかった、女たちには順番があるらしい、それを待ってもらう事にはなるが
それでよければ受け入れよう」
リリアナは涙を浮かべ、うつむいた
その後、小さな声でありがとうございますと言うと、出ていった
まめいがまた現れた
「モテ期到来かぁ~?いい身分だなぁー」
お前が腹くくれって言ったんだろ
「いちいち煽らんと気が済まんのか」
「リア充爆発しろ!」
ミミが顔を出して話し出す
「でも、次はまめいさんの番ですよ」
まめいは固まった
やれやれ、こっちはこっちで忙しい
元の世界で学生くらいの頃、日本の君主制について
君主はやりたい放題でうらやましいなと思っていたものだが
女たちの不安も理解したうえで支えていかなきゃいけなかったと思うと
それはそれで忙しかったんだなと痛感した
俺は一言つぶやいた
「そうだな」
まめいはみるみる赤面し、寄生を上げながら逃げ出してしまった
思えば女性はまめいが一番付き合いが長い、ティルに先を越されたときとかは複雑だったんだろうか
もう少し真面目に相手することにしよう
戦争だなんだと忙しいが、いつまでかかるかわからないからな
”男なら腹くくれよ” まめいのメッセージだったのかと思うと、少し情けなくなった
とはいえ、付き合いが長いと気恥ずかしいものだ
今日はサキュバスの子宝に恵まれる薬に勇気を借りよう
戦争は魔物軍が勝利した、だが兵士の半数近くが死んでしまった
次、同様の規模の戦闘が発生した場合、もしくはそれ以上の戦闘になった場合確実に負けるだろう
戦略戦術についてもっと研究が必要だ
脅威に対する知識があまりにも無さ過ぎる
人間達は個人の能力は大したことはないが防具や兵器を用いる
さらに人間から逸脱した戦闘能力を持つ英雄
あまりにも知識が無さ過ぎた、結局魔力に頼って力技で辛勝
戦術なんてあったものではない、もう少し体系化を進めていかなければ
それにしても、まさか俺が人間と戦う事になるとは予想していなかった
きっと仲良くやっていけると思ってた、交渉さえできれば何とかなると
甘かった
相手が人なら話くらいは聞いてくれるだろうと思っていた
そういう次元の問題ではなかった
使者として送った鬼人族たちは戦う事も出来ず殺され、悔しかっただろう
今後は敵指揮官の性格も分析してから使者を送ろう
…
リリアナを家に呼ぶようミミに伝えた
しばらくするとリリアナが家に来たので客間で話しをした
「リリアナ、当面の敵はシルヴァン帝国になる、彼らの兵科や戦術について情報を集めてくれないか?」
「わかりました、厄介な国に目を付けられましたね」
「まったくだ、俺が人と戦争するとは思わなかった」
リリアナは少し困ったような顔で話しをつづけた
「実はシルヴァン帝国の情報はあれからとりわけ注意して集めておりました」
「シルヴァン帝国では魔物が軍を組織していることは予想していなかったようで、当面侵略はしない方針になったそうです」
俺はリリアナの顔を見て、小さくうなずいた
「それはありがたい情報だ、だが休止しているだけでまた来るんだろう?」
「その可能性は十分にあります、そして次はもっと大きな侵略になるでしょう」
「そうだろうな、決して数的有利が必ずしも戦況優位ではないことは学んだはずだ」
「そうですね、今シルヴァン帝国軍は侵略した大陸の領土を分割するという条件で他国へ同盟を持ち掛けています」
それが実現すると非常にまずいな
「進捗は?」
「今のところうまく行ってないようです、玄人さまの活躍が大きな要因でしょうか」
「俺の?」
「はい、魔物軍との戦闘の噂はあっという間に各国へ広まりました
その中でもとりわけ “魔王” の存在が注視されています」
ほう...
いやいやいやいや、誰だその魔王は、俺か?きっと俺だろうな
そんな風になろうと思ってはいなかったし予想外だ
俺は人間だぞ?シルエットだって魔物とは似つかない
正直ショックだ、どうしよう
俺はがっかりしながらリリアナに訴えた
「取り下げてほしい」
「噂ですので...私がどうこうできる問題では...」
俺は腕を組んで考えた
考え方を変えよう、非常に不本意な称号だが今はこれでいいか、
侵略を思いとどまらせるくらいは効果あるみたいだし
それよりも戦術がいる、ただの力のぶつけ合いだけで勝てる戦争ではなくなっていくな
同盟による連合軍が結成されたら今のダイバーツリーにある戦力だけじゃ足りない
今後の事を考えて戦力をどういう風に蓄えていくか軍事担当者がいるな
諜報力に優れ、頭がよく、人間側の戦争の歴史に詳しい人物...
俺はリリアナに目を向けた
リリアナは不思議そうにこちらを見ている
「うちの軍事担当にならない?」
「へ??私他国の人間ですよ???」
「うちにくればいい」
「...」
リリアナは少し考えた後、返答した
「さすがに急な話ですので、回答はしばらく待って頂けますでしょうか」
「そうだな、準備もいるだろうし、今月中に返事をくれ」
「...わかりました、前向きに検討します」
リリアナは不服そうな顔をしながら部屋を出ていった
リリアナの諜報力は優秀だ、このままうちに来てくれればいいが
オークターヴィル魔道国家に引き留められる可能性も十分にある
どっちに転ぶかわからないが、こちらに来ると決めた場合は後悔しないよう準備を進めておこう
それに、魔道国家を裏切れません的な返答ではなかった、少なからず脈はあるだろう
…
リリアナの返答を待つ間、俺は街の有力者たちと話をしていた
街の戦力を増強する計画についてだ
兵士の増員については戦士ギルド長のシデンが担当することになった
戦士ギルドへ街の外から集まる魔物に向けて兵士募集の依頼をする
さらに種族ごとにまとまり、特性を活かした部隊を組むよう訓練をする
サキュバスは戦闘で兵士たちの身体能力を強化するような魔道具の開発
クラピウスは広範囲回復魔術の開発などを魔導士と協力して開発する
それぞれの魔物に合わせた武具などもできるだけ手に入れられるよう、交易品目も見直し
その他、リリアナを通じてオークターヴィル魔道国家へ同盟を遅らせるよう工作を依頼した
工作の報酬として結構な量の魔石を要求されたが街のためだ、仕方あるまい
なんとか、来年までは次の侵略を遅らせることができればいいが
…
リリアナから移住に関しての返答がきた
リリアナが家へ来たので客間へ通し、話しをした
「移住の件でお話に参りました」
「うん、来れるかい?」
リリアナは少し沈黙した後、話し出した
「結論から言うと、移住いたします、ただ、条件があります」
「わかった、条件を言ってくれ」
「魔道塔の管理をさせてください」
「それはもちろん」
リリアナは目を伏せながら話し始めた
「もう一つ、あの、この街は住民のほとんどが魔物ですよね」
「そうだな」
「なので、不安なんです、人間がここで暮らしていくのは」
「まぁ、そうだな、どうすればいい?」
リリアナは顔を上げた、赤面し、目を合わせない
この流れは...
リリアナは深呼吸した後、話し始めた
「すぐでなくてもいいんですけど、玄人さまの、子供が、欲しい...です」
うーむ、そう来たか、確かに、言い分はわかる
俺は魔物と会話できるがリリアナはできない、まめいもそうだろう
二人にとっては俺が最後の砦なのだ
フリートに相談したらこれも長の務めとか言い出しそうだ
しかし、それほどまでに不安ならなぜ移住を決意したんだろうか
「えーと、うーん、結論から言うと、わかった、ちょっといろいろあるからタイミングは相談させてほしい」
「はい、それは玄人さまのご都合がありますので」
「ひとつ質問したい」
「なんでしょう」
「それほどまでに不安なら、なぜ移住する決断をしたんだ?」
リリアナは少し暗い顔で話し始めた
「私、孤児なんです、産まれはセドリオン貴族国家なのですが、シルヴァン帝国の国境近くに領地を頂く貴族の娘でした」
「幼いころに魔術の適正が見いだされ、勉強に励み、同じ年の子たちよりも優秀と言われ調子に乗っていたころ、オークターヴィル魔道国家からのお誘いもあり、修行も兼ねて留学していたのです」
「15歳になる頃、シルヴァン帝国の侵略があったのですが、タイミング悪く領内の軍は全て首都へ移動しており、領土は荒らされました、しかし領主の館は無傷だったのです」
「それをきっかけに帝国へ寝返った売国奴と罵られ、館は領民により火を放たれたのです」
「その噂はオークターヴィル魔道国家にも届き、陰口を言われ、両親もおらず、帰る場所もない哀れな女となりました」
なるほど、俺に居場所になれという事か
「居場所がないわけか」
「はい」
彼女は優秀だ、見目もよく他にいくらでも男など寄ってきそうなものだが
「リリアナほど美しく、年頃の女性なら護りたがる男もいただろう」
「それは、何人かはお話がありました」
「ではなぜ俺なんだ?」
「嫌らしい下心のある殿方のお誘いは不快なものです、哀れな女と蔑みながら都合よく飼える女と思い声をかけているのでしょう、そういった方は少し話せばわかります
その点、玄人さまは違いました」
「敵に有益な情報を与える可能性があるにも関わらず私を頼ってくださいました
魔物たちへの態度も誠実です、自ら前線へ立ち、力を振るう姿に私は感動いたしました
玄人さまは見た目や出自など関係ないのだと思います、ただ、この街に人間として住み着くには少し勇気がいります、玄人さまが受け入れてくださるのであれば
私は玄人さまのモノとして、この身を捧げたいと思います」
重い、そして長い、しかもどこかで聞いたことがあるような内容だ
魔物たちは飯と寝床があればいいから簡単だ
人間はそういうものだったのを痛感した
ややこしい、浅ましく、他者を貶める理由を常に探している、元の世界では他人の愚痴を聞くのが嫌で嫌で仕方なかった
それはさておき、彼女は優秀だし、彼女の力ももちろん借りたい
移住する理由も俺を頼る理由もわかった、うーん
外で様子を聞いていたまめいが空気を読まずに客間に入ってくる
「男なら腹くくれよ」
シリアスな場面が台無しだろ
「お前はもっと空気読め」
「いいじゃねーかケチケチすんな!女の子泣かせんなよ!」
そういうとまめいは出ていった
まめいなりに気を利かせているんだろう
自分たちの事は気にせず受けろという事だ
いつの間にかこの街では一夫多妻制が推奨されている気がする
仕方ない、誘ったのは俺だ、最後まで面倒みよう
俺はリリアナの目を見つめなおし、返事をした
「わかった、女たちには順番があるらしい、それを待ってもらう事にはなるが
それでよければ受け入れよう」
リリアナは涙を浮かべ、うつむいた
その後、小さな声でありがとうございますと言うと、出ていった
まめいがまた現れた
「モテ期到来かぁ~?いい身分だなぁー」
お前が腹くくれって言ったんだろ
「いちいち煽らんと気が済まんのか」
「リア充爆発しろ!」
ミミが顔を出して話し出す
「でも、次はまめいさんの番ですよ」
まめいは固まった
やれやれ、こっちはこっちで忙しい
元の世界で学生くらいの頃、日本の君主制について
君主はやりたい放題でうらやましいなと思っていたものだが
女たちの不安も理解したうえで支えていかなきゃいけなかったと思うと
それはそれで忙しかったんだなと痛感した
俺は一言つぶやいた
「そうだな」
まめいはみるみる赤面し、寄生を上げながら逃げ出してしまった
思えば女性はまめいが一番付き合いが長い、ティルに先を越されたときとかは複雑だったんだろうか
もう少し真面目に相手することにしよう
戦争だなんだと忙しいが、いつまでかかるかわからないからな
”男なら腹くくれよ” まめいのメッセージだったのかと思うと、少し情けなくなった
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