異世界で魔物と産業革命

どーん

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第32話 - 領土の改善

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トレント村の土壌改善について解決策がわかったことでルガランドはお礼をした

「ありがとう魔王殿、しばらくこれで様子を見てみることにしよう」
「まて、まだだぞ、トレントたちはどうやって数を増やすんだ?」

ルガランドは不思議そうに質問した

「土壌の改善はこれでよいのだろう?なぜ我々の数について聞く」
「土壌の改善は非常に時間がかかる、それ以前に土地が枯れた理由はお前たちが増えすぎたことにある、それも合わせて手を打たなければ効果は薄いぞ」

ルガランドはなるほどといった表情を見せた

トレントは一定の年齢を経るごとに株分けができ、新しい苗木を数年ごとに作れるらしい
俺はその株分けを制限するか、古い樹木を伐採するなどして数を制限することを伝えた

トレントたちは株分けした者たちと自我を共有することができるので古い樹木を処分すること自体は問題ないそうだ
そうやって集落の新陳代謝を促し、処分した古い樹木で状態のいいものは城で買い取る事にした

これで集落には貨幣が流通し、新陳代謝と共に木材を産む、どちらにも利益があるよい取引になりそうだ

「ルガランド、後日こちらに堆肥置き場を作らせる者たちを送る、目印を持たせるからそいつらを通してやってくれ」
「何から何まで助かる、魔王殿」
「こちらこそ、城で木材を購入したお金で我々から動物の骨を買うとよい、肥料として使えるだろう、ついでにトレントの移民なら大歓迎だ、増えすぎたらまた相談してくれ」

想像以上によい結果を生んだ
もしかすると他の集落も困っているかもしれないな
リリアナとティルに聞いて交易の流通量と自給が必要なものについて相談してみよう

それに、城に全ての魔物を無制限に受け入れ続けるのもこれから厳しくなる、戦争のせいで人が減っていたが、しばらく予定はないからな
それに、城の外に拠点を持つ魔物たちに産業を肩代わりしてもらうことで城の土地を節約できる

しばらくは産業が可能な魔物の集落を回って取引からはじめよう



夏が終わる頃になるとトレント村の木材が大量に届いた
数万トンもの量になり、森が無くなってないか心配になるほどだった

魔力を含んでおり、非常に上質で杖や装飾品として加工するとオークターヴィル魔道国家から喜ばれた
トレントの木材を利用して武器を作るとほとんど全てが魔力を帯び、マジックアイテムという価値の高い品になるからだ

鉄よりも軽く、しなやかで丈夫、さらに加工もしやすいため飛ぶように売れた
木炭にすれば通常の何倍も長持ちし、家屋の材料にすれば気密性が高く一年中快適に過ごすことができる

最も人気があるのは家具だった
トレント製ベッドはものすごく寝心地がいいのだ
製品として加工し終えた後も、魔術の心得があるものであればある程度形を変えることができ、種族の好みに合わせた形のベッドへ変貌する

夢のような木材に魔王領全土で大流行し、あっという間に高級品になった

魔物は人間には敵対的であるためここでしか生産できない
一次産業を魔物に依頼し、二次加工を城下町で行う
このスタイルは街全体の技術を底上げする結果にもなった
優秀なエルフやドワーフの職人が集まるようになり街の商業区は元の世界でいう都心並みの密集度だ

しかし、弊害もでた、貨幣の流通量が多くない集落では買えないのだ
トレント村の様子を聞いた各種族から産業を持ちたいという声が多く上がるようになり俺はしばらくあちこちの集落へ回ることになってしまった



今日はハーピー達から産業の開発依頼が来た

第二次侵略戦争に参加してもらった種族だ
トレント村の産業の様子を聞いて何かできないかという相談だ

俺はハーピーの巣に向かい、女王に挨拶した

「相談があるそうだな、俺は玄人だ」
「はるばるお越しいただき感謝いたします、魔王殿、ヘルミナとお呼びください」

ヘルミナは体の大きさは2メートルほどだろうか、他のハーピーは1メートルとちょっと、魔物の長はなぜ一回り大きいのだろうか

鳥の足に女性の胴、腕は翼となり顔は美しい女性だ、黒い紋様があり怪しい雰囲気を持つ

ヘルミナは相談の内容を話し出した

「魔王殿、トレント村で産業を起こしたという事を伺いました、我が子らにも仕事を与えたいのです、お知恵を貸して頂けないでしょうか」
「ふむ、ちょっと巣を見てもいいか?」

そうして俺は巣の中をあちこち案内してもらった

ハーピーは山の洞窟など標高の高いところに住む魔物でここも例外ではない
天然のダンジョンの奥に住んでおり、中に住む低級の魔物たちは全て服従させていた

巣の中は原始的な生活をしているものが多く、焚火くらいは使うようだが、ほぼ原始人だ
アヌビスに案内してもらった最初の住処を思い出す

産業は鳥の羽を用いたものがいいだろう、そこら中に散らばっている
一通り見て回った後、ヘルミナのもとへ戻った

「ヘルミナ、ハーピーは作業というものは可能か?ノコギリややすり掛けが主かな」
「それくらいならば可能だろう、我らに何ができるだろうか?」

ヘルミナは落ち着いた雰囲気を装いつつ、ワクワクしながら興味深そうに聞いてくる
見た目は少し恐ろしい雰囲気を持つ魔女風だがこうしてみるとなかなかかわいいものだ

「そうだな、まずは羽毛を集めてくれ、城で買い取る、それと矢を制作してほしい」
「羽毛については賜った、矢については矢じりなど石でよいのか?」

矢じりの問題があったか、うーむ、鉄の矢じりは城から買ってもらって矢をさらに高く買い取ることで利益を保証しよう

「最初の生産分はこちらでいくつか鉄製のものを用意しよう、それを使ってくれ、そして矢ができたら矢じり以上の金額で買い取る、以降は矢じりを城から買ってくれればよい」
「なるほど、わかった、木材はこちらで調達すればよいか?」

木材か、トレントの枝を使うのがいいかもな、お互い交流も図れるだろう

「いや、トレントの村から買い付けてくれ、枝は余っているはずだ、話しはつけておく」
「承った、さらに我らの羽毛で矢羽根をこしらえればよいのだな」
「その通りだ、使い切らないでくれよ、羽毛自体も欲しいんだ、マットレスや枕の素材にしたい」

城の寝具はまだ藁がメインだ、ハーピーたちから羽毛が提供されれば更に生活の質はあがるだろう、これも高級品になる予感がする



収穫祭が近づく頃、例によってハーピーたちから羽毛と矢が届いた

魔物産というのはなぜこうも品質がよいのか
トレント村しかり、例外なく魔力を含んだ羽毛で吸水性、保湿性が高く乾燥させても劣化しにくい
風の精霊の加護があるのか握っているだけで風をほのかに感じる

ハーピーの羽毛を使ったマットレス、枕はトレント村の木材同様飛ぶように売れた
アラクネの布で作っているので肌ざわりも最高
元の世界の怪しい成金広告の男になった気分だ

特に子供を持つ女性に人気が高く、ティルやまめいも大いに喜んでいた

矢に至っては使うのが惜しいほどの品質だった
飛距離は従来の矢の数倍に至る
さらに魔力による軌道のインプットが可能で、ほんの少しであれば射出した後に曲がるのだ
こんなもの使われる側からすれば反則だな

また、トレントの木材を使用しているので着弾後、矢から木の枝を伸ばすことができた
これは矢に使われている木が太いほど伸ばす枝が大きく強力になる

サイクロプスなどの巨人族用にバリスタを作って大型のバリスタ弾にもトレント木材を使用しよう

着弾後爆発的に伸びる枝で二次被害を期待できる
今すぐに必要なものではないので将来戦争が起きるときにでも使おうか

また、ハーピーとトレントの交流も生まれ、種族間交流も盛んになったそうだ
トレントは肥料用の魔獣調達をハーピーにも依頼するようになった
無理だろうといわれていた魔物間の交易が発生し俺はものすごくうれしい

ヘルミナは城で製造されたハーピー羽毛枕がお気に入りで特大の枕をいくつも発注していた
きっと自分の寝床に枕を敷き詰めてうっとりしているんだろうか

トレント、ハーピー、アラクネの素材を使った家具はもう名産品と言っていいだろう
いつの間にか二次、三次加工品による生産品に溢れ、またそれぞれ魔王領特有の素材を使った技術が成長し、おそらく寝具なら世界トップクラスだ

オークターヴィル魔道国家を通じて人間の国の貴族、王室にも需要が高く、死ぬほど高値で買いつけるため関税で潤っていることだろう



秋が訪れ、収穫祭の準備が始まる

そういえば、トレント村へ産業開発をしに行く頃、ミミが妊娠した
収穫祭の直前だが、リリアナも妊娠したそうだ

例外なく二人とも懐妊祝いでまる4日ずつ騒ぎまくった
もう恒例になりつつある、付き合うのも慣れてきたのでもうこのままでいいだろう

戦争も当分ない事だし今がチャンスと言わんばかりに頑張った
ティルの時もまめいの時も城に被害が及んだらどうするのかとハラハラしたからな

相次ぐ懐妊報告になぜかシトリが微妙に焦りを感じているようで、元々そういう性格だったがベタベタしてくる機会が増えている

すいません、お父様が怖すぎるんで無理です勘弁してください
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