37 / 41
第37話 - ヨルムンガンド
しおりを挟む
ティルの話しを聞いてトレント村の西のダンジョンへ来た
ティルに許可をもらって今日はクルハとアヌビスを連れてきている
クルハは初めての洞窟探検に興奮しているようだ
「昔の父上は冒険によく行ってたんですか?」
「いや、俺は昔アラクネの子供たちにも勝てなかったからな、ダンジョンへ潜るのは初めてだぞ」
クルハはものすごく意外そうだった
「へぇぇ~今は魔王と呼ばれているのにそんな事があったんですね」
アヌビスがクルハを見て話す
「今日はボクが先輩だからな、玄人もクルハもボクの言う事聞くように」
「そうだな、アヌビスは昔からよくダンジョンへ行ってた、よろしく頼むよ」
クルハは目をキラキラさせながらアヌビスに返事をした
「はーい!よろしくお願いします先生!」
ダンジョンでは酸素が不足しやすいので火の魔術をなるだけ使わない事
広範囲魔術は崩落の危険があるので使わない事
はぐれると危険なので密集する事
この3つが大原則だとアヌビスから教わった
最初のうちはクルハが実践訓練と手加減を覚えるためにメインで戦う事になった
人間でいえば実践はかなり早いが竜人のクルハはもうアヌビスと同等の魔力を持っており、竜の姿へ変身すればそこらの魔物よりずっと堅い
クルハは竜化しても四つ足で立つような竜ではなく、二本足で立つ人に近い形の竜になることができ、サイズも人とそう変わらない
爪と牙があるが人用の装備ももちろん使える、今回は最初から竜化して挑む
正直俺よりチートだろう
ダンジョンは洞窟タイプで地下へ潜っていく形
1F - 10Fはおなじみスライムとゴブリンだった
クルハが適当に剣を振り回したり尻尾を振り回してると勝手に敵が死ぬ
俺見てる必要なくね?
11F - 15Fからはオークやトロルが出てくる
一応切り結んだり戦闘っぽいことをしているがクルハが固すぎてチャンバラだった
16F - 20Fは人狼や低級ヴァンパイアなどの魔物になった
敵の魔術による被弾が目立つが竜の加護すごい、傷ひとつ負わない
相手してる魔物の方が嫌がっていた、クルハの経験不足が浮き彫りになり、空振りが目立つ
途中で転んだりするがなんとか撃破してボスの間へ
クルハはさすがに疲れたようで休憩ついでにアヌビスへタッチ
興奮状態のミノタウロスだったがいくつか回り込むなどの戦闘テクを紹介するなどして余裕ぶりを見せつけていた
21Fからは様子ががらりと変わり迷宮からフィールドタイプになった
炎天下の砂漠でクルハは平気そうだが俺やアヌビスの方が露骨に消耗する
クルハが質問してくる
「砂漠ってほんと砂ばかりなんだね、魔物もぜんぜんいない」
「砂ばかりなのは確かにそうだな、魔物がいないのはわからないけど」
しばらく休憩していると、雰囲気が変わった
地面が揺れ、砂漠の砂が渦巻き始める
ゴゴゴゴゴゴ
渦巻くように回る砂から巨大なワームが姿を現した
アヌビスが鼻をヒクヒクさせ、クルハに話しかける
「クルハ、ここなら火の魔術は好きなように使っていいよ」
空間が広く、酸素が十分にあるからだ
クルハは喜んで翼を広げ、空を舞う
「父上ー!先生ー!障壁を出しておいてねー!」
そういうとクルハは大きく息を吸い込み、口から巨大ワームを覆うほどの火炎を吐き出した
ゴォォォォォォォォォォォォォォォ
巨大な火炎に包まれたワームは身をよじり叫びだす
「ギィィィィィィィ!!!」
ワームはしばらく苦しんだ後、たまらず砂へ潜って退避する
クルハがお構いなしに火を吐くので俺とアヌビスは灼熱地獄の拷問に耐え続けた
ワームは砂の中を移動しながらクルハへ飛び掛かってはまた潜る
俺とアヌビスはクルハがどう解決するか興味深く観察した
まずは飛び出してくる瞬間に火炎を吐く方法を試したが、火力が足りず、ダメージは与えているが今一つ効果がない
次に剣で斬りつけるも大きすぎて決定打にはならず、やけになって爪を立ててみたが剣よりも効果が低い
しばらく観察しつつ考えていたが、ついには魔術で火の玉を作り出し敵が出てくるのを待っている、ワームが飛び掛かってくると火の玉を食わせ、クルハは距離をとると火の玉を爆発させた
ワームは砂の上をバタバタとのたうち回ると、息絶えた
俺は拍手をしてクルハを迎えた
「おめでとう、初めての難敵だったな」
「疲れたー、大きいといろんな攻撃の効果が低くなるんだね」
俺はうんうんうなずいているとアヌビスが口を挟む
「自分より大きな相手は魔術を効率よく使うのが最も効果が高いぞ」
「そっかぁ、魔術ももっと勉強しなきゃなー」
お父さんうれしい、息子の成長がこんなに近くで見られるんなんて
25Fまでは似たような感じでクルハがいい経験を積みながら進んできたが26Fからはまた雰囲気が変わった
かなり大きめの部屋になった印象だ、闘技場のような
出てくる魔物はほぼ全てボスクラス、竜の鱗にも効果がある魔術を使う魔物が現れ、3人で攻略をつづけた
29Fの最深部にたどり着き、ボスを倒した部屋で休憩を始める
クルハの様子を見るとところどころ鱗が傷ついている
「クルハ、ポーションを使っておきな」
「ありがとう父上、結構時間かかるね」
そういうとクルハは豪快にポーションを頭から浴びた
「そうだなぁ、アヌビス、城の近くのダンジョンもこんなものか?」
「んー?いや、20Fくらいまでかな城の近くは、こんなに深くない」
クルハが飛び上がり、嬉しそうにアヌビスへ質問した
「ほんと!?じゃあここは初めての冒険なの?」
「このダンジョン自体が初めてなんだけど、この深さまで来たのも初めてだね」
「やったぁ!帰ったら母上に自慢するんだ!」
竜とは言えまだ人間の子供のような一面があるな、かわいい。人間ならもうすぐ反抗期、竜にもあるんだろうか
休憩しているとクルハがあくびをし始めた
29Fまでノンストップだったからな、さすがに疲れが出たか
外の時間はわからないが、仮眠をとってから30Fに挑戦することにした
…
数時間経って目が覚めた
クルハが目玉焼きを作っている
「おはよう、父上、先生。もうすぐ目玉焼きが焼けるよ」
ダンジョン楽しい、子供にこんなことしてもらえるなんて、簡単な料理はまめいやティルから少し教わっているそうだ
料理もできない父親を遥かに超えたチート息子だ
さすがに俺でも目玉焼きは作れるかな、親バカが過ぎたか
軽く食事をし、30Fへ挑むことにした
29Fの大きな扉を開けると小さな洞窟のような所へ出た
洞窟の外を見ると巨大な山脈が並ぶ景色が目に入る、さらに巨大な海があり地平線が見えるほど大きな空間に出たようだ
ズズズズズズ...
何かが這いずり回る音がする、山が揺れるほど大きな生物がいる
すると左手にある山脈の向こうから巨大な蛇が顔を覗かせる
蛇はこちらを見つけると、どこからともなく大きな音がする
ゴゴゴゴゴ
アヌビスが叫んだ
「玄人!右から来る!」
目をやると尻尾が上空から降りかかってくる、山ふたつはあるであろう距離の胴を持つ蛇か
俺は障壁を張って蛇の尾撃を防いだ
遠近法で小さく見えていたようで、尾の大きさから察するにとぐろを巻けばおそらく山ほどの体長だろう
想像以上にデカかった
こいつがヨルムンガンドで間違いなさそうだ
アヌビスへクルハを預け、俺はヨルムンガンドと相対した
話しをしに来たがダンジョン攻略者とみなされているのか一方的に攻撃される
とりあえず応戦して話しをするタイミングを伺う事にした
尾は重力魔術で動きを封じ、ヨルムンガンドの顔の前まで転移した
空気中に大きな雪の結晶を生成すると俺はその上を歩いて近づく
ヨルムンガンドは頭を空高く持ち上げると海から大きな津波を呼び起こし、山脈を覆うほどの海水をぶつけてきた
山を越える量の水の質量はすさまじく、障壁で守っているにも関わらず地面へ叩きつけられてしまった
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
さらに巨大な海水が山を飲み込み一瞬で海になる
遠慮なんかしてる余裕はなさそうだ、俺は転移魔術で海面まであがり、山を乾かしてやろうと巨大な炎の塊を作り出す
海面へぶつけるとすさまじい爆発と共に海水が吹き飛ぶ
シュッ ドォォォーーーーーーン
全ての海水を消す事はできなかったが爆発の影響でヨルムンガンドがダメージを受けているのがわかる
ヨルムンガンドは顔を水面まで上げると口を開け、高水圧の水流を吐き出してくる
俺は障壁を3枚張って耐える体制をとった
(山を沈めるほどの魔力、念のため避けておいた方がいいかな)
念のため回避運動も行うと高水圧水流は障壁がなかったかのように全て貫いた
(直撃してたら危なかったな)
さらにヨルムンガンドは高水圧水流で攻撃してくる
大きく開けた口を見て、閃いた
(こういう巨大生物の弱点と言えば体内だろ)
俺は口の中まで転移し、ありったけの魔力で放電した
30秒ほど放電しただろうか、ヨルムンガンドは気絶し、海水は徐々に海へ引いていった
…
横たわるヨルムンガンドの側で昼食をとっているとヨルムンガンドは目を覚ました
「ワシは負けたのか...なぜ生かしたのだ」
ゆっくりと体を起こし、昼食をとる俺たちに向かって話し出した
ダンジョンの攻略が目的でなかったことと、交易の話を伝えるとヨルムンガンドは不思議そうな顔をしていた
「皮が欲しいなら殺して奪えばよいではないか」
「それでは一回きりになってしまうだろう?今後もいい取引を続けたいからさ」
「ふーむ、それで皮はいらぬが抜け殻をよこせと」
俺は頷きながら返事をした
「そうだね、抜け殻とはいえ一応革だしな、取引してくれるならこちらも何か渡そう。通貨には興味なさそうだしな、酒なんかどうだ?」
ヨルムンガンドは返事をした
「ワシは負けたのだ。命令すればよい」
「主従の契約の方がいいって事か?」
「それが望みであれば」
俺は少し考えた
世界を勝者と敗者で分けるタイプかな?話しが噛み合わん
どうしようかな、取引できればよかっただけなんだけど...
うーん、とりあえず主従の契約をして、抜け殻のお礼にお酒渡せばいいかな
勝手に社員みたいな感じで扱ってしまうか
「よし、主としてお前を従えよう」
「承知した、今よりワシはそなたに従う蛇となる」
「俺は玄人だ、お前は今からヨルンと名乗れ」
ヨルンは頭を垂れると体を小さくし、俺の左腕に巻き付くと腕輪のようになってしまった
俺は腕輪になったヨルンに話しかける
「便利だな、抜け殻は忘れないでくれよ?」
「後日、使いの者に運ばせよう」
「わかった、酒は好きか?帰ったら飲ませてやるぞ」
取引にならなかったのは残念だが集落を持つような性格ではなさそうだし、これでよかったのかもしれない
城へ戻ろう
ティルに許可をもらって今日はクルハとアヌビスを連れてきている
クルハは初めての洞窟探検に興奮しているようだ
「昔の父上は冒険によく行ってたんですか?」
「いや、俺は昔アラクネの子供たちにも勝てなかったからな、ダンジョンへ潜るのは初めてだぞ」
クルハはものすごく意外そうだった
「へぇぇ~今は魔王と呼ばれているのにそんな事があったんですね」
アヌビスがクルハを見て話す
「今日はボクが先輩だからな、玄人もクルハもボクの言う事聞くように」
「そうだな、アヌビスは昔からよくダンジョンへ行ってた、よろしく頼むよ」
クルハは目をキラキラさせながらアヌビスに返事をした
「はーい!よろしくお願いします先生!」
ダンジョンでは酸素が不足しやすいので火の魔術をなるだけ使わない事
広範囲魔術は崩落の危険があるので使わない事
はぐれると危険なので密集する事
この3つが大原則だとアヌビスから教わった
最初のうちはクルハが実践訓練と手加減を覚えるためにメインで戦う事になった
人間でいえば実践はかなり早いが竜人のクルハはもうアヌビスと同等の魔力を持っており、竜の姿へ変身すればそこらの魔物よりずっと堅い
クルハは竜化しても四つ足で立つような竜ではなく、二本足で立つ人に近い形の竜になることができ、サイズも人とそう変わらない
爪と牙があるが人用の装備ももちろん使える、今回は最初から竜化して挑む
正直俺よりチートだろう
ダンジョンは洞窟タイプで地下へ潜っていく形
1F - 10Fはおなじみスライムとゴブリンだった
クルハが適当に剣を振り回したり尻尾を振り回してると勝手に敵が死ぬ
俺見てる必要なくね?
11F - 15Fからはオークやトロルが出てくる
一応切り結んだり戦闘っぽいことをしているがクルハが固すぎてチャンバラだった
16F - 20Fは人狼や低級ヴァンパイアなどの魔物になった
敵の魔術による被弾が目立つが竜の加護すごい、傷ひとつ負わない
相手してる魔物の方が嫌がっていた、クルハの経験不足が浮き彫りになり、空振りが目立つ
途中で転んだりするがなんとか撃破してボスの間へ
クルハはさすがに疲れたようで休憩ついでにアヌビスへタッチ
興奮状態のミノタウロスだったがいくつか回り込むなどの戦闘テクを紹介するなどして余裕ぶりを見せつけていた
21Fからは様子ががらりと変わり迷宮からフィールドタイプになった
炎天下の砂漠でクルハは平気そうだが俺やアヌビスの方が露骨に消耗する
クルハが質問してくる
「砂漠ってほんと砂ばかりなんだね、魔物もぜんぜんいない」
「砂ばかりなのは確かにそうだな、魔物がいないのはわからないけど」
しばらく休憩していると、雰囲気が変わった
地面が揺れ、砂漠の砂が渦巻き始める
ゴゴゴゴゴゴ
渦巻くように回る砂から巨大なワームが姿を現した
アヌビスが鼻をヒクヒクさせ、クルハに話しかける
「クルハ、ここなら火の魔術は好きなように使っていいよ」
空間が広く、酸素が十分にあるからだ
クルハは喜んで翼を広げ、空を舞う
「父上ー!先生ー!障壁を出しておいてねー!」
そういうとクルハは大きく息を吸い込み、口から巨大ワームを覆うほどの火炎を吐き出した
ゴォォォォォォォォォォォォォォォ
巨大な火炎に包まれたワームは身をよじり叫びだす
「ギィィィィィィィ!!!」
ワームはしばらく苦しんだ後、たまらず砂へ潜って退避する
クルハがお構いなしに火を吐くので俺とアヌビスは灼熱地獄の拷問に耐え続けた
ワームは砂の中を移動しながらクルハへ飛び掛かってはまた潜る
俺とアヌビスはクルハがどう解決するか興味深く観察した
まずは飛び出してくる瞬間に火炎を吐く方法を試したが、火力が足りず、ダメージは与えているが今一つ効果がない
次に剣で斬りつけるも大きすぎて決定打にはならず、やけになって爪を立ててみたが剣よりも効果が低い
しばらく観察しつつ考えていたが、ついには魔術で火の玉を作り出し敵が出てくるのを待っている、ワームが飛び掛かってくると火の玉を食わせ、クルハは距離をとると火の玉を爆発させた
ワームは砂の上をバタバタとのたうち回ると、息絶えた
俺は拍手をしてクルハを迎えた
「おめでとう、初めての難敵だったな」
「疲れたー、大きいといろんな攻撃の効果が低くなるんだね」
俺はうんうんうなずいているとアヌビスが口を挟む
「自分より大きな相手は魔術を効率よく使うのが最も効果が高いぞ」
「そっかぁ、魔術ももっと勉強しなきゃなー」
お父さんうれしい、息子の成長がこんなに近くで見られるんなんて
25Fまでは似たような感じでクルハがいい経験を積みながら進んできたが26Fからはまた雰囲気が変わった
かなり大きめの部屋になった印象だ、闘技場のような
出てくる魔物はほぼ全てボスクラス、竜の鱗にも効果がある魔術を使う魔物が現れ、3人で攻略をつづけた
29Fの最深部にたどり着き、ボスを倒した部屋で休憩を始める
クルハの様子を見るとところどころ鱗が傷ついている
「クルハ、ポーションを使っておきな」
「ありがとう父上、結構時間かかるね」
そういうとクルハは豪快にポーションを頭から浴びた
「そうだなぁ、アヌビス、城の近くのダンジョンもこんなものか?」
「んー?いや、20Fくらいまでかな城の近くは、こんなに深くない」
クルハが飛び上がり、嬉しそうにアヌビスへ質問した
「ほんと!?じゃあここは初めての冒険なの?」
「このダンジョン自体が初めてなんだけど、この深さまで来たのも初めてだね」
「やったぁ!帰ったら母上に自慢するんだ!」
竜とは言えまだ人間の子供のような一面があるな、かわいい。人間ならもうすぐ反抗期、竜にもあるんだろうか
休憩しているとクルハがあくびをし始めた
29Fまでノンストップだったからな、さすがに疲れが出たか
外の時間はわからないが、仮眠をとってから30Fに挑戦することにした
…
数時間経って目が覚めた
クルハが目玉焼きを作っている
「おはよう、父上、先生。もうすぐ目玉焼きが焼けるよ」
ダンジョン楽しい、子供にこんなことしてもらえるなんて、簡単な料理はまめいやティルから少し教わっているそうだ
料理もできない父親を遥かに超えたチート息子だ
さすがに俺でも目玉焼きは作れるかな、親バカが過ぎたか
軽く食事をし、30Fへ挑むことにした
29Fの大きな扉を開けると小さな洞窟のような所へ出た
洞窟の外を見ると巨大な山脈が並ぶ景色が目に入る、さらに巨大な海があり地平線が見えるほど大きな空間に出たようだ
ズズズズズズ...
何かが這いずり回る音がする、山が揺れるほど大きな生物がいる
すると左手にある山脈の向こうから巨大な蛇が顔を覗かせる
蛇はこちらを見つけると、どこからともなく大きな音がする
ゴゴゴゴゴ
アヌビスが叫んだ
「玄人!右から来る!」
目をやると尻尾が上空から降りかかってくる、山ふたつはあるであろう距離の胴を持つ蛇か
俺は障壁を張って蛇の尾撃を防いだ
遠近法で小さく見えていたようで、尾の大きさから察するにとぐろを巻けばおそらく山ほどの体長だろう
想像以上にデカかった
こいつがヨルムンガンドで間違いなさそうだ
アヌビスへクルハを預け、俺はヨルムンガンドと相対した
話しをしに来たがダンジョン攻略者とみなされているのか一方的に攻撃される
とりあえず応戦して話しをするタイミングを伺う事にした
尾は重力魔術で動きを封じ、ヨルムンガンドの顔の前まで転移した
空気中に大きな雪の結晶を生成すると俺はその上を歩いて近づく
ヨルムンガンドは頭を空高く持ち上げると海から大きな津波を呼び起こし、山脈を覆うほどの海水をぶつけてきた
山を越える量の水の質量はすさまじく、障壁で守っているにも関わらず地面へ叩きつけられてしまった
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
さらに巨大な海水が山を飲み込み一瞬で海になる
遠慮なんかしてる余裕はなさそうだ、俺は転移魔術で海面まであがり、山を乾かしてやろうと巨大な炎の塊を作り出す
海面へぶつけるとすさまじい爆発と共に海水が吹き飛ぶ
シュッ ドォォォーーーーーーン
全ての海水を消す事はできなかったが爆発の影響でヨルムンガンドがダメージを受けているのがわかる
ヨルムンガンドは顔を水面まで上げると口を開け、高水圧の水流を吐き出してくる
俺は障壁を3枚張って耐える体制をとった
(山を沈めるほどの魔力、念のため避けておいた方がいいかな)
念のため回避運動も行うと高水圧水流は障壁がなかったかのように全て貫いた
(直撃してたら危なかったな)
さらにヨルムンガンドは高水圧水流で攻撃してくる
大きく開けた口を見て、閃いた
(こういう巨大生物の弱点と言えば体内だろ)
俺は口の中まで転移し、ありったけの魔力で放電した
30秒ほど放電しただろうか、ヨルムンガンドは気絶し、海水は徐々に海へ引いていった
…
横たわるヨルムンガンドの側で昼食をとっているとヨルムンガンドは目を覚ました
「ワシは負けたのか...なぜ生かしたのだ」
ゆっくりと体を起こし、昼食をとる俺たちに向かって話し出した
ダンジョンの攻略が目的でなかったことと、交易の話を伝えるとヨルムンガンドは不思議そうな顔をしていた
「皮が欲しいなら殺して奪えばよいではないか」
「それでは一回きりになってしまうだろう?今後もいい取引を続けたいからさ」
「ふーむ、それで皮はいらぬが抜け殻をよこせと」
俺は頷きながら返事をした
「そうだね、抜け殻とはいえ一応革だしな、取引してくれるならこちらも何か渡そう。通貨には興味なさそうだしな、酒なんかどうだ?」
ヨルムンガンドは返事をした
「ワシは負けたのだ。命令すればよい」
「主従の契約の方がいいって事か?」
「それが望みであれば」
俺は少し考えた
世界を勝者と敗者で分けるタイプかな?話しが噛み合わん
どうしようかな、取引できればよかっただけなんだけど...
うーん、とりあえず主従の契約をして、抜け殻のお礼にお酒渡せばいいかな
勝手に社員みたいな感じで扱ってしまうか
「よし、主としてお前を従えよう」
「承知した、今よりワシはそなたに従う蛇となる」
「俺は玄人だ、お前は今からヨルンと名乗れ」
ヨルンは頭を垂れると体を小さくし、俺の左腕に巻き付くと腕輪のようになってしまった
俺は腕輪になったヨルンに話しかける
「便利だな、抜け殻は忘れないでくれよ?」
「後日、使いの者に運ばせよう」
「わかった、酒は好きか?帰ったら飲ませてやるぞ」
取引にならなかったのは残念だが集落を持つような性格ではなさそうだし、これでよかったのかもしれない
城へ戻ろう
0
あなたにおすすめの小説
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる