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11話
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ルーシーはゆっくりとオークジェネラルに向かって歩き始める
オークジェネラルはこん棒を振り上げ走りこんできた
ヴォォォォォォォォ ドガンッ
オークジェネラルは力いっぱいこん棒を振り下ろすもルーシーは最小限の動きで躱す
ルーシーは振り下ろされたこん棒に足を乗せると一瞬でオークの後ろへ跳び、刀を振りぬいた。オークの首がゆっくりとズレ落ちる
ルーシーは着地すると振り返り、オーク達を見下しながら挑発する
「どうした、鳴く暇も無かったか?ブヒー」
ルーシーの挑発を聞いたオーク達は顔が紅潮し、威嚇するように声を上げ始める
ヴィィィィ! ヴィィィ!
ルーシーは声を上げたオークから順に、瞬間移動するように背中に回り一瞬姿を見せてはまた消える
数秒後、オーク達の首が声を上げた順にズレ落ちていく、その場にいた全てのオークの首から勢いよく血が噴水のように空に舞う、まさに地獄と呼べるような景色だった
ルーシーは剣を強く振り、血を払う
カーラがは目を丸くしていた
「すごい…」
アンテは目を細めていた
「るーちんが戦うといつも地獄になりますねぇ」
ルーシーは一番大きなオークの建物にオーク達が使っていた焚火の薪を投げつけ、火をつける
「さっさと出て来い、この雨が止む前に出てくるなら顔くらい拝んでやるぞ」
(キングがきっといるはずだ、さっさと倒して終わらせてやる)
血の雨が弱くなる
大きな建物から地響きが聞こえてくる
ズシン ズシン
血の雨が止み、大きな建物の入り口が開く
「時間切れだ」
ルーシーはまた消え、建物の後ろに姿を現すと刀を振り終えており、建物の上半分は吹き飛んでいた、ジェネラルたちより二回りは大きいであろうオークの首からひときわ強く、高く血しぶきが空に舞う
…
オーク達が全て死んだのを確認するとアンテとカーラは囚われていた女性たちを助けた
既に全員妊娠しており、うつろな目で涙を流しながらぶつぶつとつぶやいていた
短期間で何度も出産を繰り返したのであろう、女性たちの足元は血だらけだった。血を失い蒼白な顔色が痛々しい
アンテが治療をして周り、カーラは順に介抱して回っていた
しばらくすると領主の騎士と思われる一団が到着した
ミストとラミアの姿も見える
騎士団長らしき男が声を上げる
「な、これは…」
あたり一面血しぶきを上げたオークのせいで、大きな赤い水たまりができていた
騎士たちはその異様な光景に驚き、どよめいているとラミアとミストがこちらを見つけて近寄ってきた
ラミアがルーシーに声を荒げて話しかける
「ちょっとあなた達!手柄を横取りするとはいったいどういう了見なの!」
ミストが話し出す
「なんだと!?ルーシー!君ってやつは…」
ルーシーはため息をついた
(この性悪女、なぜいつも相手を悪者にするところから始めるんだ)
「俺たちは街の住民達から話しを聞いてきた。日に日に増えるオーク達に怯えていたよ」
ミストが反論する
「そうだとしても領主として領民を護るのは当然の事だろう!通すべき筋というものがある。君がやったことはただの略奪だ!」
ルーシーは頭に来てまくしたてた
「略奪だと?俺たちの本分はなんだ?魔物を殺す事ではないのか?大方ジェネラル達にてこずって大した戦果も挙げられていなかったんだろう?どうしてここまで数が増えている?お前たちの方こそ何をしていた?5人も女たちが攫われるのを放っておいたのか?」
ミストがたじろいだ
「ぐ…てこずっていたのは確かにそうだが、俺たちだって毎日戦っていたんだ…」
ラミアが口を挟む
「そこまで言うのでしたら今回手柄を横取りしたことについては何も言いませんわ。ただし、今すぐここから立ち去りなさい!婦人方を心配している方もいらっしゃるでしょう。今すぐ送り届けて差し上げるといいわ」
ルーシーはラミアとミストを睨みつける
「フンッ」
(胸糞悪い連中だ、自分らで倒せなかったのだから感謝してほしいくらいだ)
…
ルーシーたちは街に帰り、親もとへ女たちを返していく
お腹の子はそれぞれに処分を任せた
おそらく生まれた直後に娘たちから隠し、殺すだろう。オーク達は死んだ後も街の人々に傷を植え付けた
その日は街で過ごし、酒場で食事をしていると素材回収を頼んだ男がルーシーの側に立ち、恐る恐る話しかけてきた
「あの、勇者様、助けてくだすってありがとうございました」
ルーシーは黙って食事を続けている、カーラが答えた
「いや、いいんだ。ボクたちの仕事だから」
「あの、それで…オーク達なんですが」
「ん?どうしたの?」
「騎士たちが解体して全部持ってちまったんですが…よろしかったんで?」
カーラとアンテは立ち上がった。カーラはあからさまに不機嫌そうな態度を取る
「なっ!ラミア…ほんと性格悪いな」
「いいがかりをつける上に素材まで手を出すなんてぇ、どっちが略奪者ですのぉ」
「あのアバズレ処女めぇぇ…今度会ったら大剣で尻ひっぱたいてやる」
ルーシーは匙を置き、水を飲んで一息つくとため息交じりに話し出した
「オーク100匹はなかなか大きな事件だな」
カーラは腕を組み、足をパタパタと上下させながらルーシーを見た
「ほんとだよ!どうしてくれよう」
「うーん、さすがに灸を据えてやらないと気が済まないな」
アンテがルーシーを見て考え事をしている様子を見て取ると質問した
「何かされるんですかぁ?」
「…ちょっと待ってろ」
そう言うとルーシーは席を立ち、主人に地図と紙とペンを貰うと領主の館の場所を確認し、紙に魔法陣を書いた
「カーラ、アンテ、何かラミアから貰ったものとか持ってないか?」
カーラとラミアがごそごそと自分の荷物を確認する
カーラが荷物から初級の魔法書を取り出した
「これ、ラミアがくれたんだけど、ちょっと魔法に憧れた時期があって…」
「それでいい、ちょうどいいから貸してくれ」
「うん、どうするの?」
「ふふっ、見てな」
オークジェネラルはこん棒を振り上げ走りこんできた
ヴォォォォォォォォ ドガンッ
オークジェネラルは力いっぱいこん棒を振り下ろすもルーシーは最小限の動きで躱す
ルーシーは振り下ろされたこん棒に足を乗せると一瞬でオークの後ろへ跳び、刀を振りぬいた。オークの首がゆっくりとズレ落ちる
ルーシーは着地すると振り返り、オーク達を見下しながら挑発する
「どうした、鳴く暇も無かったか?ブヒー」
ルーシーの挑発を聞いたオーク達は顔が紅潮し、威嚇するように声を上げ始める
ヴィィィィ! ヴィィィ!
ルーシーは声を上げたオークから順に、瞬間移動するように背中に回り一瞬姿を見せてはまた消える
数秒後、オーク達の首が声を上げた順にズレ落ちていく、その場にいた全てのオークの首から勢いよく血が噴水のように空に舞う、まさに地獄と呼べるような景色だった
ルーシーは剣を強く振り、血を払う
カーラがは目を丸くしていた
「すごい…」
アンテは目を細めていた
「るーちんが戦うといつも地獄になりますねぇ」
ルーシーは一番大きなオークの建物にオーク達が使っていた焚火の薪を投げつけ、火をつける
「さっさと出て来い、この雨が止む前に出てくるなら顔くらい拝んでやるぞ」
(キングがきっといるはずだ、さっさと倒して終わらせてやる)
血の雨が弱くなる
大きな建物から地響きが聞こえてくる
ズシン ズシン
血の雨が止み、大きな建物の入り口が開く
「時間切れだ」
ルーシーはまた消え、建物の後ろに姿を現すと刀を振り終えており、建物の上半分は吹き飛んでいた、ジェネラルたちより二回りは大きいであろうオークの首からひときわ強く、高く血しぶきが空に舞う
…
オーク達が全て死んだのを確認するとアンテとカーラは囚われていた女性たちを助けた
既に全員妊娠しており、うつろな目で涙を流しながらぶつぶつとつぶやいていた
短期間で何度も出産を繰り返したのであろう、女性たちの足元は血だらけだった。血を失い蒼白な顔色が痛々しい
アンテが治療をして周り、カーラは順に介抱して回っていた
しばらくすると領主の騎士と思われる一団が到着した
ミストとラミアの姿も見える
騎士団長らしき男が声を上げる
「な、これは…」
あたり一面血しぶきを上げたオークのせいで、大きな赤い水たまりができていた
騎士たちはその異様な光景に驚き、どよめいているとラミアとミストがこちらを見つけて近寄ってきた
ラミアがルーシーに声を荒げて話しかける
「ちょっとあなた達!手柄を横取りするとはいったいどういう了見なの!」
ミストが話し出す
「なんだと!?ルーシー!君ってやつは…」
ルーシーはため息をついた
(この性悪女、なぜいつも相手を悪者にするところから始めるんだ)
「俺たちは街の住民達から話しを聞いてきた。日に日に増えるオーク達に怯えていたよ」
ミストが反論する
「そうだとしても領主として領民を護るのは当然の事だろう!通すべき筋というものがある。君がやったことはただの略奪だ!」
ルーシーは頭に来てまくしたてた
「略奪だと?俺たちの本分はなんだ?魔物を殺す事ではないのか?大方ジェネラル達にてこずって大した戦果も挙げられていなかったんだろう?どうしてここまで数が増えている?お前たちの方こそ何をしていた?5人も女たちが攫われるのを放っておいたのか?」
ミストがたじろいだ
「ぐ…てこずっていたのは確かにそうだが、俺たちだって毎日戦っていたんだ…」
ラミアが口を挟む
「そこまで言うのでしたら今回手柄を横取りしたことについては何も言いませんわ。ただし、今すぐここから立ち去りなさい!婦人方を心配している方もいらっしゃるでしょう。今すぐ送り届けて差し上げるといいわ」
ルーシーはラミアとミストを睨みつける
「フンッ」
(胸糞悪い連中だ、自分らで倒せなかったのだから感謝してほしいくらいだ)
…
ルーシーたちは街に帰り、親もとへ女たちを返していく
お腹の子はそれぞれに処分を任せた
おそらく生まれた直後に娘たちから隠し、殺すだろう。オーク達は死んだ後も街の人々に傷を植え付けた
その日は街で過ごし、酒場で食事をしていると素材回収を頼んだ男がルーシーの側に立ち、恐る恐る話しかけてきた
「あの、勇者様、助けてくだすってありがとうございました」
ルーシーは黙って食事を続けている、カーラが答えた
「いや、いいんだ。ボクたちの仕事だから」
「あの、それで…オーク達なんですが」
「ん?どうしたの?」
「騎士たちが解体して全部持ってちまったんですが…よろしかったんで?」
カーラとアンテは立ち上がった。カーラはあからさまに不機嫌そうな態度を取る
「なっ!ラミア…ほんと性格悪いな」
「いいがかりをつける上に素材まで手を出すなんてぇ、どっちが略奪者ですのぉ」
「あのアバズレ処女めぇぇ…今度会ったら大剣で尻ひっぱたいてやる」
ルーシーは匙を置き、水を飲んで一息つくとため息交じりに話し出した
「オーク100匹はなかなか大きな事件だな」
カーラは腕を組み、足をパタパタと上下させながらルーシーを見た
「ほんとだよ!どうしてくれよう」
「うーん、さすがに灸を据えてやらないと気が済まないな」
アンテがルーシーを見て考え事をしている様子を見て取ると質問した
「何かされるんですかぁ?」
「…ちょっと待ってろ」
そう言うとルーシーは席を立ち、主人に地図と紙とペンを貰うと領主の館の場所を確認し、紙に魔法陣を書いた
「カーラ、アンテ、何かラミアから貰ったものとか持ってないか?」
カーラとラミアがごそごそと自分の荷物を確認する
カーラが荷物から初級の魔法書を取り出した
「これ、ラミアがくれたんだけど、ちょっと魔法に憧れた時期があって…」
「それでいい、ちょうどいいから貸してくれ」
「うん、どうするの?」
「ふふっ、見てな」
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