中二病魔王が大戦の伝説に憧れて勇者を育てる

どーん

文字の大きさ
14 / 33

14話

しおりを挟む
ヒュドラが形を成したころ、ルーシーは二人に声をかける

「ここなら俺のスキルも存分に活用して戦えるだろ、二人でやってみな」

カーラは驚いてルーシーを見る

「ハァ!?ルーちんうそでしょ!!」

アンテは涙目で訴えかけてくる

「るーちん…仲間外れにしたことはあやまりますぅ…次はるーちんも一緒に探求しましょぉぉ」
「そこに怒ってるんじゃないんだよ、いいから行ってこい」

ヒュドラは固まっている勇者たちに向けて毒液を飛ばす

ビュッ バシャッ

アンテとカーラは飛び退いて躱す、ルーシーは避ける素振りも見せず直撃する
ルーシーはねばつく紫色の液体を見ながら話し出す

「あーあ、毒浴びちゃった。ちょっと洗ってくるから早く戦って」

アンテとカーラは焦った表情を見せたが平気そうなルーシーを見て混乱していた
ヒュドラは首を一つ伸ばし、カーラに噛みつく。カーラは攻撃に気づくとジャンプして躱そうと試みるが、足をくわえられてしまう

ヒュドラは大きく首を振り回しカーラが宙を舞う

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

ブンブン振り回されるカーラ
アンテは慌てて防護障壁を張る

「防護障壁を張りますぅ」

ヒュドラは2回ほどカーラを壁に叩きつけるとカーラは障壁でダメージこそほとんどないもののどんどん鎧が剥がれていく、カーラのブーツが脱げると勢いよく飛んでいきカーラはまた壁にぶつかった

「うぅっ目が回る…」

ヒュドラは標的をアンテに切り替えると首を伸ばして噛みつこうとする

「ひゃぁぁぁ!結界を展開しますぅ」

アンテの周りに光の幕が展開され、ヒュドラが牙がアンテの結界に阻まれる

ルーシーは関心しながら見ていた

(ヒュドラの攻撃も受け止めるのか、アンテの結界は予想以上に強力だな。しかしカーラは障壁があるのになんで鎧が剥がれるんだ?もはや自分で脱いでるとしか思えない)

一方的にやられる二人を見てルーシーは発破をかける

「お前たち一太刀も入れずにこのままやられるようなら助けてやんないからな」

カーラは立ち上がり、剣を構えた

「黙ってやられるわけないっての!」

ヒュドラは余った首でカーラに攻撃を仕掛ける
カーラは大きく息を吸って剣を上に構えるとタイミングを見計らって勢いよく振り下ろす

「すぅぅぅっ……やぁ!!」

カーラに攻撃をしかけたヒュドラの首が真っ二つに割れる
勢いにのってカーラがヒュドラの首を辿って駆け上がる

「まずひとぉつ!」

カーラが叫ぶと二つに割れたヒュドラの首がバラけ、小さな無数の蛇になった。カーラは急に足場を失い宙に浮く。ヒュドラのバラけた細い蛇がカーラの右手に絡みついていく。カーラは左手で蛇を払おうとする間に左足にも絡みついてくる。気を取られているうちに左手、右足も絡み取られカーラを大の字に拘束してしまう

「いやぁぁぁ!ちょ!恥ずかしいでしょ!!放せよぉぉぉぉ」

アンテはハラハラしながら見ていたがハッと思いついたようにルーシーを見ると呪文を唱え始めた

「大いなる父に祈りを捧げる子らが願う!迷える僕の祈りを聞き、大いなる父の威光を我が手に示せ!邪悪を断つ光の柱となりて敵を裁きたもう!」

するとどこからともなくカーラを中心に光の柱が上から振ってきた。一瞬まばゆい光を放つと共に何度も現れては消えていく。

光の柱はまばゆい光を放つたびに高熱を纏い、ヒュドラの首を何度も焼き、カーラを拘束する蛇たちは黒く焼け焦げていく。拘束がとけたカーラも着地すると呪文を唱え始める

「ミズガルズの尊い守護者トール!汝が敵、蛇なる獣に怒りを示せ!まばゆく輝く神速の鉄槌をボクの手に授けよ!」

”神雷槌”

カーラが剣を振り下ろすと巨大なハンマーの形をした稲妻が現れヒュドラに叩きつける
叩きつけられた稲妻は目も眩むほどの輝きを放つとヒュドラが激しく震え、感電した
数秒ヒュドラが震え続け、ゆっくりと地に伏せる


ルーシーはヒュドラに近づいて生死を確認すると、アンテとカーラに声をかけた

「おつかれ、すごいね。ヒュドラを倒しちゃうなんて」

アンテが答える

「そんなぁ…るーちんのスキルが無ければ無理ですよぉ」

カーラは息を切らしながらルーシーに話しかけた

「そういえば、なんでルーちん毒液平気なの?直撃してたよね?」
「ん?そうだね、俺にはあらゆる状態異常が効かないってだけ」
「えぇ…どうしてそんなにルーちんは特別なの…ボクたち追いつけるかなぁ…」
「アハハ、俺は万を超える魔物を倒してきたからね。すぐ追いつくよ」

アンテが力が抜けたように脱力しながら答える

「わたくしとあまり年齢変わらないのに万を超える魔物を倒してるんですかぁ…もしかして一人で魔王の目を閉じたりしてたんですかぁ?」
「んー?このダンジョンだってここに来るまでに100は倒してるでしょ、あと100回繰り返せばいいんだよ」
「………」
「………」

カーラとアンテは俺を見ながら言葉を失ってしまった

(2,000年も魔界で魔物を殺し続けたんだぞ。数千万はやってるけどな…)

アンテがため息をつきながら話す

「はぁ、るーちんの場合はスキルが異様に強いのでそれほど無理したように感じないのが困りますわぁ」
「最初は俺もみんなと一緒だったよ、スキルが増えるごとに効率はあがってくから頑張れ頑張れ」
「ほんとうですかぁ?るーちんがそういうならそうなんでしょうけれどぉ」

ヒュドラを解体した後は馬車もいっぱいになるので一度帰還することにした

(まだ俺の妄魔創成頼りとは言えこれで女神の加護も強くなるだろう。きっと自分たちだけで倒せるようになる日も遠くないはずだ、いずれ上位の悪魔たちを独力で倒せるようになってきたらかなり効率もあがるはず。他にも魔力を使った戦い方など教えたいことは山ほどある、早く成長してくれよ)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...