中二病魔王が大戦の伝説に憧れて勇者を育てる

どーん

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30話

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今日もカーラとアンテが仲良く部屋にやってきた

ラウムの一件以来よりベタベタするようになった。手をつなぐ、腕を組むなどが増え食堂に向かうときなんかはルーシーもついでに腕を組まされる

午前の授業が終わって昼食を取っているときの事だった
たまたま近くで食事をとっていたラミアの取り巻きの話しが聞こえてくる

「ラミアさま~最近謎の商団というものがあるのをご存じですか?」
「あ、私も聞いたことある。なんでも拠点を持たず名前も言わないけれど馬車の中身は非常に高価な品だらけなんですって」
「それあたしも聞いた!なんでも強力な魔剣さえも扱ってるらしいわ」

ルーシーはカーラに小声で話しかける

「あからさまに怪しいな。聞いたことある?」
「噂だけは…ボクもちょっと興味ある」
「ここ最近このあたりに出没するらしいですわよぉ。貴族の館を中心に回っているですってぇ」

アンテも噂を知っているようだ

「強力な魔剣というのも気になるな…アンテ、直近その商団はどこに現れたんだ?」
「この付近の領主の館、貴族の家を順番に回っているそうですよぉ、まだ現れていない貴族の所で待ってみますぅ?」

カーラが食いついてきた

「いく!ルーシーも興味あるんでしょ?行こうよ!」



それから勇育の周辺にある貴族の家をいくつか回っていると目撃例を聞くことができた

どうやら今は学園東の街に向かっているらしく今から向かえば街道にいるのではないかと言う事だった

早速、学園から借りた従魔を走らせ追いかける
街道を走っていると複数の馬車が連なって走っている

カーラがルーシーを見て話す

「ルーちん、あれじゃない?」
「確かに、商団っぽいな」
「それにしてもぉ、あの規模で拠点がないのはおかしいですわぁ」

よくよく見ると護衛の装備もものすごく高価だ
これほどの財力がありながら拠点を明かさないとはどういうことだ

ルーシーは商団に近づき、御者に話しかける

「やぁ、君たちはどこから来たんだ?」
「ゆ、勇者様…私らはこの街道の先にある街に行く途中でございます…」
「行先を聞いているんじゃあない。どこから来たのかと聞いた」

御者の挙動が非常に怪しい
目を泳がせ、あからさまだった

「ふぅ…積み荷を見てもいいか?魔剣に興味がある」

ルーシーがそういうと御者は商団を止め、商品を広げだした

「そ、そういう事でしたら是非見ていってください」

カーラ、アンテが見て回る
確かに価値の高いものが多い、二人は商品を手にとっては眺めて回っている
だが魔剣らしいものは見当たらなかった

商団のリーダーらしき人物にルーシーは念を押して聞いた

「魔剣を扱っていると聞いてきたんだ。ないのか?」
「いえ、はい。こちらに…」

しぶしぶ商団のリーダーは剣を取り出してきた
なんで買うという客にこれほど怪しい態度をとるのか…
これで貴族とよく取引できたものだ

ルーシーは白い布に包まれた剣を受け取り包みを開くと理由がわかった

「魔剣グラム…お前らこれをどこで手に入れた?」

この魔剣はルーシーが魔界で邪竜ファブニールを倒した際に手に入れ、魔王城で保管していた財宝だ

商団の男は言えない。の一点張りだったがこの剣を卸した者の名前はだいたい予想がつく
言い当てると観念したようで取引した場所を明かした

カーラとアンテに急用ができたと言い、二人を置いてルーシーは取引場所へ向かう



十分に距離を開けてからジークフリートの姿に戻り、転移魔術で取引場所とされる場所にたどり着くと、予想通り見知った顔がいた

「やっぱりお前だったか…」

ベルゼブブは男の姿で金貨を機嫌よさそうに数えていた

「ジ、ジーク!!」

ベルゼブブは驚き、慌てふためいて小岩の陰に隠れた

「お前魔王城に帰れないんじゃなかったのかよ。なぜグラムを持ち出した」
「こっそり帰って持ち出したんですよ!城の衛兵に見つかって持って帰れたのアレだけだったんですからね!」

ジークはため息をつく

「まぁそれはいいとして、あれは俺のモノだ。なぜ勝手に持ち出した」

ベルゼブブは立ち上がり猛抗議する

「前回城を譲るって言ったじゃないですか!それなら財宝も私のモノでしょう!」
「くっ…道理は通ってるな」

ベルゼブブは言い分が通ったとみるや岩陰から出てきて偉そうに元の場所に座る

「まぁ、私が城に戻った時は別の新魔王がいて既に私の城でも無かったんですけどね…」
「まったく…すぐに寝首掻こうとするのは悪魔らしいな」
「城にいないジークが言う事じゃないですよ。魔王したけりゃ椅子に座ってればいいじゃないですか」
「まぁ俺はいつでも取り戻せるから誰が王をしようと構わん。で、今回はどうするつもりだったんだ?魔剣まで売って」

ベルゼブブは嬉しそうに金貨を数えながら話し出す

「ふっふっふ、グラムを売った金貨を元手に大きな街の商団を買ったんです。これで金貨を増やしながら次は貴族になるんです」

悪魔のクセにしっかり将来設計してて調子が狂う
堕落した存在は努力も修行もしないんじゃなかったか?

「はぁ…いいけど勇者の育成を後回しにしたら商団ごと塵に変えてやるからな」
「う”…じ、自分でやればいいじゃないですか!なんでいつも私に言うんですか!」
「俺が魔王でお前が俺より下だからだろ」
「………それもそうですね」
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