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31話
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数年経った
勇者たちは大陸全土の魔物領土を奪還した
だが魔王の目は今も時折開く、以前と違うのは魔物の量
勇者たちだけでは到底さばききれない量の魔物が溢れるようになった
目が閉じる前には魔神クラスの悪魔も登場するようになった
今のところ全ての魔神は討伐できている
だが一度に数千と出てくる量の魔物を処理しきれなくなった
それらを後日、時間をかけて処理していくのだが広がる速度が速く日々討伐に勇者たちは狩りだされる
学園長と各国の王が会談を設け、魔界に侵攻する計画が進み始めている
魔王の目を二度と開かないようにする計画だ
魔王を倒せば開かなくなるという、真の魔王の誕生と共に目が開くようになるそうだ
魔王と名乗るのは自由だがそうではなく、魔界のTOPに君臨する実力者が現れると核が生成され、魔界が現世を浸食し始める現象が魔王の目の正体だった
先の人魔大戦では勇者が魔王を倒し、1,000年ほど平和が続いたそうだ
ちょうどルシファーが新魔王となったあたりから魔王の目が開くようになった
ルーシーとベルゼは魔界に帰っていた
勇者たちの能力が十分な実力に達したからだ
現在はベルゼブブが魔王城に王として居座っている
ルシファーは魔界で大人しく、気ままに暮らしている
…
数週間が経つと勇者たちは魔界で猛威を振るった
それぞれが魔神クラスの実力を持つようになったため止められるものがいないのだ
ベルゼブブがよくルシファーの元を訪れるようになった
ルシファーは魔王城を囲む巨大な山脈に小さな洞穴を作ってそこに住んでいる
洞穴は奥深く、光が届かないほど奥へ進んでいくと扉がある
扉を開けると魔王城が全て入ってしまうほど大きな広間があり、そこにルシファーはいる
ただただ、何をするわけでもなくずっと空間の中央に浮いて寝ている
ベルゼブブは不安そうな顔をしながらルシファーの近くまで近づく
「ジーク…私不安なんですが…」
「何がだよ」
ルシファーはゆっくりと目を開けて顔を覗き込むベルゼブブに目をやる
ルシファーからするとベルゼブブを倒すところまでが勇者育成であるためやられてもらわなければ困るのだ
一方ベルゼブブは城を貰ったもののあまりにも早い勇者の侵攻に戸惑っている
「勇者たちちょっと強くなりすぎてません?育てすぎですよ」
「そりゃ強くなってもらいたいからな」
「それぞれが魔神のごとき強さであるにも関わらず魔界の魔神たちはプライドばかりが高くて各個撃破されている状況ですよ。そしてまた勇者が強くなっていってます」
「俺に届きそうか?」
ベルゼブブは腕を組み、うーんと唸る
少しの間分析を続けていたがハッとここまで来た目的を思い出す
「そうじゃなくて助けてくださいよー、このままじゃ私やられちゃいますよ」
ベルゼブブは不安そうにルシファーを見ながら懇願する
うつむき、ため息を何度もつきながらチラチラとルシファーを見る
今日も勇者たちは侵攻の手を緩めず、何体か魔神を倒すと帰っていく1,000いる魔神たちももう100を切る程度になったのだ
「助けてもいいが魔王城も貰うしお前も含めて一度全員塵にしてやるからな?俺が王である事を再度認識させねばならんだろう」
顔色ひとつ変えずに恐ろしいことをさらりと言い突き放す
魔界とはそういうものだ、ルシファーからすれば自分からそうするより一度勇者たちに全ての魔神を倒して力をつけてほしいという思いがあるのでこれは嘘だった
面倒なので追い返してさっさと勇者に倒されて欲しいからだ
「ぐぅぅぅ…もうジークなんて知りませんよ!私が勇者倒しちゃいますからね!」
ベルゼブブは肩を落としながら帰っていく
…
さらに数週間経つ頃、魔神たちの気配はとうとう10を切った
さらに勢いを増した勇者たちは次の侵攻で魔王の城へ到達するだろう
ベルゼブブがまた訪れてくる
「ジーク、もう手伝えとは言いませんがひとつお願いがあります」
「なんだ?」
「私の後ろ盾としてジークの庇護下に置いてください」
ベルゼブブは宙に浮いたまま礼をする
これは降参を意味するものではない、相手よりも優位な立ち位置にいる事で力を増すスキル”傲慢”の権能に補正をかけるためだ。勇者よりも強いルシファーの庇護下にあれば傲慢による補正がかかる。勇者は単独の能力ではでルシファーに遠く及ばないためかなり強い恩恵が得られる算段だ
「いいぞ、お前がやられたら俺が仇を討ってやろう」
「ありがとうございます。おそらく今日には城へ来るでしょう、あとはよろしくお願いします」
ベルゼブブはまたため息をつきながら出ていった
傲慢の補正を求めてきたという事は既に勇者たちはベルゼブブより強いんだろう
…
数日後、ベルゼブブの気配が消えた
ルシファーはゆっくりと目を開き、地に足をつけると歩き出した
魔王城に着くと玉座に座る
勇者たちは帰ってしまっていたが数日後異変に気づきまた来るだろう
どうやって彼らを迎えよう?今の姿のままがいいか…ルーシーの姿で迎えるか…
ルーシーの姿であれば変な手心を加えられて実力を出し切らない可能性もあると考えたルシファーは今のままの姿で迎える事にした
勇者たちは大陸全土の魔物領土を奪還した
だが魔王の目は今も時折開く、以前と違うのは魔物の量
勇者たちだけでは到底さばききれない量の魔物が溢れるようになった
目が閉じる前には魔神クラスの悪魔も登場するようになった
今のところ全ての魔神は討伐できている
だが一度に数千と出てくる量の魔物を処理しきれなくなった
それらを後日、時間をかけて処理していくのだが広がる速度が速く日々討伐に勇者たちは狩りだされる
学園長と各国の王が会談を設け、魔界に侵攻する計画が進み始めている
魔王の目を二度と開かないようにする計画だ
魔王を倒せば開かなくなるという、真の魔王の誕生と共に目が開くようになるそうだ
魔王と名乗るのは自由だがそうではなく、魔界のTOPに君臨する実力者が現れると核が生成され、魔界が現世を浸食し始める現象が魔王の目の正体だった
先の人魔大戦では勇者が魔王を倒し、1,000年ほど平和が続いたそうだ
ちょうどルシファーが新魔王となったあたりから魔王の目が開くようになった
ルーシーとベルゼは魔界に帰っていた
勇者たちの能力が十分な実力に達したからだ
現在はベルゼブブが魔王城に王として居座っている
ルシファーは魔界で大人しく、気ままに暮らしている
…
数週間が経つと勇者たちは魔界で猛威を振るった
それぞれが魔神クラスの実力を持つようになったため止められるものがいないのだ
ベルゼブブがよくルシファーの元を訪れるようになった
ルシファーは魔王城を囲む巨大な山脈に小さな洞穴を作ってそこに住んでいる
洞穴は奥深く、光が届かないほど奥へ進んでいくと扉がある
扉を開けると魔王城が全て入ってしまうほど大きな広間があり、そこにルシファーはいる
ただただ、何をするわけでもなくずっと空間の中央に浮いて寝ている
ベルゼブブは不安そうな顔をしながらルシファーの近くまで近づく
「ジーク…私不安なんですが…」
「何がだよ」
ルシファーはゆっくりと目を開けて顔を覗き込むベルゼブブに目をやる
ルシファーからするとベルゼブブを倒すところまでが勇者育成であるためやられてもらわなければ困るのだ
一方ベルゼブブは城を貰ったもののあまりにも早い勇者の侵攻に戸惑っている
「勇者たちちょっと強くなりすぎてません?育てすぎですよ」
「そりゃ強くなってもらいたいからな」
「それぞれが魔神のごとき強さであるにも関わらず魔界の魔神たちはプライドばかりが高くて各個撃破されている状況ですよ。そしてまた勇者が強くなっていってます」
「俺に届きそうか?」
ベルゼブブは腕を組み、うーんと唸る
少しの間分析を続けていたがハッとここまで来た目的を思い出す
「そうじゃなくて助けてくださいよー、このままじゃ私やられちゃいますよ」
ベルゼブブは不安そうにルシファーを見ながら懇願する
うつむき、ため息を何度もつきながらチラチラとルシファーを見る
今日も勇者たちは侵攻の手を緩めず、何体か魔神を倒すと帰っていく1,000いる魔神たちももう100を切る程度になったのだ
「助けてもいいが魔王城も貰うしお前も含めて一度全員塵にしてやるからな?俺が王である事を再度認識させねばならんだろう」
顔色ひとつ変えずに恐ろしいことをさらりと言い突き放す
魔界とはそういうものだ、ルシファーからすれば自分からそうするより一度勇者たちに全ての魔神を倒して力をつけてほしいという思いがあるのでこれは嘘だった
面倒なので追い返してさっさと勇者に倒されて欲しいからだ
「ぐぅぅぅ…もうジークなんて知りませんよ!私が勇者倒しちゃいますからね!」
ベルゼブブは肩を落としながら帰っていく
…
さらに数週間経つ頃、魔神たちの気配はとうとう10を切った
さらに勢いを増した勇者たちは次の侵攻で魔王の城へ到達するだろう
ベルゼブブがまた訪れてくる
「ジーク、もう手伝えとは言いませんがひとつお願いがあります」
「なんだ?」
「私の後ろ盾としてジークの庇護下に置いてください」
ベルゼブブは宙に浮いたまま礼をする
これは降参を意味するものではない、相手よりも優位な立ち位置にいる事で力を増すスキル”傲慢”の権能に補正をかけるためだ。勇者よりも強いルシファーの庇護下にあれば傲慢による補正がかかる。勇者は単独の能力ではでルシファーに遠く及ばないためかなり強い恩恵が得られる算段だ
「いいぞ、お前がやられたら俺が仇を討ってやろう」
「ありがとうございます。おそらく今日には城へ来るでしょう、あとはよろしくお願いします」
ベルゼブブはまたため息をつきながら出ていった
傲慢の補正を求めてきたという事は既に勇者たちはベルゼブブより強いんだろう
…
数日後、ベルゼブブの気配が消えた
ルシファーはゆっくりと目を開き、地に足をつけると歩き出した
魔王城に着くと玉座に座る
勇者たちは帰ってしまっていたが数日後異変に気づきまた来るだろう
どうやって彼らを迎えよう?今の姿のままがいいか…ルーシーの姿で迎えるか…
ルーシーの姿であれば変な手心を加えられて実力を出し切らない可能性もあると考えたルシファーは今のままの姿で迎える事にした
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