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第一章
留守番
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公都ハメルンはブロティア王国第二の大都市であり、中央に聳えるシュタイエール公爵の城を中心とした楕円状の形をしている。
都市を囲む外壁には東西南北に門が存在しており、そこから真っ直ぐ城に向かって道が確保され、これが目抜き通りとなっている。
城に近い地域は貴族の屋敷が並ぶ貴族街とされており、城壁を隔てた外側に役所や大店の商店が立ち並ぶ中央街、そこから先が市民街と呼ばれている。
都市の周囲を外壁で囲んであるが、更に城と貴族街を城壁で囲んでいる事が重壁都市とも呼ばれている由縁である。
サトとロンメルは南門から馬車で入り、目抜き通りから少し外れた裏通りに入っていた。
「さて、着いたぞ。ここが儂の店『ロンメル商店』じゃ」
サトは馬車から降りて建物を見た。
二階建ての木造建築で奥行きは広いが、横幅は狭い。
中央に両開きの扉があり、その扉の上には店名を書いた看板があった。
ボーッと眺めるサトにロンメルが馬車から声をかける。
「裏通りの小さな店じゃ。ガッカリしたか?」
「あ、いや、そうじゃくて、何というかすごく趣があっていいですよ。正直、もっとボロいのを想像してたので」
「あまりボロいと裏通りとはいえ、景観を損ねると役所から小言を言われるんじゃよ。さて、儂は馬車屋に馬車を返して来るから、お前さんは先に入っといてくれ」
「馬車屋?」
「この馬車は借り物なんじゃよ。ほれ、これが鍵じゃ」
ロンメルはサトに鍵を渡すと、そのまま裏通りを進んでいった。
1人見知らぬ場所に置いて行かれたサトは急に不安になり、言われた通り店に入った。
窓を閉め切った室内は暗く、ほとんど何も見えなかったが、店の両端に棚があるのは分かった。
そして、しばらく室内を見回していると脳裏に言葉が浮かんできた。
「ロングソード? こっちはシミター? ああ、あそこに剣が陳列してあるんだな」
商品名が浮かんだ方を眼を凝らして見るとソードラックがあり、そこに幾つかの剣が並んでいるのがわかる。
「へぇ、この鑑定能力って見えなくてもわかるのか。便利な能力だな。それにしても剣なんて実物見るのは初めだよ。はぁ~、すごいな」
サトはソードラックに近づくと、物珍し気に陳列された剣を見回していく。
ロングソード、ブロードソード、レイピアなど様々な剣が置いてあった。
「これは凄いな。これなんか刃が厚くて……ファルシオンか。色んな剣があるん……」
「きゃああああああああ! 泥棒っ!」
珍しい形の剣を手に取っていたサトの耳に若い女性の悲鳴にも似た大声が聴こえてくる。
「ど、泥棒だって!?」
サトが異世界にも泥棒がいるのかと考えながら扉の方を向くと、何かを振りかざしながら近づいてくる人影があった。
都市を囲む外壁には東西南北に門が存在しており、そこから真っ直ぐ城に向かって道が確保され、これが目抜き通りとなっている。
城に近い地域は貴族の屋敷が並ぶ貴族街とされており、城壁を隔てた外側に役所や大店の商店が立ち並ぶ中央街、そこから先が市民街と呼ばれている。
都市の周囲を外壁で囲んであるが、更に城と貴族街を城壁で囲んでいる事が重壁都市とも呼ばれている由縁である。
サトとロンメルは南門から馬車で入り、目抜き通りから少し外れた裏通りに入っていた。
「さて、着いたぞ。ここが儂の店『ロンメル商店』じゃ」
サトは馬車から降りて建物を見た。
二階建ての木造建築で奥行きは広いが、横幅は狭い。
中央に両開きの扉があり、その扉の上には店名を書いた看板があった。
ボーッと眺めるサトにロンメルが馬車から声をかける。
「裏通りの小さな店じゃ。ガッカリしたか?」
「あ、いや、そうじゃくて、何というかすごく趣があっていいですよ。正直、もっとボロいのを想像してたので」
「あまりボロいと裏通りとはいえ、景観を損ねると役所から小言を言われるんじゃよ。さて、儂は馬車屋に馬車を返して来るから、お前さんは先に入っといてくれ」
「馬車屋?」
「この馬車は借り物なんじゃよ。ほれ、これが鍵じゃ」
ロンメルはサトに鍵を渡すと、そのまま裏通りを進んでいった。
1人見知らぬ場所に置いて行かれたサトは急に不安になり、言われた通り店に入った。
窓を閉め切った室内は暗く、ほとんど何も見えなかったが、店の両端に棚があるのは分かった。
そして、しばらく室内を見回していると脳裏に言葉が浮かんできた。
「ロングソード? こっちはシミター? ああ、あそこに剣が陳列してあるんだな」
商品名が浮かんだ方を眼を凝らして見るとソードラックがあり、そこに幾つかの剣が並んでいるのがわかる。
「へぇ、この鑑定能力って見えなくてもわかるのか。便利な能力だな。それにしても剣なんて実物見るのは初めだよ。はぁ~、すごいな」
サトはソードラックに近づくと、物珍し気に陳列された剣を見回していく。
ロングソード、ブロードソード、レイピアなど様々な剣が置いてあった。
「これは凄いな。これなんか刃が厚くて……ファルシオンか。色んな剣があるん……」
「きゃああああああああ! 泥棒っ!」
珍しい形の剣を手に取っていたサトの耳に若い女性の悲鳴にも似た大声が聴こえてくる。
「ど、泥棒だって!?」
サトが異世界にも泥棒がいるのかと考えながら扉の方を向くと、何かを振りかざしながら近づいてくる人影があった。
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