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第一章
正反対
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「何かわかったのか?」
サトの言葉にミネルバァはゆっくり問いかけた。
落ち着いているように見えるが、組んだ足は小刻みに揺れており、少々の焦りを感じさせていた。
「ええ、おそらく」
「そうか。なら、聞かせてもらおう。義祖父様の真意を。この秘宝の真価とやらをな」
「はい。先ずはこの秘宝についてですが、球状に加工した水晶玉に呪いを込めた《呪怨の水晶球》と思われます。水晶は浄化の力を持つと言われるほど魔術と相性が良いもので、これにはかなり強力な呪いがかけられており、持主に災いをもたらせるものです」
バキっ!
強い音が店内に響き渡る。
音がした方向を見るとアメリアが店の壁に拳をめり込ませていた。
「あの爺い! 御主人様になんてものをっ! 八つ裂きにしてやるにゃ!」
「それは許さぬと言ったはずじゃ」
再びロンメルとアメリアが対峙する。
しかし、ミネルバァは落ち着いた声でそれを制した。
「2人とも落ち着け。特にアメリア、先程から興奮し過ぎて地が出ているぞ。にゃあにゃあ、とな」
「うにゃっ!? で、でも御主人様……」
「話を最後まで聞いてからでも遅くない。それに見ろ。サトの眼を。こいつ、存外腹が据わっているな」
サトの眼は真っ直ぐにミネルバァを見つめており、そこには強い意志があった。
それを見たアメリアはゾクっと身体を震わせ、顔を高揚させた。
「うにゃあ……いいにゃ、その顔いいにゃ! こうなったら既成事実を作ってでも本当のつがいに……」
「後にしろ。それより、サト。話を続けてくれ」
「……今の話はとりあえず置いておきましょう。確かに今のままでは、この水晶玉は災いをもたらすだけです。ですが、その効果を反転させる事ができるとしたらどうでしょう?」
3人は言葉の真意を計りかね、言葉を発せずにいた。
「反転させる……とは?」
「要はこの水晶玉に呪いがかかっているのが問題なんです。なら、その呪いを反転させてやればいいんです。『呪詛』の反対は『祝福』ですから」
「呪いを反転させるじゃと? そ、そんな事が出来るのか?」
ロンメルが信じられないのも無理はない。
呪術とは高位の魔術師が異端の技法を用いて使用する術であり、呪術を操れる魔術師自体が希少なのだ。
その呪術を反転させるなど、不可能に近い事だった。
「確かにお前の言う通り呪詛を反転させる事ができれば、問題はないが……」
「で、でも! はんぺんさせる方法がないと意味ないにゃ!」
「はんぺんじゃなくて反転です、反転。方法がない事はないですよ」
「「「なにぃ!」」」
3人の目線がサトを捉えたが、サトは自信に満ちた表情を崩さなかった。
サトの言葉にミネルバァはゆっくり問いかけた。
落ち着いているように見えるが、組んだ足は小刻みに揺れており、少々の焦りを感じさせていた。
「ええ、おそらく」
「そうか。なら、聞かせてもらおう。義祖父様の真意を。この秘宝の真価とやらをな」
「はい。先ずはこの秘宝についてですが、球状に加工した水晶玉に呪いを込めた《呪怨の水晶球》と思われます。水晶は浄化の力を持つと言われるほど魔術と相性が良いもので、これにはかなり強力な呪いがかけられており、持主に災いをもたらせるものです」
バキっ!
強い音が店内に響き渡る。
音がした方向を見るとアメリアが店の壁に拳をめり込ませていた。
「あの爺い! 御主人様になんてものをっ! 八つ裂きにしてやるにゃ!」
「それは許さぬと言ったはずじゃ」
再びロンメルとアメリアが対峙する。
しかし、ミネルバァは落ち着いた声でそれを制した。
「2人とも落ち着け。特にアメリア、先程から興奮し過ぎて地が出ているぞ。にゃあにゃあ、とな」
「うにゃっ!? で、でも御主人様……」
「話を最後まで聞いてからでも遅くない。それに見ろ。サトの眼を。こいつ、存外腹が据わっているな」
サトの眼は真っ直ぐにミネルバァを見つめており、そこには強い意志があった。
それを見たアメリアはゾクっと身体を震わせ、顔を高揚させた。
「うにゃあ……いいにゃ、その顔いいにゃ! こうなったら既成事実を作ってでも本当のつがいに……」
「後にしろ。それより、サト。話を続けてくれ」
「……今の話はとりあえず置いておきましょう。確かに今のままでは、この水晶玉は災いをもたらすだけです。ですが、その効果を反転させる事ができるとしたらどうでしょう?」
3人は言葉の真意を計りかね、言葉を発せずにいた。
「反転させる……とは?」
「要はこの水晶玉に呪いがかかっているのが問題なんです。なら、その呪いを反転させてやればいいんです。『呪詛』の反対は『祝福』ですから」
「呪いを反転させるじゃと? そ、そんな事が出来るのか?」
ロンメルが信じられないのも無理はない。
呪術とは高位の魔術師が異端の技法を用いて使用する術であり、呪術を操れる魔術師自体が希少なのだ。
その呪術を反転させるなど、不可能に近い事だった。
「確かにお前の言う通り呪詛を反転させる事ができれば、問題はないが……」
「で、でも! はんぺんさせる方法がないと意味ないにゃ!」
「はんぺんじゃなくて反転です、反転。方法がない事はないですよ」
「「「なにぃ!」」」
3人の目線がサトを捉えたが、サトは自信に満ちた表情を崩さなかった。
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