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第一章
公爵家からの誘い
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「ふわぁああ」
ロンメル商店のカウンターで肘をついて欠伸をするサト。
今日は店を開けてから客が来ずに暇を持て余していた。
「あぁ、暇だなぁ。でも、売り物の整備も回復薬の精製も終わったし、掃除はエレンがしてくれたし、やる事ないんだよなぁ。まぁ、最近バタバタしてたから休みにはちょうどいいのかもしれないけど」
サトは数日前のことを思い出していた。
ミネルバァたちと共にダンジョンに入り、事もあろうに一階層で盗賊団を拿捕。
溜め込んでいたお宝を回収して、公都に戻ったのは良かったが、それからが大変だった。
ダンジョンの一階層に盗賊団の根城があった事は衝撃の事実としてハンターギルドでも大々的に取り上げられた。
また、商会ギルドでも回収された宝が高価なものばかりであった事から大騒ぎだった。
特にサトが見つけたダイヤの指輪である。
盗品登録されていた公爵家所縁の1000万は下らない指輪は専門の鑑定士ですら舌を巻くほどの逸品であり、ギルドにいた全員が一斉に息を飲むほどだった。
その後、商会ギルドのマスターが公爵家に伝令を走らせたのだが、生憎と公爵は王都に出掛けており、後日連絡が来る事になった。
それまでは商会ギルドとハンターギルドが連携して指輪を守ることになっている。
「あんな騒ぎになるとは思わなかったなぁ。お陰で今回のダンジョン改はあれで終わりになっちゃったけど、ミネルバァ様的には良かったんだろうか? まぁ、考えても仕方ないことだけど」
サトはそう呟いて自身が持ち帰った戦利品を見る。
すると脳裏に言葉が浮かんでくる。
《龍撃槍》
龍の鱗を破るとまで言われた至高の槍。刃先と柄の一部に竜の素材が使われており、攻撃力は高い。
相場 250万ルーク。
《自在盾の指輪》
術者を自動で守る盾を空中に浮かべられる指輪。術者の魔力によって盾の数は変わる。
相場 300万ルーク。
《防衛の指輪》
防御力を10%向上させる指輪。
相場 20万ルーク。
「《龍撃槍》と《自在盾の指輪》は店の目玉になると思ったんだけど、またロンメルさんから駄目だと言われたからなぁ。なんか使わない自前の装備が増えていくだけのような……」
そんなサトの贅沢な悩みを他所に、遠くから馬車の車輪の音が響いてくる。
その音は騒々しさもなく、緩やかなリズムを刻んでいた。
「あの暴走ケンタウロスじゃ無さそうだな。でも、こんな裏通りに誰が来るんだろ?」
そんな疑問を浮かべていると、店の前に馬車が一台停まる音がした。
そして店の扉が音もなく開くと、そこにはタキシードを着こなした執事風の男が立っていた。
「失礼致します。私はシュタイエール公爵の使いの者でございます。失礼ながらサト様でしょうか?」
「そ、そうですが……」
一分の隙もない執事風の男に圧倒されるサト。
それを意に介した様子もなく淡々と男は語り続ける。
「この度、貴方様を屋敷に招きたいとの閣下の仰せでございます。何卒、足を運んでいただけますようお願い致します」
男は最上級の礼をしながら、そう言った。
ロンメル商店のカウンターで肘をついて欠伸をするサト。
今日は店を開けてから客が来ずに暇を持て余していた。
「あぁ、暇だなぁ。でも、売り物の整備も回復薬の精製も終わったし、掃除はエレンがしてくれたし、やる事ないんだよなぁ。まぁ、最近バタバタしてたから休みにはちょうどいいのかもしれないけど」
サトは数日前のことを思い出していた。
ミネルバァたちと共にダンジョンに入り、事もあろうに一階層で盗賊団を拿捕。
溜め込んでいたお宝を回収して、公都に戻ったのは良かったが、それからが大変だった。
ダンジョンの一階層に盗賊団の根城があった事は衝撃の事実としてハンターギルドでも大々的に取り上げられた。
また、商会ギルドでも回収された宝が高価なものばかりであった事から大騒ぎだった。
特にサトが見つけたダイヤの指輪である。
盗品登録されていた公爵家所縁の1000万は下らない指輪は専門の鑑定士ですら舌を巻くほどの逸品であり、ギルドにいた全員が一斉に息を飲むほどだった。
その後、商会ギルドのマスターが公爵家に伝令を走らせたのだが、生憎と公爵は王都に出掛けており、後日連絡が来る事になった。
それまでは商会ギルドとハンターギルドが連携して指輪を守ることになっている。
「あんな騒ぎになるとは思わなかったなぁ。お陰で今回のダンジョン改はあれで終わりになっちゃったけど、ミネルバァ様的には良かったんだろうか? まぁ、考えても仕方ないことだけど」
サトはそう呟いて自身が持ち帰った戦利品を見る。
すると脳裏に言葉が浮かんでくる。
《龍撃槍》
龍の鱗を破るとまで言われた至高の槍。刃先と柄の一部に竜の素材が使われており、攻撃力は高い。
相場 250万ルーク。
《自在盾の指輪》
術者を自動で守る盾を空中に浮かべられる指輪。術者の魔力によって盾の数は変わる。
相場 300万ルーク。
《防衛の指輪》
防御力を10%向上させる指輪。
相場 20万ルーク。
「《龍撃槍》と《自在盾の指輪》は店の目玉になると思ったんだけど、またロンメルさんから駄目だと言われたからなぁ。なんか使わない自前の装備が増えていくだけのような……」
そんなサトの贅沢な悩みを他所に、遠くから馬車の車輪の音が響いてくる。
その音は騒々しさもなく、緩やかなリズムを刻んでいた。
「あの暴走ケンタウロスじゃ無さそうだな。でも、こんな裏通りに誰が来るんだろ?」
そんな疑問を浮かべていると、店の前に馬車が一台停まる音がした。
そして店の扉が音もなく開くと、そこにはタキシードを着こなした執事風の男が立っていた。
「失礼致します。私はシュタイエール公爵の使いの者でございます。失礼ながらサト様でしょうか?」
「そ、そうですが……」
一分の隙もない執事風の男に圧倒されるサト。
それを意に介した様子もなく淡々と男は語り続ける。
「この度、貴方様を屋敷に招きたいとの閣下の仰せでございます。何卒、足を運んでいただけますようお願い致します」
男は最上級の礼をしながら、そう言った。
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