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都市キリリカの洋服店に、トランクケースを2つ無事にとどけることが出来た。荷物を受け取ったというサインをいただいて、オレとレッカさんは都市ブレイブンに引き返した。
帰りはロクサーナ組合の襲撃に遭うこともなかった。
レッカさんはまだ尾を引いているのか、飛び方がどこかギコちなかった。
オレと同じだな――と思った。
オレもレースのときに墜落して死に直面した。レッカさんはそれと同じ経験をした。おそろいだ。冗談まじりにそう言おうかと思ったのだが、悄然としているレッカさんを見ていると、思いやりにかける軽薄な言葉である気がして、結局は口にすることが出来なかった。
都市キリリカから戻ってくると、バサックさんはすでに次の仕事を受けていた。
今度は30Kの荷物を都市ヴァレンシュタインまで――とのことだ。
2度目の配達にはレッカさんはついて来てくれなかった。当然ホンスァもいっしょに来ることはなかった。クロのヤル気が目に見えて落ちていたが、しぶしぶといった調子で飛行してくれた。
そんな調子で、オレは都合4回の配達をおこなった。4回目の配達を終えて、都市ブレイブンに戻ってきたときには、すでに夕刻になっていた。
「今日の仕事はこれで切り上げよう。クロもまだ本調子じゃねェんだろ?」
とバサックさんがそう言った。
「気を使っていただいて、ありがとうございます。明日にはもっと速く飛べるようになってると思います」
「そいつは頼もしい。これが今日の分の給料だ」 と、バサックさんは3シルバーを渡してくれた。
「どうも」
1日分の宿代ぐらいにはなる。クロの食費のことも考えると赤字だった。まだ持ち金は残っているが、これ一本で食いつなぐのは難しいかもしれない。
クロの調子が戻ったとしても、ゴドルフィン組合のほうに仕事が来なければ稼ぎにはならないのだ。
「アグバくん。寝泊りはどうしてる?」
「宿屋でもとろうかと考えてます」
今朝チェックアウトしてしまったが、昨晩泊まった宿を取り直すのも良い。そんなに値は高くなかったし、なにより夜はレッカさんが酒を出してくれる。
「アグバくんが良ければ、うちに泊まるか?」
「バサックさんの家ですか?」
「オレとレッカとふたりで暮らしてるんだ。組合の経営が傾きはじめてからは、妻に逃げられてしまってな」
と照れ臭そうに、バサックさんは禿げあがった後頭部をナでまわしていた。
「非常にありがたいんですけど、良いんですか?」
「構わん。構わん。レッカから聞いている。レッカのことをロクサーナ組合の連中から救ってくれたんだろ」
「ええ。まぁ。……荷物があったんで、犯人は取り逃がしてしまいましたが」
「レッカはアグバくんのことを、称賛していた。それに逃がしちゃいけない人材だってことをオレに訴えて来てな。なんだかすごい乗龍術を見せたそうじゃないか」
いや。そんなたいしたもんじゃないですよ――といちおう謙遜しておいた。
「レッカさんは?」
「今は酒場のほうに給仕に行ってるが、そもそもアグバくんに部屋を貸してやろうと言い出したのはレッカだ」
「なら、お世話になります」
無料で泊まらせてもらおうとは思わないが、宿よりかは出費がすくなく済むはずだ。無粋だとわかっていながらも、
「家賃のほどは?」
と、尋ねた。
「心配することはない。飯も部屋も無料で構わないよ」
「いいんですか?」
バサックさんもレッカさんも、金に苦労している風情だった。このボロボロの店構えがなによりの証拠である。部屋を借りておいて、なにも出さないというのは遠慮があった。
「心配はいらねェ。いちおうまとまった金はあるんだ。以前のゴドルフィン組合の倉庫兼本部として使っていた場所を、ロクサーナ組合に売ったからな」
「あの更地になっていた場所のことですね」
「ヤツらは見せしめのために、あの場所を更地にしちまった。けど、金だけは正当に支払ってくれたからな」
バサックさんはそう言うと、空を見上げた。夕焼けに赤く染まっている空が見て取れる。バサックさんはべつに夕焼けを見ているわけじゃなさそうだった。何か感傷にひたっている様子だった。
あの更地にされた場所のことを考えた。
ただ建物が潰されたというだけの話ではない。あの場所にはゴドルフィン組合としての思い出が詰まっていたはずなのだ。まとまった金は手に入ったかもしれないが、失ったものも多かったはずだ。
オレはまだポケットに、あの更地の番地が書かれたパピルス紙を入れてあった。墓標のように思えて捨てられなかったのだ。
オレはそのパピルス紙をバサックさんに渡すことにした。ただの紙だ。バサックさんは捨ててしまうかもしれない。それでも良い。オレが持っているよりも、バサックさんが持っているほうがふさわしい気がしたのだ。
「これ。はじめてゴドルフィン組合を紹介されたとき、レッカさんが書いてくれたものなんですけど」
「たしかにレッカの字だな」
「あの場所を見た後だから、なんだか簡単に捨てられないんですよね。要らないかもしれませんが、お返ししておきますよ」
「ああ。もらっておくよ。レッカがどういう気持ちで、この番地を書いたのかと思うと、たしかに捨てられないもんだな」
バサックさんはそう言うと、そのパピルス紙を大きな手のひらでやさしくつつんでいた。
「ぐるる」
と、クロがうなった。
「おっと。いつまでもシンミリしてンじゃねェ――って言ってるのかもしれんな。よし。付いて来てくれ。オレん家まで案内するよ」
と、バサックさんは歩きはじめたのだが、すぐに振り返って言葉を継いだ。
「金があるとは言ったが、あんまり期待してくれるなよ。たいした家じゃないんだから」
「寝るところさえあれば、不満はありません」
「でも今だけだ。オレの組合には、幸運を招く黒いドラゴンがやって来てくれたんだからな。きっといずれは貴族にも負けぬ大富豪になる」
バサックさんは大声でそう言った。
行き交う人たちがその声にビックリして、振り向いていたぐらいだ。
「ははは」
と、オレは愛想笑いで済ませておいた。
クロはそんなに運の良いドラゴンじゃないと思いますよ――と言おうかと思ったが、上機嫌なバサックさんを見ていると、水を差すようで口にできなかった。
もしかしたら、バサックさんとクロと2人が居合わせることによって、良い星回りへと変わることもあるのかもしれない。
バサックさんの家は表通りからはすこし外れていたが、決して粗悪な家ではなかった。1階部分が石造りになっており、2階からは木造になっている。外観から見てもわかった。通りには同じような家が建ち並んでいた。
「あ。クロが寝泊りできるような場所はありますかね」
竜舎らしきものが見当たらなかったのでオレはそう尋ねた。
「1階部分を竜舎にしてあるんだ。ホンスァもそこで世話をしてる」
1階の玄関トビラは、ほかの家のものより大きくなっていた。ドラゴンが出入りできるようにするためだろう。
中に入る。
バサックさんの言うようにホンスァがいた。鉄格子のついた部屋にいる。独房みたいに見えるが、万が一のときのためだ。飼い主であるレッカさんがいないいま、暴れられたりしたら大惨事になってしまう。
ドラゴンは賢い生き物だから、無闇に暴れまわるようなことはない。絶対にないとは言えない。
ロクサーナ組合に襲われたときみたいに、ビックリして暴れ出してしまうようなことはある。そういうときのために竜舎というのは、馬舎や牛舎よりも強固につくる必要があるのだ。
ハミや手綱などの装備をクロから取り外した。クロが担いでくれていたサイドバッグは、オレが背負った。
そしてホンスァの入っている部屋のとなりに、クロのことを入れた。部屋と部屋は石壁によって仕切られている。同じ空間にホンスァがいるからか、クロの機嫌は良いようだった。
2階が人の居住空間になっているらしかった。空いている部屋がひとつあるというので、そこを使わせてもらうことにした。
与えられた部屋はビックリするほど整えられていた。整えられているというか、簡素なのだ。ベッドとエンドテーブル。それからクローゼットしかなかった。
「わざわざ、オレのために片付けてくれたんですか?」
「いや。そうじゃないんだ。片付ける時間なんてなかったよ」
とバサックさんは、オオゲサに手を振った。
「それにしては、ずいぶんとキレイな部屋ですけど」
「妻が出て行ったときに、小道具の類は全部持って行っちまってな。そのままになってるんだ」
「じゃあ、奥さんの部屋ですか。良いんですか。オレが使っても?」
「気にすることはねェ。部屋は部屋なんだ。使わなくちゃもったいねェだろ。むしろ使ってもらいてェんだよ。妻が使っていた部屋だと思うと、なんだかモヤモヤしちまうから、別のヤツに使ってもらうのがイチバン良い」
オレに気を使ってそう言っているのではなくて、ホントウにそう思っているように見えた。バサックさんの奥さんがどんな人だったのか、すこし気になった。詮索するのはさすがに失礼だ。尋ねないでおこう。
「では、お言葉に甘えて」
と、オレは部屋の隅にサイドバッグを置いた。
昨日はレースに負けて、龍騎手免許を剥奪されてしまい、途方にくれていた。
腰をおろしてガンバれる場所が、こんなにも速く見つかったのは僥倖と言うべきだろう。この場所ならもう1度やり直せる。そんな気がする。
帰りはロクサーナ組合の襲撃に遭うこともなかった。
レッカさんはまだ尾を引いているのか、飛び方がどこかギコちなかった。
オレと同じだな――と思った。
オレもレースのときに墜落して死に直面した。レッカさんはそれと同じ経験をした。おそろいだ。冗談まじりにそう言おうかと思ったのだが、悄然としているレッカさんを見ていると、思いやりにかける軽薄な言葉である気がして、結局は口にすることが出来なかった。
都市キリリカから戻ってくると、バサックさんはすでに次の仕事を受けていた。
今度は30Kの荷物を都市ヴァレンシュタインまで――とのことだ。
2度目の配達にはレッカさんはついて来てくれなかった。当然ホンスァもいっしょに来ることはなかった。クロのヤル気が目に見えて落ちていたが、しぶしぶといった調子で飛行してくれた。
そんな調子で、オレは都合4回の配達をおこなった。4回目の配達を終えて、都市ブレイブンに戻ってきたときには、すでに夕刻になっていた。
「今日の仕事はこれで切り上げよう。クロもまだ本調子じゃねェんだろ?」
とバサックさんがそう言った。
「気を使っていただいて、ありがとうございます。明日にはもっと速く飛べるようになってると思います」
「そいつは頼もしい。これが今日の分の給料だ」 と、バサックさんは3シルバーを渡してくれた。
「どうも」
1日分の宿代ぐらいにはなる。クロの食費のことも考えると赤字だった。まだ持ち金は残っているが、これ一本で食いつなぐのは難しいかもしれない。
クロの調子が戻ったとしても、ゴドルフィン組合のほうに仕事が来なければ稼ぎにはならないのだ。
「アグバくん。寝泊りはどうしてる?」
「宿屋でもとろうかと考えてます」
今朝チェックアウトしてしまったが、昨晩泊まった宿を取り直すのも良い。そんなに値は高くなかったし、なにより夜はレッカさんが酒を出してくれる。
「アグバくんが良ければ、うちに泊まるか?」
「バサックさんの家ですか?」
「オレとレッカとふたりで暮らしてるんだ。組合の経営が傾きはじめてからは、妻に逃げられてしまってな」
と照れ臭そうに、バサックさんは禿げあがった後頭部をナでまわしていた。
「非常にありがたいんですけど、良いんですか?」
「構わん。構わん。レッカから聞いている。レッカのことをロクサーナ組合の連中から救ってくれたんだろ」
「ええ。まぁ。……荷物があったんで、犯人は取り逃がしてしまいましたが」
「レッカはアグバくんのことを、称賛していた。それに逃がしちゃいけない人材だってことをオレに訴えて来てな。なんだかすごい乗龍術を見せたそうじゃないか」
いや。そんなたいしたもんじゃないですよ――といちおう謙遜しておいた。
「レッカさんは?」
「今は酒場のほうに給仕に行ってるが、そもそもアグバくんに部屋を貸してやろうと言い出したのはレッカだ」
「なら、お世話になります」
無料で泊まらせてもらおうとは思わないが、宿よりかは出費がすくなく済むはずだ。無粋だとわかっていながらも、
「家賃のほどは?」
と、尋ねた。
「心配することはない。飯も部屋も無料で構わないよ」
「いいんですか?」
バサックさんもレッカさんも、金に苦労している風情だった。このボロボロの店構えがなによりの証拠である。部屋を借りておいて、なにも出さないというのは遠慮があった。
「心配はいらねェ。いちおうまとまった金はあるんだ。以前のゴドルフィン組合の倉庫兼本部として使っていた場所を、ロクサーナ組合に売ったからな」
「あの更地になっていた場所のことですね」
「ヤツらは見せしめのために、あの場所を更地にしちまった。けど、金だけは正当に支払ってくれたからな」
バサックさんはそう言うと、空を見上げた。夕焼けに赤く染まっている空が見て取れる。バサックさんはべつに夕焼けを見ているわけじゃなさそうだった。何か感傷にひたっている様子だった。
あの更地にされた場所のことを考えた。
ただ建物が潰されたというだけの話ではない。あの場所にはゴドルフィン組合としての思い出が詰まっていたはずなのだ。まとまった金は手に入ったかもしれないが、失ったものも多かったはずだ。
オレはまだポケットに、あの更地の番地が書かれたパピルス紙を入れてあった。墓標のように思えて捨てられなかったのだ。
オレはそのパピルス紙をバサックさんに渡すことにした。ただの紙だ。バサックさんは捨ててしまうかもしれない。それでも良い。オレが持っているよりも、バサックさんが持っているほうがふさわしい気がしたのだ。
「これ。はじめてゴドルフィン組合を紹介されたとき、レッカさんが書いてくれたものなんですけど」
「たしかにレッカの字だな」
「あの場所を見た後だから、なんだか簡単に捨てられないんですよね。要らないかもしれませんが、お返ししておきますよ」
「ああ。もらっておくよ。レッカがどういう気持ちで、この番地を書いたのかと思うと、たしかに捨てられないもんだな」
バサックさんはそう言うと、そのパピルス紙を大きな手のひらでやさしくつつんでいた。
「ぐるる」
と、クロがうなった。
「おっと。いつまでもシンミリしてンじゃねェ――って言ってるのかもしれんな。よし。付いて来てくれ。オレん家まで案内するよ」
と、バサックさんは歩きはじめたのだが、すぐに振り返って言葉を継いだ。
「金があるとは言ったが、あんまり期待してくれるなよ。たいした家じゃないんだから」
「寝るところさえあれば、不満はありません」
「でも今だけだ。オレの組合には、幸運を招く黒いドラゴンがやって来てくれたんだからな。きっといずれは貴族にも負けぬ大富豪になる」
バサックさんは大声でそう言った。
行き交う人たちがその声にビックリして、振り向いていたぐらいだ。
「ははは」
と、オレは愛想笑いで済ませておいた。
クロはそんなに運の良いドラゴンじゃないと思いますよ――と言おうかと思ったが、上機嫌なバサックさんを見ていると、水を差すようで口にできなかった。
もしかしたら、バサックさんとクロと2人が居合わせることによって、良い星回りへと変わることもあるのかもしれない。
バサックさんの家は表通りからはすこし外れていたが、決して粗悪な家ではなかった。1階部分が石造りになっており、2階からは木造になっている。外観から見てもわかった。通りには同じような家が建ち並んでいた。
「あ。クロが寝泊りできるような場所はありますかね」
竜舎らしきものが見当たらなかったのでオレはそう尋ねた。
「1階部分を竜舎にしてあるんだ。ホンスァもそこで世話をしてる」
1階の玄関トビラは、ほかの家のものより大きくなっていた。ドラゴンが出入りできるようにするためだろう。
中に入る。
バサックさんの言うようにホンスァがいた。鉄格子のついた部屋にいる。独房みたいに見えるが、万が一のときのためだ。飼い主であるレッカさんがいないいま、暴れられたりしたら大惨事になってしまう。
ドラゴンは賢い生き物だから、無闇に暴れまわるようなことはない。絶対にないとは言えない。
ロクサーナ組合に襲われたときみたいに、ビックリして暴れ出してしまうようなことはある。そういうときのために竜舎というのは、馬舎や牛舎よりも強固につくる必要があるのだ。
ハミや手綱などの装備をクロから取り外した。クロが担いでくれていたサイドバッグは、オレが背負った。
そしてホンスァの入っている部屋のとなりに、クロのことを入れた。部屋と部屋は石壁によって仕切られている。同じ空間にホンスァがいるからか、クロの機嫌は良いようだった。
2階が人の居住空間になっているらしかった。空いている部屋がひとつあるというので、そこを使わせてもらうことにした。
与えられた部屋はビックリするほど整えられていた。整えられているというか、簡素なのだ。ベッドとエンドテーブル。それからクローゼットしかなかった。
「わざわざ、オレのために片付けてくれたんですか?」
「いや。そうじゃないんだ。片付ける時間なんてなかったよ」
とバサックさんは、オオゲサに手を振った。
「それにしては、ずいぶんとキレイな部屋ですけど」
「妻が出て行ったときに、小道具の類は全部持って行っちまってな。そのままになってるんだ」
「じゃあ、奥さんの部屋ですか。良いんですか。オレが使っても?」
「気にすることはねェ。部屋は部屋なんだ。使わなくちゃもったいねェだろ。むしろ使ってもらいてェんだよ。妻が使っていた部屋だと思うと、なんだかモヤモヤしちまうから、別のヤツに使ってもらうのがイチバン良い」
オレに気を使ってそう言っているのではなくて、ホントウにそう思っているように見えた。バサックさんの奥さんがどんな人だったのか、すこし気になった。詮索するのはさすがに失礼だ。尋ねないでおこう。
「では、お言葉に甘えて」
と、オレは部屋の隅にサイドバッグを置いた。
昨日はレースに負けて、龍騎手免許を剥奪されてしまい、途方にくれていた。
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