薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

文字の大きさ
70 / 191
2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

7.探索を始めます。

しおりを挟む

「取り敢えず進みましょうか。」
「あぁ、そうだな。」
「ここに居ても、埒があかないしな。」
「それじゃ!頑張って攻略しましょう!!」
「「…………」」
「……あれ?どうしたんですか?」

 なるほど。コイツは真面目だな。

「(ポンッ)すまん、オルブ。俺たちは迷宮ダンジョンを攻略するつもりはないんだ。」
「え?」
「私たちの目的はではなくてなんだよ。」
「へ?」
「てなわけで、さっきの入口以外で外に出られる道がないかを探していこうと思うんだが……それで良いか?」
「あ……はい、大丈夫です。」
「因みに、迷宮ダンジョンに詳しい様だが、そういう道はありそうか?」
「えっ?………あぁ…どうでしょうね?自信は無いですが、一応探してみます。」
「そうか。よろしく頼む。」
「はい、頑張ります。」

 そうして3人で迷宮ダンジョンの探索を始める。

「それにしても、何で屋敷の下に迷宮ダンジョンがあるんだ?」
「王都にある貴族の屋敷は、大抵は迷宮ダンジョンの上に建ててあるんですよ。多分、これもその一つでしょうね。」
「馬鹿なのか?何故そんな事を?」
「何故でしょうねぇ。貴族馬鹿の考える事は分かりません。」
「あれじゃね?迷宮ダンジョンを足蹴にして支配してる気になってるとか。」

 その思想はよくわからないな。下から競り上がってきたら普通に危ないだろ。

「アレク、お前はどう思う?」
「さぁな。私にもさっぱりわからん。命懸けな貴族馬鹿のマウント根性は理解に苦しむ。」
「何言ってんだ。見た目は似通ってるかもしれないが、ありゃ人とは別の生き物だ。理解出来るもんかよ。」

 お前がそれを言うのか。身内に沢山居ると思うんだけど。

「あっ、貴族馬鹿と言えば……あの男ってマサールさんの養子か…じゃなきゃ入婿か?」
「えっ?……何故わかった?」
「言動からして次期当主の座を狙っているのは目に見えてるし……」
「そうじゃなくて、何故血縁関係が無いとわかったんだ?」
「だって、全然似てないじゃんか。」
「似てない……?あれが………?」
「いや、当たり前な事聞くなよ。」
「いやいや、結構色んな奴が実の親子と勘違いするんだが?」
「認識が雑なんだな。」
「雑って……オルブはどう思う?」
「へ?……いや、僕はマサール氏にお会いした事が無いので、何とも……」
「あ……そっか、すまん。」
「けど………そうなるとの為にも、尚更『ヘルデス家の当主の座』という肩書きが必要ってわけだな。」
「……へ?」
「あぁ、今後の固定収入の為にも何としても手に入れようとするだろうな。」
「えっ?えっ??」
「それこそ、どんな犠牲を払っても……か。」
「そして、戻った俺らは口封じのために……」
「あの……」
「となれば、尚更戻る訳にはいかないな。」
「あぁ、なんとしても『脱出』しないとな。」
「あのっ!!」
「「ん?」」
「さっきから当主の座とか固定収入とか口封じとか……どういう事ですか?」
「「………」」

 しまった。勝手に2人だけで話を進めてしまった。

「悪りぃ悪りぃ。ちゃんと説明するからよ。」
「テルマ、ちょっとした提案なんだが……私から説明しても良いか?私の認識とテルマの認識に違いがあるかもしれないから、ここで修正しておきたい。」
「もちろん。俺としても願ったり叶ったりだ。」
「そうなると、どこかでビパークするか。」


***


 ちょうど良い場所を見つけて腰を下ろす。

 さて、探索は一度中断して話を始めるかな。

「テルマ、確認だが……ヘルデス家の資金源はだろう?」
「技術…提供料?」
「あぁ、所謂『不労所得』って奴だな。『ヘルデス家秘伝の技術を職人に提供する代わりに売上の一部を納める』って契約に基いて払われている。だから、わざわざ家の人間が技術の継承をする必要はないし、何もしなくても毎日お金が手に入るからみんな自堕落に生活をしている。そうだろう?」
「あぁ、そうだ。」

 前世で言う特許みたいなもの……いや、恐らく無期限だから印税とかの方が近いかな。

「しかし、その契約はあくまでの間で結ばれた契約だから、マサールさんの死後に解消される可能性は非常に高い。接点が無くなってしまうからな。少なくとも、法的な拘束力は失われるから技術を合法的に盗まれる危機と捉える事も出来る。だから、マサールさんを薬慈院から連れ戻して手続きを進めようとしていた。そしてあわよくば、秘匿されている他の技術の設計書の在処も明かそうと考えていた。違うか?」
「いいや、その通りだ。」

 なんとも浅はかなもんだね。そんな事であの人が了承するわけもないのに。

「そして、手続きは進まないままマサールさんは遺書を残して亡くなった。だから、その遺書に書かれていた『全財産』という文字を見て他の遺族が宝石や大金を連想する中、あの男だけは『設計図』や『利権』関係……例えば『権利書』なんかだと睨んだ。」
「そうだ。はなから宝物の類は眼中にないって事は、俺も見てて直ぐにわかったよ。」
「えっ?て事は………この迷宮ダンジョンの先にその『権利書』があると考えて僕らは送り出されたって事ですか?」
「まぁ、そういう事になるだろうな。オルブ、お前はどう思う?」
「えっと……流石にそれは無いと思います。あの男は、マサール氏とは不仲だったんですよね?僕がマサール氏の立場なら、そんな都合の良い『権利書』なんて残さないと思います。」
「だろうな。俺もそう思う。」
「へ?」
「良い着眼点だな。そうなんだよ。万が一にもあの人がそんな事をする訳が無いんだよ。」
「………あぁ、なるほど。だから口封じを……あれ?でもそれだと口封じされるとは限らないんじゃ……」
「は?」
「えっと……何故そう思う?」
「だって、本当に『権利書』が存在しないとしてもそんな事はあの男には知りようがないです。今回見つからなかったとしても見つかるまで何回も迷宮ダンジョンに送り込まれるだけでしょうから直ぐに口封じされるとは……」
「……あ~、違う違う違う、そうじゃ無い。」
「えっ?」
「アレク、こいつ思ったより良心的だから、もう少し説明してやった方が良いと思う。」
「そうだな。」

 けどテルマ、それだと自分が悪い奴って認める事にならないか?

「えっ……と、どういう事でしょうか?」
「オルブ、落ち着いてよく聞け。」
「あ……はい。」
「あの男にとって、この迷宮ダンジョンに『権利書』があるかどうかなんて関係ないんだよ。」
「どっちみち、アイツは『権利書』を手に入れる事になるんだからな。」
「………え?」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...