美少女令嬢な元生徒会副会長を、キモオタな中年教師がNTRる話

小松 美堂

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第一章

見られていた逢瀬

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H駅を出ると友介は、ふとバスだと身バレがあるが、タクシーならよいかと思いつき、美奈子に声をかけようと後ろ姿を追った。

「あれ?」美奈子は、H駅から路線バスで帰るはずがバスターミナルに向かわない。

(買い物なら、かえって都合がよいな)

後に続いて少し歩くと、美奈子は青いコンビニに入って行った。

追って店内に入ろうとして、友介は気づいた。

店内のレジカウンターにいるのは、北条アキラだ。



そういうことだったのだ。



美奈子は、店内をぶらぶらしながら、時にアキラと視線を合わせている。

友介は、少し離れ、遠目から青いコンビニを監視することにした。

暫くすると美奈子が外に出てきてスマホをいじっている。

ほどなく私服に着替えたアキラが現れ、二人は自然に手つないで雑踏に消えた。

もう、それを追う気にはなれなかった。



(ハハ、そういわけか。なんか一日デートして、勝手に楽しんでいい気になっていてバカだな、ボクは。

こんなキモイ脅迫中年と、ミナちゃんがデートを楽しむわけないじゃないか....

最初からわかっていたことだ)



(まあいいさ、そういう事ならアキラくんと会う時には、ボクの許可を取るという約束を破った償いをしてもらうだけだ)





「今日はおつかれさま」

「おつかれさま」

「そいえば、クラゲカレーの味聞いてない」

「クラゲ入ってた?」

「カレー味でわからぬ」

「ところでさ、デート楽しかった?」

「意外と楽しかったですよ」

「アキラくんとのデートだよ?」

「え」

「青いコンビニから手つないでデート」

「つけてたの」

「たまたま」

「サイテー」

「約束破る人こそサイテー」

「は」

「アキラと会うのは許可必要」

「あ」

「明日朝9時、A市〇×1丁目18-1 403号室」

「なにこれ」

「来ればわかる」







「ここかなぁ?……」

美奈子は、指定の住所に立った。入口のセキュリティもない古いマンションだ。

今日はカーディガンにワンピースと、かわいらしい服装をしている。

先生の怒りを少しでも和らげるためだ。

ポストを確認すると、「403 浜田」とある。

やはり浜田先生の自宅の様だ。

少しホッとしつつも、

美奈子は不安を抱えながら、エレベーターで4階にあがった。



403号室の前で呼び出しボタンを押そうとすると、

ガチャリ、ドアが開く。

先生だ。

「さっ、入って」

有無を言わせず、美少女は独身中年教師の部屋へと招き入れられた。



「おはよう。いやあ、昨日は参ったよ。

せっかくの楽しい彼女との一日を最後に台無しにされちゃってさ。」

「そういうわけでは。あの……」

「最初から、ボクとのデートはアキラくんのシフトが終わるまでの時間潰しだったというわけだね。まんまやとやられたよ」

「えっ、そんな、そんなつもりはなくてたまたま……」

「そうとも知らずに、ボクは結構楽しんでしまってね。

いやーっ、モテない男は、ちょっと優しくされるとつけあがるからさ。

気味悪かったでしょ、ニコニコしてて」



「そんなことないです。私も結構楽しかった……ホントです」

「無理しなくていいよ。口直しのデートの方が、何倍も楽しかったでしょ。

それにしても、ミナちゃん可愛い顔して、ひどい仕打ちするなぁ。

ボクはストーカーだし、脅迫する悪者だし、この程度は仕打ちのうちに入らないか。ごめーん」



友介が、妙に饒舌にまくしたてるのが不気味だ。

「そういうわけじゃ」

「まあいいや、今日はもう、一日おうちデートに付き合ってもらうって決めたから。

約束を破ったわけだから、償いもしてもらわないとね」

「おうちデート?」

その不気味な響きに美奈子は不吉なものを感じた。



「そう、このマンションは古いからさ、いま両隣が空き室なんだ。だから、少々声を出しても問題ない。

存分におうちデートを楽しめるわけ」



何をするのだろうか。

「わたし、帰ります」

美奈子は、咄嗟に踵を返そうとする。



「おっと、償いもしないで帰るのは、ダメだよぉ? 」

後ろから、友介に抱き留められる。



「それに、今日は見せたいものがあるんだ」



嫌な予感しかしないが、何だろうか。

美奈子は、ここで逃げても、結局は生徒会室の写真がある以上、悪あがきでしかないと、無理に納得した。

(仕方ない……)



「さあ、まずはクツを脱いで、こちらへ」

友介の部屋は、どうやら2DKのようで。リビングへ通された。

もうひと部屋は、寝室だろう。



リビングは、雑然としていた。壁にはびっしり本とDVDが棚に並び、フィギュアの類だろうか、ガラスのショーケースが見える。入りきらなかった本やDVD・ゲーム機などは片隅に積まれたままだ。

部屋の中心には大型テレビと、それを見るためか低いソファーが向かいに鎮座して、面積を占有している。



「見ての通りのオタク部屋。学園に就職した時から借りてるから、ここなんか20年分のオタクグッズの山さ。最近は電子書籍に切り替えたから、本があまり増えないのが救いかな。

適当に座ってよ。

と言っても、このソファーしか空間ないか」



オタ友教師は、早口でまくしたてる。



美奈子は、ため息を小さくついてソファーにちょこんと座る。

「コーヒー? 紅茶?」

「紅茶ですけど、私やりますよ」

「そうかい? 女の子にお茶淹れてもらうなんて、20年間一度も

なかったから、お願いしようかな」

「はい」



美奈子は、本心は友介に淹れてもらうのをソファで待つのが居心地が悪かったためだが、いそいそとダイニングに向かう。

ダイニングは、大急ぎで洗ったようで、食器が濡れた状態で積まれていた。



「いやあ、さすがにマズイかと今朝、久々に洗ったんだ。

で、紅茶は確かここに……」



「ありがとうございます。あっ!」

「ん?どうかした?」

「これ、カビてます」



「そっ、そうか。これ買ったの最近だと思ったけど……」

「消費期限三年前です」



「うっ、そうだったか。じゃあ、コーヒーなら」

「こちらは一年前ですね」



「ふぅっ、じゃっ、じゃあ、ペットボトルのお茶にしよう。これなら先週買ったばかりだし」

ダンボールから、まとめ買いした『へーい、お茶』を出す。



「はぁっ、せっかくミナちゃんにお茶を淹れてもらう夢が」

「いつの間に夢になったんですか? 」



ペットを開けて、美奈子はひと口飲んだところで、"見せたいもの"

が気になったが、とりあえずキモ友先生が食いつきそうな別な話題を振ってみる。



「大きなテレビですね」

「うん! これはね、4Kテレビで、SANYのBシリーズ。

48インチでは最高峰の画質を誇るんだ。

テレビ放送だけじゃなくて、ネット動画も高画質で……」

(しまった。全然わからないし。興味もない)



友介はオタク特有の知識の開陳が終わらなければ、喋り止まらないようだ。

「……というわけで。芝浦のRシリーズではなく、こいつにしたんだよ」

「スゴイデスネー」

やっと終わった。
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