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第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第283話 フォルカスを探せ
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「ユイ!」
クリフの目の前には、幼い子を庇うユイと、その前でユイと小さな子を守るリンティアの姿があった。
(何があった?って予想はつくか。大方ユイが殴られるか連れていかれる子供を見つけて助けたんだろう。あれ程隠れてろって言ったのに・・・まあテンプレだから、多少はこうなるだろうなって期待はしてたけど・・・)
ユイとリンティアはクリフの言うように大人しく誰も住んでいない住居に隠れていた。だが、そこに小さな子の悲鳴が聞こえてユイはリンティアの声を聞かず飛び出してしまった。
そこからは言わずともわかるだろう。子供の元へ向かったユイは瞬間で正体がバレた。クリフが気を利かせてユイとリンティアに変化魔法を使ってればそこまで大ごとにはならなかったのだが、時すでに遅し。
ユイの正体がバレたと同時にユイの周りには、人が集まってきた。ユイの事を知っている村の者達と、捕まえに来たノースの人達だ。そんなユイをリンティアが守っていた。
(こっそり数を減らしていく予定だったけど、運が良いのかユイが出てきたことで敵が集まってくれた。ここで一網打尽にすれば問題ないか。ユイが捕まる前に処理しないとな。人質にされたらやっかりだもんな。)
クリフは、ユイの周りを囲む魔族達に向かって魔法を使った。使う魔法は殺傷力を抑えた水魔法だ。細く、それでいて一撃で意識を失うような水の線が魔族の頭を捉える。
その光景にユイやリンティア含め、村人達は驚いていた。気づいたら村を襲っていた者達が一人残らず倒れているのだから当然だろう。
「魔王様。」
「魔王様。」
「魔王様。」
至る所でユイを呼ぶ声が聞こえる。
「まおうさま。たすけてくれてありがとう。」
「いいえ。もうお母さんの傍から離れてはいけませんよ。」
「は~い。」
「よかったですねユイ様。でもこれは・・・ 」
「きっとクリフさんでしょう。」
「正解。大丈夫だった?」
「クリフさん。ありがとうございます。」
「クリフ殿。感謝する。」
「どちらにしても村を襲った連中はどうにかするつもりだったから丁度よかったよ。」
「殺してしまったんですか?」
「いや殺してないよ。頭に衝撃を受けて気絶してるだけ。」
「それはよかった・・・です。」
その後、襲ってきたノースの魔族達を動けない様に縛って、村人達に状況を確認した。
「魔王様を探しにこの村にいきなり押しかけてきたんです。」
「セントラルは今後ノースの傘下に入るって。抵抗したんですけど・・・」
「ユイのせいで・・・ごめんなさい。」
「それでクリフ殿。これからどうする?」
「それなんだけど、どうやらフォルカスもセントラルの城から逃げ出したみたいなんだ。この村を襲った魔族は倒したし、しばらくはこの村は安全だと思う。だからフォルカスを探そうと思うんだけど。」
「フォルカスが!?」「フォルカス様が!?」
「うん。家探ししてる魔族に尋問した時に聞いたんだけどね。戦力は多い方が助かるしね。だけどどこにいるかはわからないんだ。フォルカスが身を隠しそうな所ってあるかな?」
(それに俺が解決したらそれはそれで問題になる気がする。フォルカスがいるなら、アイツを中心にした方がセントラル城を奪還した後がやりやすい。だけどどこにいるかがわからないんだよな~。ユイかリンティアに心当たりがあればいいけど。)
「フォルカス様が身を潜めるとしたらセントラル城の南にある山の麓の村だと思います。あそこはフォルカス様の妹様もいらっしゃいますから。」
「ユイもそう思う。フォルカスはいつも妹のフォルテの事を気にかけていたから。」
「なるほど。妹がいるならフォルカスがそこにいる可能性は高いな。いやもしかしたら妹と合流して別の場所で身を隠してるかもしれない。ノースとサウスの動きは思った以上に速い。もしかしたらすでに掴まってるかも。」
「フォルカス様ならきっと大丈夫だ。フォルカス様がいればセントラル城も奪還できる。クリフ殿。早く向かおう。」
「待て待て。この村を放ってはいけないだろう。俺の土魔法なら住居も直せるし、食料もけっこう持ってきてる。それぐらいはしていかないとダメだろ。」
「うっ・・・」
「リンティア。クリフさんの言う通りです。ユイもお手伝いします。ユイは何をすれば良いですか?」
「ならユイはここの人達に説明と食料を渡してくれ。リンティアはユイを手伝ってやれ。俺はこのまま壊れた住居を直す。今の俺の見た目ならだれも怪しまないだろ?」
「そういえば・・・いつの間にクリフさんは魔族になったんですか?元々魔族だったんですか?」
「いやいや俺の魔法だよ。」
「そんな魔法があるのか・・・」
立ち寄った村を元通りに戻してクリフ達は移動を開始した。
(他の村も気になるが、なるべく他の村には寄らずにフォルカスの所に行きたい所だな。俺もそうだが、ユイも絶対助けるって言うだろうからな。助けるのが悪いとは言わないが、今は時間がない。他の村には申し訳ないが、フォルカスと合流して、セントラル城を奪還するまでは少し我慢してもらうしかないな。それにしても戦力を集めて聖国を攻める・・・か。戦力が集まるまでは大丈夫だとは思うが、ユーナ達には伝えておかないとな。)
そうしてクリフは、移動しながら日課の念話を行うのだった。
クリフの目の前には、幼い子を庇うユイと、その前でユイと小さな子を守るリンティアの姿があった。
(何があった?って予想はつくか。大方ユイが殴られるか連れていかれる子供を見つけて助けたんだろう。あれ程隠れてろって言ったのに・・・まあテンプレだから、多少はこうなるだろうなって期待はしてたけど・・・)
ユイとリンティアはクリフの言うように大人しく誰も住んでいない住居に隠れていた。だが、そこに小さな子の悲鳴が聞こえてユイはリンティアの声を聞かず飛び出してしまった。
そこからは言わずともわかるだろう。子供の元へ向かったユイは瞬間で正体がバレた。クリフが気を利かせてユイとリンティアに変化魔法を使ってればそこまで大ごとにはならなかったのだが、時すでに遅し。
ユイの正体がバレたと同時にユイの周りには、人が集まってきた。ユイの事を知っている村の者達と、捕まえに来たノースの人達だ。そんなユイをリンティアが守っていた。
(こっそり数を減らしていく予定だったけど、運が良いのかユイが出てきたことで敵が集まってくれた。ここで一網打尽にすれば問題ないか。ユイが捕まる前に処理しないとな。人質にされたらやっかりだもんな。)
クリフは、ユイの周りを囲む魔族達に向かって魔法を使った。使う魔法は殺傷力を抑えた水魔法だ。細く、それでいて一撃で意識を失うような水の線が魔族の頭を捉える。
その光景にユイやリンティア含め、村人達は驚いていた。気づいたら村を襲っていた者達が一人残らず倒れているのだから当然だろう。
「魔王様。」
「魔王様。」
「魔王様。」
至る所でユイを呼ぶ声が聞こえる。
「まおうさま。たすけてくれてありがとう。」
「いいえ。もうお母さんの傍から離れてはいけませんよ。」
「は~い。」
「よかったですねユイ様。でもこれは・・・ 」
「きっとクリフさんでしょう。」
「正解。大丈夫だった?」
「クリフさん。ありがとうございます。」
「クリフ殿。感謝する。」
「どちらにしても村を襲った連中はどうにかするつもりだったから丁度よかったよ。」
「殺してしまったんですか?」
「いや殺してないよ。頭に衝撃を受けて気絶してるだけ。」
「それはよかった・・・です。」
その後、襲ってきたノースの魔族達を動けない様に縛って、村人達に状況を確認した。
「魔王様を探しにこの村にいきなり押しかけてきたんです。」
「セントラルは今後ノースの傘下に入るって。抵抗したんですけど・・・」
「ユイのせいで・・・ごめんなさい。」
「それでクリフ殿。これからどうする?」
「それなんだけど、どうやらフォルカスもセントラルの城から逃げ出したみたいなんだ。この村を襲った魔族は倒したし、しばらくはこの村は安全だと思う。だからフォルカスを探そうと思うんだけど。」
「フォルカスが!?」「フォルカス様が!?」
「うん。家探ししてる魔族に尋問した時に聞いたんだけどね。戦力は多い方が助かるしね。だけどどこにいるかはわからないんだ。フォルカスが身を隠しそうな所ってあるかな?」
(それに俺が解決したらそれはそれで問題になる気がする。フォルカスがいるなら、アイツを中心にした方がセントラル城を奪還した後がやりやすい。だけどどこにいるかがわからないんだよな~。ユイかリンティアに心当たりがあればいいけど。)
「フォルカス様が身を潜めるとしたらセントラル城の南にある山の麓の村だと思います。あそこはフォルカス様の妹様もいらっしゃいますから。」
「ユイもそう思う。フォルカスはいつも妹のフォルテの事を気にかけていたから。」
「なるほど。妹がいるならフォルカスがそこにいる可能性は高いな。いやもしかしたら妹と合流して別の場所で身を隠してるかもしれない。ノースとサウスの動きは思った以上に速い。もしかしたらすでに掴まってるかも。」
「フォルカス様ならきっと大丈夫だ。フォルカス様がいればセントラル城も奪還できる。クリフ殿。早く向かおう。」
「待て待て。この村を放ってはいけないだろう。俺の土魔法なら住居も直せるし、食料もけっこう持ってきてる。それぐらいはしていかないとダメだろ。」
「うっ・・・」
「リンティア。クリフさんの言う通りです。ユイもお手伝いします。ユイは何をすれば良いですか?」
「ならユイはここの人達に説明と食料を渡してくれ。リンティアはユイを手伝ってやれ。俺はこのまま壊れた住居を直す。今の俺の見た目ならだれも怪しまないだろ?」
「そういえば・・・いつの間にクリフさんは魔族になったんですか?元々魔族だったんですか?」
「いやいや俺の魔法だよ。」
「そんな魔法があるのか・・・」
立ち寄った村を元通りに戻してクリフ達は移動を開始した。
(他の村も気になるが、なるべく他の村には寄らずにフォルカスの所に行きたい所だな。俺もそうだが、ユイも絶対助けるって言うだろうからな。助けるのが悪いとは言わないが、今は時間がない。他の村には申し訳ないが、フォルカスと合流して、セントラル城を奪還するまでは少し我慢してもらうしかないな。それにしても戦力を集めて聖国を攻める・・・か。戦力が集まるまでは大丈夫だとは思うが、ユーナ達には伝えておかないとな。)
そうしてクリフは、移動しながら日課の念話を行うのだった。
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