辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?

第282話 魔国の村

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魔の森を抜けたクリフ達は、魔国へと足を踏み入れた。見渡す限りの自然は、創造神が言っていた原始時代そのままだった。

「近くに村はあるの?」

「ええ。この辺はここからは私が地理がわかるから先導するわ。クリフ殿は後をついて来てください。」

リンティアの言葉に、リンティアとユイを翼を動かし宙を舞う。

「移動はだいたいそれ?」

「そうですね。ユイも城の外に出る時は空を飛んでました。ここではだいたい空を飛んで移動します。」

(それは・・・先に言ってほしかった。もしかしたら魔の森も空を飛んで移動したらこんなに日がかからなかったんじゃ・・・今更言っても遅いけど・・・魔の森を挟んで大陸の西側は全部魔国なんだから徒歩とか馬車を移動に使ってたんじゃ時間がかかってしょうがないか。折角空を飛べるなら普通に使うわな。)

クリフは先を急ぐリンティア、ユイの後を飛行魔法を使って追いかける。しばらく移動すると前方に黒い煙が立ち上っているのが見えた。

「リンティア、ユイ待って。様子を見た方がいい。」

(そりゃユイ達がいたセントラルはノースとサウスの反乱にあったんだから、村もどうにかなっててもおかしくないか。ユイを探してるって感じかな。不用意に村に入るのは危険だな。)

「もしかしたらユイを探しているのかもしれない。ここでユイやリンティアの存在がバレるのはまずい。どうにか違和感なく村に入る方法はあるのか?」

「難しいわね。どの村も人の出入りが多くないわ。出入りがあったとしても上位魔族が村を視察するぐらいだわ。」

「やっぱりか。なら姿を隠して中に入ろう。」

「そんな事できるの?」

「ああ。だけど存在が消える訳じゃないから声を出せば聞こえるし、触れる事もできる。そこは気を付けてくれ。それよりこの村にはユイやリンティアの知り合いはいるか?」

「いないわ。だけどユイのせいで、この村の人たちが酷い目にあってるなら助けてあげたいです。」

(ユイならそういうよな。さてどうする?十中八九村は何かが起きている。そして、俺の予想通りなら村はもう手遅れの可能性が高い。俺の力ならそれを解決する事はできる。だがその後は?きっと俺達の事はノースやサウスの奴らに知られるだろう。だけど先の為にここで見逃す事ができるかと言われればノーだ。誰も逃がさない様にして少しでも情報伝達を遅らせないと。)

「わかった。まずは村の状況を確認しよう。それと指示は俺が出す。勝手な真似をしたら困るのはユイ達だ。俺達は魔国を救いに来たんだ。ここで早まれば目的は達成できない。いいか?」

「わかりました。」
「わかった。」

クリフは自分にミラージュの魔法をかけて姿を見えなくする。そして、ユイとリンティアにも同じ魔法をかけた。姿を消したクリフ達は村へと入って行く。

入った村の状況はひどかった。所々の家は壊され、燃え、煙を上げている。村の中を歩く住民はおどおどしている人と、偉そうにしている人の2種類に分かれる。一目で村の住民と他所から来た者が分かる形だ。

「ユイ、リンティア。状況が知りたい。誰か話ができそうな人はいないか?」

「私やユイ様の事を知ってる人は多いと思うから、声をかける事はできると思う。だが、話してくれるかどうかは・・・」

(この状況ならそう思うか。自分達のせいで、村の人たちが苦しめられてるんだ。もしかしたら、通報される可能性もある・・・か。)

「二人はあの建物で隠れていてくれ。俺は状況を探ってくる。」

人の気配がしない建物があったので、二人をそこに隠し、クリフは偉そうにしてる人達の後を追った。

「これだけ探してもいないって事はこの村にはいないみたいだな。」

「ああ。だけど子供や戦える者は連れてこいって指示だ。俺は女がいれば十分だがな。」

「エックス様もすごいよな。いくらサウスと手を組んだからってセントラルを圧倒したもんな。人が集まれば聖国を攻めるんだっけ?」

「ああ。その為の戦力だな。魔王が逃げ出したからセントラルの奴らは希望を失っていないみたいだが、それも時間の問題だろ。」

その後もクリフは、この村に来てる人達の話を聞き、情報を集めて行った。

(ここに来てるのは、ノースの人達でノースの大将はエックスって言うのか。ユイを探しつつ、奴隷にして戦力を増やして行ってる感じだな。それと同時に食料なんかも奪ってる。もはや盗賊だな。後は・・・見つからない様に敵を減らすか。直接聞きたい事もあるからな。)

クリフは、周りに違和感がないように自分の姿を魔族に変化させる。創造魔法が使えるクリフい取って、自分の容姿を変えるなど訳なかった。ユイ達を残してきてる事は心配だが、これから先行動する為にも情報は重要になってくる為、クリフは更に一人で行動していった。

家探ししてる魔族を見つけたので、クリフはそっと近づき、二人の魔族を拘束した。そして、そのまま尋問を開始する。暗殺者でもないクリフは尋問は得意ではないが、魔法は得意なので、催眠魔法をうまく使って情報を聞き出した。

そして、内容を伝えようとユイ達が隠れている場所に戻ろうとすると、
「魔王を見つけたぞ!!!」と大きな声がクリフの耳に入ってくるのだった。

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