辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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第十章 家族の時間

第313話 ナリアとの時間 2

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「おっ~っと。ここは通行料が必要だぜ。そうだな~、通行料は有り金の9割だ。それに、そっちの女は俺達の相手をしてもらうからこっちにこい。可愛がってやる。馬車の中の積み荷もだ。大丈夫だ。ちゃんと通行料さえ払えば殺しはしないから。」

「何を言っている?お前達はこの馬車に誰が乗ってるのかわからないのか?カリフォル伯爵家の馬車だぞ。俺達は帝都に行かないといけない。こんな所で無駄な時間を使ってる暇はない。死にたくないなら大人しく道をあけるんだな。」

「はっはっはっ。これを見てもまだそんな事が言えるかな?おい!お前ら!」

一人の盗賊の声に、岩陰に隠れていた盗賊達が一斉に現れた。盗賊が1人と思っていた護衛の兵士達は、いきなり相手が10人に増えたのを見て武器を構えた。

「クリフ。丁度いいタイミングじゃない?そろそろ行かないと兵士が傷つくかもしれないわ。」

「ああそうだね。盗賊達だけど多分後ろからも5人ぐらいがこっちに近づいてきてるから全部で15人だね。」

「なら私が10人を倒すわ。クリフは後ろから来る盗賊をお願いできるかしら?」

「大丈夫なの?」

「当たり前よ。盗賊の10人や20人楽勝よ。」

「まあそりゃそうか。」

そうして、クリフとナリアは盗賊達と、それと対峙する兵士達の間に降りた。

「何者だ!?」

「安心してください。カリフォル伯爵様の馬車が盗賊に襲われるのを見つけて加勢に来ました。私達は味方です。後ろからもこいつらの仲間と思われる人が近づいて来ています。警戒してください。」

「何!本当か・・・うむ・・・だが・・・」

(まあそりゃそうか。もし俺達が盗賊の仲間だったら、背を向けた瞬間に攻撃されるもんな。先に盗賊を無力化して多少なりとも信用を得るのが先か。)

「ナリア。盗賊達はまかせた。俺は後方のヤツを倒してくる。」

「わかったわ。」

クリフは馬車の後方へと走って行った。

「さて、薄汚い盗賊さん。降参するなら許してあげるけど・・・どうする?」

「はん。一人や二人増えた所で何もかわらねぇ。お前らやっちまえ!」

盗賊が武器を構え、ナリアと兵士達に向かってくる。ナリアは愛用している槍を取り出して、向かってくる盗賊達を倒していく。兵士も武器を構えて馬車を護衛するが、馬車に辿り着く前に盗賊達はナリアの手によって全滅させられていた。

丁度10人目の盗賊を無力化した所で、盗賊を5人引き連れてクリフが戻ってきた。

「ナリアの方も終わったみたいだね。俺の方も問題なかったよ。」

「ええこれぐらいなら楽勝よ。馬車に護衛の兵士達が無事でよかったわ。」

クリフとナリアは、無力化した兵士を一人一人縛って行く。すると、そこに護衛をしていた兵士が近づいて来た。

「助太刀感謝致します。」

「別にいいのよ。私達が好きでした事だし。それより、この盗賊達はまかせていいかしら。縛ってるから問題ないと思うけど、15人もさすがに連れていけないわ。」

「わかりました。聞いてきますので少し待ってもらっていいですか?」

「かまわないわよ。」

兵士は、馬車へと向かい乗っている人へ詳細を伝えた。すると、馬車からメイド服を着た女性と、キレイなドレスを着た女性が降りてきた。

「あれがフラワーよ。やっぱりフラワーが乗ってたわね。助けれてよかったわ。」

「フラワー伯爵令嬢か・・・キレイな女性だね。」

「ダメよクリフ、手を出しちゃ。フラワーが相手がいるんだからね。」

「いやいや俺を見境の無い猿みたいに言うなよ。キレイだからって手を出す訳ないだろ?」

「あら?自分の胸に手をあてて見なさい。思い当たる事があるでしょう。」

クリフ達が令嬢を見ながら話していると、その令嬢がクリフ達の元へと歩いて来た。

「この度は助けて頂きありがとうございます。それで、兵士より聞いたのですが、私達だけで盗賊を連れて行くのは不安があります。よければ帝都までご同行頂けないでしょうか?もちろん報酬は支払います。」

「どうする?ナリア?」

「そうね・・・丁度私達も帝都に向かう予定だったし一緒に行っていいんじゃない?それに面白そうじゃない?守られるのは慣れてるけど、誰かを守りながら移動するのは初めての事だわ。フラワーの事も心配だし。」

「馬車の前を歩く事になるけど、かまわないのか?」

「それも経験よ。」

「・・・わかった。」

クリフとナリアは、フラワーに正体を隠したまま、フラワーの乗る馬車と共に帝都を目指した。帝都に着くまでに一泊する事になったが、問題は少ししかなかった。

夜営する事になった時、いつものコテージを出すわけにはいかず、よくあるテントで寝泊まりする事になった事。食事の時にナリアがフラワーに気さくに話した事を兵士に注意されるも、フラワーが静止した事など、問題はささいな事だった。

そんな事もあり、クリフ達は無事に帝都へと辿りついた。フラワー達と別れたクリフとナリアは、変装を元に戻してテキサス城へと転移した。

「よかったのか?せっかく変装して帝都に来たのに。」

「ええ。フラワーの話を聞いたら変装したままでいるのが申し訳なく思ってね。ここに向かってるみたいだから、ここで正体を明かしておこうかなって思ってね。まあ話の中で多少は気づいてるかもしれないけどね。」

そう言って、テキサス城に入ったクリフとナリアは、皇帝に事情を話し準備を進めるのだった。
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