こけしの大晦日

んが

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大晦日

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 三年後の大晦日の事です。
 かいととれんは傘を卒業してこけしのおじさんとおばさんのうちで暮らしていました。
 ポチはもう年寄りになっていましたが、まだ歩けるのでした。
 
「かいとや、れんや」
 おじさんが二人を呼びました。
「年末年始はどうやって過ごそうかね」
 二人はマスクをしていました。おじさんとおばさんもマスクをしています。
「変な病気が流行っているからうちでのんびりすごしましょう。おじさんとおばさんたちに何かあったらぼくたち生きていかれません」
 かいとがおじさんからみかんをもらって食べています。
「みかんでも食べながらゆっくりしていましょう」
「やっと見つけた幸せだもの。ねえ、かいと兄ちゃん。おじさんとおばさんには百歳まで生きてもらわないと……」
 おばさんは、エプロンを外すと「百歳かぁ」とかいととれんの顔を見て笑いました。
「じゃあ、お店のお掃除は二人にもお願いね。あとお部屋のお掃除もね。百歳まで生きてもらいたかったら働く働く!」
 おばさんは二人の頭に手ぬぐいを巻くと、箒とぞうきんを渡してポンポンっと背中をたたきました。
「お父さんものんびりみかんなんか食べている時間なんかないわよ。夜のお楽しみの前にお掃除しますよ~」
 小さなこけしのお店の中は、にぎやかな声が響き渡っていました。
 台所にはすき焼き用のお肉やネギ、白菜などが、鍋とともに用意されていました。
 もちろん、ポチにはポチ用のごちそうが用意されています。
 みんなで笑ってよい年が迎えられますように。
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