3 / 4
赤ずきんは生贄
しおりを挟む
赤ずきんは生贄である。
「赤ずきんはこの町で1番可愛らしい子」
「赤ずきんは1番赤い頭巾が似合う子」
「おばあさんのお見舞いに行こう」
「お母さんはついていけないのよ」
「赤い頭巾は目印」
「いってらっしゃい、可愛い子」
お母さんが作ってくれた可愛らしい赤い頭巾、左手には茶色のバスケット。中には葡萄酒と美味しいケーキ。おばあさんのお見舞いのはずだった。気をつけるのは狼。話しかけられても無視するように。狼は甘い言葉で子供を騙すから。
「可愛らしい赤ずきん」
「あの子は森に」
「おばあさんのお見舞いに」
「森には狼がいる」
「可愛い子供は食べられてしまう」
「これで何人目?」
「だって仕方ない」
「あの子は赤い頭巾が一番似合ったんだもの」
息が切れる。あちこち擦りむいて痛い。赤い頭巾は破けてしまった。後ろから聞こえる笑い声。あれはきっと狼なんかじゃない。伸びてきた指が小さく肩を引っ掻く。必死に走るしかない。
「おばあさんのお見舞いに」
「お見舞いに行くことができれば」
「あの子は帰ってこられる」
「おばあさんの家に着ければ」
「おばあさんは守ってくれる」
「あの子をきっと守ってくれる」
「あの子ならきっと」
不意に目の前に小さな家が現れる。黄色い屋根に赤い壁の可愛らしいお家。おばあさんの家だ。もうすこし。もう少し走れば。小さな家の扉が開く。目の前が明るくなる。赤い頭巾がどこかに飛んでいく。扉に手をかける。ノブを回す。不意に目の前が暗くなる。小さなため息。
「またダメだった」
森の中にいる小さな家。住んでいるのは赤ずきん。たった1人、狼に気に入られてしまった可哀想な赤ずきん。狼はお家の壁に破れた赤い頭巾を貼り付ける。間に合わなかった子の頭巾を貼り付ける。赤ずきんは、大人になった赤ずきんは虚な目でつぶやく。
「だって、赤い頭巾が一番似合ったんだもの」
「赤ずきんはこの町で1番可愛らしい子」
「赤ずきんは1番赤い頭巾が似合う子」
「おばあさんのお見舞いに行こう」
「お母さんはついていけないのよ」
「赤い頭巾は目印」
「いってらっしゃい、可愛い子」
お母さんが作ってくれた可愛らしい赤い頭巾、左手には茶色のバスケット。中には葡萄酒と美味しいケーキ。おばあさんのお見舞いのはずだった。気をつけるのは狼。話しかけられても無視するように。狼は甘い言葉で子供を騙すから。
「可愛らしい赤ずきん」
「あの子は森に」
「おばあさんのお見舞いに」
「森には狼がいる」
「可愛い子供は食べられてしまう」
「これで何人目?」
「だって仕方ない」
「あの子は赤い頭巾が一番似合ったんだもの」
息が切れる。あちこち擦りむいて痛い。赤い頭巾は破けてしまった。後ろから聞こえる笑い声。あれはきっと狼なんかじゃない。伸びてきた指が小さく肩を引っ掻く。必死に走るしかない。
「おばあさんのお見舞いに」
「お見舞いに行くことができれば」
「あの子は帰ってこられる」
「おばあさんの家に着ければ」
「おばあさんは守ってくれる」
「あの子をきっと守ってくれる」
「あの子ならきっと」
不意に目の前に小さな家が現れる。黄色い屋根に赤い壁の可愛らしいお家。おばあさんの家だ。もうすこし。もう少し走れば。小さな家の扉が開く。目の前が明るくなる。赤い頭巾がどこかに飛んでいく。扉に手をかける。ノブを回す。不意に目の前が暗くなる。小さなため息。
「またダメだった」
森の中にいる小さな家。住んでいるのは赤ずきん。たった1人、狼に気に入られてしまった可哀想な赤ずきん。狼はお家の壁に破れた赤い頭巾を貼り付ける。間に合わなかった子の頭巾を貼り付ける。赤ずきんは、大人になった赤ずきんは虚な目でつぶやく。
「だって、赤い頭巾が一番似合ったんだもの」
1
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる