僕1人だけパーティから追放されたことになっていた件

しぎ

文字の大きさ
2 / 4

2

しおりを挟む
5年前、とあるダンジョンで罠に引っ掛かり、僕の身体にはいくつかの縛りが科せられた。話すことができないのもそのうちの一つ。意思疎通が難しい僕と組んでくれる人は全然いなくて困り果てていた時に拾ってくれたのがデリックだった。アナベルとコンビだったデリックは僕に対して、話せなくてもいい、こっちが勝手に汲み取る。と宣言して、本当に僕の意志を全て読み取るような動きで戦ってくれた。ある程度実力のあるトリオとして認められ出した時に、とある依頼でユーリアと出会い、4人パーティを組むことになった。
パーティリーダーのデリックは、24歳、豪放磊落、質実剛健なんて言葉が似合うような強くて逞しい男。見た目は細身なのに大剣を振り回して敵を倒すすごく強い人。
アナベルは22歳、ちょっと気が強すぎるところがあるけど、本当はとっても優しい人。魔法使いとしての能力は超一流でどこのパーティからも勧誘を受けてる。
ユーリアは少しおっとりとしてる18歳。パーティ最年少で、パーティを組むのも僕たちが初めて。ソロで行ったクエストに苦戦しているところをデリックが手助けしたのが出会いだった。ヒーラーとしての能力以外にも知識豊富で物品の採集みたいな僕たちが苦手なクエストは彼女頼りになった。
ついでに、僕はテオ、19歳。シーフ。昔いたパーティで罠に嵌って縛りが掛けられた瞬間置いてけぼりにされた哀れなシーフ。今はデリックたちがいるから良いけどね。
罠の解除と鑑定が主な仕事の僕はパーティに必須なわけでは無いから僕が邪魔、と言う気持ちもわかる。パーティ人数は4人まで、って所が多いし。
でも、僕は結構自分では優秀な方だと思うし、身を守ることぐらいはできるからパーティに置いておいて損はないんじゃないかな、なんて考えてみる。みんなには伝えない。多分気を使わせてしまう。

パーティを解散、又は個人を追放できるのはパーティメンバーか、パーティを組んだギルドの人間だけになる。ギルドの人は知らない様子だったし、3人のうち誰かに追放されたと考えるのが無難なんだけど。

(そう考えたくはないなぁ)

みんなのことが好きだから、信じたいとは思っている。顔を突き合わせて話し合うみんなの声に耳を傾けながら、個人で調査してみることを心に決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【短編】追放した仲間が行方不明!?

mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。 ※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

この国を護ってきた私が、なぜ婚約破棄されなければいけないの?

ファンタジー
ルミドール聖王国第一王子アルベリク・ダランディールに、「聖女としてふさわしくない」と言われ、同時に婚約破棄されてしまった聖女ヴィアナ。失意のどん底に落ち込むヴィアナだったが、第二王子マリクに「この国を出よう」と誘われ、そのまま求婚される。それを受け入れたヴィアナは聖女聖人が確認されたことのないテレンツィアへと向かうが……。 ※複数のサイトに投稿しています。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...