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『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
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「…録画停止」
令嬢は1人、ウサギに向かって話しかける。その瞬間僅かにしていた機械音が止まった。
「…再生」
ウサギを抱き上げて後ろを向かせ再び話しかけると、ウサギの頭上に小さくぼんやりと映像が浮かび小さな音量で声がし始める。
映像を確認した令嬢は薄く笑みを浮かべた。
傲慢な婚約者。彼女の家が逆らえないのをいい事に、令嬢に仕事を押し付け自分は浮気相手と遊んでいる。
8年耐えた。もう我慢ができない。証拠は十分集まった。これだけあれば婚約者が有責で婚約破棄できるだろう。
「録画開始。…ありがとうね」
そっと頭を撫でられたウサギは誇らしげに黒い瞳を輝かせた。
「カメラ、と言うらしいですよ」
「その機械が?』
「機械の眼で見ている物を残して再生することが出来るもののようです。令嬢はその映像を使って有利な立場で婚約破棄をしたようですね。令嬢が婚約破棄出来てからその話が広まって、物にカメラを仕込むことが流行ったらしいです」
「…嫌な流行ね」
「需要がある、と言うことでしょう。あなたも必要ですか?」
「いいえ?証拠なんて手に入れても何にもならないもの」
人前で恋人同士のようにしていたって誰も何も言わないのだから、私が証拠なんて集めても鼻で笑われるだけだろう。
「婚約破棄なんてできない」
「…嫌な問題でしたかね?」
「いいえ、痛快よ。令嬢はきっと幸せになれるでしょう?」
「それなら、あなたも幸せになれるような問題を出しましょう」
『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
「質問をどうぞ?」
令嬢は1人、ウサギに向かって話しかける。その瞬間僅かにしていた機械音が止まった。
「…再生」
ウサギを抱き上げて後ろを向かせ再び話しかけると、ウサギの頭上に小さくぼんやりと映像が浮かび小さな音量で声がし始める。
映像を確認した令嬢は薄く笑みを浮かべた。
傲慢な婚約者。彼女の家が逆らえないのをいい事に、令嬢に仕事を押し付け自分は浮気相手と遊んでいる。
8年耐えた。もう我慢ができない。証拠は十分集まった。これだけあれば婚約者が有責で婚約破棄できるだろう。
「録画開始。…ありがとうね」
そっと頭を撫でられたウサギは誇らしげに黒い瞳を輝かせた。
「カメラ、と言うらしいですよ」
「その機械が?』
「機械の眼で見ている物を残して再生することが出来るもののようです。令嬢はその映像を使って有利な立場で婚約破棄をしたようですね。令嬢が婚約破棄出来てからその話が広まって、物にカメラを仕込むことが流行ったらしいです」
「…嫌な流行ね」
「需要がある、と言うことでしょう。あなたも必要ですか?」
「いいえ?証拠なんて手に入れても何にもならないもの」
人前で恋人同士のようにしていたって誰も何も言わないのだから、私が証拠なんて集めても鼻で笑われるだけだろう。
「婚約破棄なんてできない」
「…嫌な問題でしたかね?」
「いいえ、痛快よ。令嬢はきっと幸せになれるでしょう?」
「それなら、あなたも幸せになれるような問題を出しましょう」
『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
「質問をどうぞ?」
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