最強勇者の最弱物語

暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P

文字の大きさ
14 / 24
第二章~勇者修行編~

4.最弱からの離脱...

しおりを挟む
 やあみんな!!俺の名前は勇者!!わーい。たのしーねー。ン?何でこんなにテンションが高いかって?ヴァニラたんとの初デートだからさ!!今は朝の五時半、あと三十分で来るよ!



 一時間後
 「...来なかった。」
なんでなんだよ!!期待して損した!!あの夜のムードは何処に!?
「ヴァニラ―!!!!!」
怒りが込み上げてきたので叫んでみた。

 「勇者どの。助けて...。」

 遠くからヴァニラの声が聞こえた。俺がいるのはこの前の小屋の前、声の方向は公園の中、やっぱり来てくれていたんだ!!確かに場所は伝えていなかったな。
...ん?まてまてまて。助けてだって?ようやく出番が来たな!!
 「ヴァニラ!!今行くぞ!って何処!?」
「公園のクリスタルのところ...。」
「おう!」

 クリスタルのところといえば、あそこだ。昨日は暗くてよく見えなかったが今日はとてもよく魅える。約五十メートルくらいの巨大クリスタル。斜めに刺さっており、紫と青とピンクの色が絶妙におしゃれ。
 周囲の状況を確認しながら入り口に向ていたらもう着いた。十メートルもないから当たり前だけど...。

 入り口には特に装飾がなく、『グランドドイッス西国立公園』と書かれた看板があるだけだ。
「やあ、昨日の人間。案内必要?」
リゲルだ。しかし、それどころではない。
「いらん。」
この一言に限る。そして俺は走り出した。

 ヴァニラのもとについた。
「はぁはぁ。どうした!?ヴァニラ。」
「こ、こいつが強すぎ。」
 この公園にはモンスターは基本入ってこないはずだ。
おかしいな。と思った俺はヴァニラの目の前の生物に目を向けた。しかし、それはモンスターではなかった。

 「クソミミ。てめぇのために五分も待ったんだぞ。ありがとうございますの一つもねぇのかよ!!」
「...。妾。王じゃぞ?」
「知るかボケェ!!ここはグランドドイッス地区だからてめぇには何の権限もねえんだよ!!」
その生物は人間だった。それも、腕にタトゥーを入れ、鎖をジャラジャラとつらしているかなりのチンピラだ。っていうか、こいつどこかで...。

 「勇者どの!!助けて!!こいつどうにかしてよ!うざい!」
「俺は守ると誓った。そして、悪を片付けるとも誓った。」
と、このように格好つけているとチンピラはずかずかと俺の前に近寄ってきた。
 
 「誰だてめぇ。」
彼は首を四十五度傾けながら俺を煽ってくる。
「お前こそ誰だ...。」
「あぁ!?俺の名はライアンッ!!世間では『ケモミミ潰しのライアン』と呼ばれている。」

 俺は思い出した。こいつ。あの時ケモ耳の少女をいじめてたやつらの一人じゃねえか...。
「ライアン!ケモミミいじめて何が楽しいんだよ!?」
俺はどちらかというとケモミミ愛好家だ。一部の人間はケモミミを迫害しているらしいが、俺はそれが気に入らない。

 「そうじゃ。妾、別にこの人を探してうろちょろしていただけで別に悪いことはなんもしていないと思うけど。」
ヴァニラのその言葉に反応したライアンは左手を胸の前に置き、さっきより態度が落ち着いた様子だ。
 
 「俺の進行している宗教では獣人はゴミ以下の価値しかないんだよ。」
ライアンが言った。俺とヴァニラはせーのと息を合わせる。
「「意味わからんっ!!」」
「は?俺の教祖をバカにすんじゃねえ!!」

 ライアンブチ切れ案件。俺はひとつの疑問を投げかける。
「どっかの知らないカルト宗教に入ったんだろ?」
「は!?っざけんじゃねえぞ!てめぇもネコミミもブチ殺すッァ!!!!!」

 (ボゴッ)

 そう言って奴は俺の顔を殴った。
「ゲホッ!!ぐおお。くはっ。」
「勇者どのー!!大丈夫かや!?」
痛ぇ。いきなり殴るとか。過激すぎる。そうか、こんな謎宗教があるから一部の奴がケモミミを虐げてるんだな。ていうか痛ぇ。
 
 「うおおおおおおおおお!!!!」
その瞬間だけ時の経過がゆっくりに感じた。ライアンがヴァニラを殴ろうと、叫んだ。誓ったのだ。守らなければ、そう思い、フラニック・オブ・クライネスを鞘から引き抜いた。
でも、行くと痛い。しかし、行かないと心が痛い。早くしないと。でも、覚悟が決まらない。
―気づいたら、俺は何も行動していなかった。

 (ボゴッ!!ドドドッゴッ!!)

 さっきよりも鈍い音がした。...また、やってしまった。いったい何回目なのだろうか。

 しかし、殴られたのはヴァニラではなく紳士服の男だった。

「0.1秒だ。」

 紳士服のその男が言葉を放った途端。本当に0.1秒ほどしかたっていないというのに、ライアンはその場に倒れこんでしまった。
「勇者どの...。」
 ヴァニラは俺に向ってそう言った。その目は呆れと絶望と驚愕。様々な感情が入り混じっており、一言では説明できない後悔を俺に与えてくれた。

 「...勇者氏。フラニック・オブ・クライネスを持つ資格は強さじゃなくてヴぁにらさまとのやくそくをまもれるかですよ。それでは私はここで。ちなみにこのライアン氏は殺しておきました。」

 紳士服の男はそう言いながら、公園の外へと消えていった。
「ヴァニラ...ごめん。」
...謝る以外の選択肢は俺にはない。あるなら教えてほしいくらいだ。
「...。実はあの人、私の執事なの。たしかクリストファーだったっけ?そして、あなたは動かなかった。...確信した。勇者どの?あなたは最強勇者ではない...。」

 「そんなの。分かってるよ!!最弱勇者だよ!!」
俺は最弱だ!!変に考えさせないでくれ!!と思って強くいってしまった。

 「勇者どの。だよ。切り替えが大切だよっ、せっかくなんだし、観光を続けよう。」
「そ、そうだな。」
俺は無意識に笑顔になっていた。名すらない俺はこの人生、あまりやさしさというものに触れてこなかった。むしろ他人の死のほうがよっぽぢたくさん見た気がする。

 「キミ。公園内で人殺しされても困るよ。」
リゲルだ。どこからともなく現れた。
「あ!?私...ライアンが殺害されたの完全に忘れてた。ていうかあなたはどちらさま?」
「聖・リゲルです。でもコイツ、有名な犯罪者だから死んだところで何の問題もない。むしろしんでよかったよ~。ハハハッ!」
リゲルは顔を上にあげライアンの死を嘲笑した。

 「...あなたまで死を軽く見ているの...?」
ヴァニラの口調がゆっくりになった。
「おもしろいこときくねぇ。キミ。この世界は殺すか殺されるかだ。この街は平和なほうだヨ。この前までは戦争していたしネ。」

 正直、リゲルの言っていることは正しいと思う。世間から見ればこの乱世で死が怖いとか言っているのはおバカな平和主義者だけだ。
 「私は戦争では一人も殺していませんっ!!」
「...まあ、平和主義もいいよネ。死体に関してはこっちでどうにかするからキミたちは観光を楽しむといいヨ。」

 こわいことに、死を見すぎたせいか、悪い奴だからかは知らないが、俺の目の前で人が死んだという事実に何にも感じなくなっていた。

 「キミたち。案内いる?」
「いらん。」
この日床に限る。だってこのキツネ野郎、色々うざいもん。

 「さあ、観光を始めよう!!」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...