最強勇者の最弱物語

暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P

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第三章~科学進行編~

3.最狂勇者

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 やべぇやべぇ。わたくし、勇者。ものすごい嫌われてるんですけど!?
と、こうなってしまったのには訳がある。『あの魔王泣かせの最強勇者がパーティーメンバーを見殺しにし、友人を殺し、王の権限を得るためか追放した。』とかいうデマと言えばデマみたいな記事が例の情報屋さん達が流しているらしいんだ。事実だが、全く悪気はない。むしろ、誤っているのに!!

 「くそったれが――――――――ッ!!!!!!」
町中に響き渡るほどの声量で俺は叫び、家に反射した声は流れるように響き渡っていく。

 「あなた!うるさい。」
「...ヴァニラ!?いつからそこに...?」
「ずっとだよ!やばいね(笑)。評判が魔王と同じくらいに低いじゃん...。」
ずっといただと...?ストーカーかよ。ていうか、自分。魔王と同じくらいに成り下がったんだな。

 「どこに向っているの?」
「家さ。」
「勇者どのって家あったんだ。野宿かと思ってたよ...。」
「ボケるな!さすがにあるわ!!」

 「ちなみに、どうして?まだ夜じゃないし...。」
「なに!?俺は夜以外家に帰っちゃダメなの!?疲れただけだよ。」
「ふ~ん。ていうか、まだ大木きってもらってないし。」
ヴァニラ、何でそんなにあの木を伐りたいんだ?これがもし物語とかだったら何か重要な伏線だったりするのだがな。

 「あ、あそこが俺んちだよ!」
知らないらしいヴァニラに元気よくご紹介する。しかし、
「知ってた。」
冷静な反応。泣いていい??

 「何で知ってんの?」
「この前の同盟会議の時、行った...所はここじゃない。」
ヴァニラ、そして俺が氷のように固まってしまった。...まってよ。家が...ないもん。荒れ地に看板が一つ置いてあるだけの謎の空間に。

 「ちょっと!!??おかしくないですかこれ!?」
家が、ない。消えた。今、俺の脳内には、絶望という地面の上に混乱という家が建っている。絶望以前に訳が分からない。
「あなた。ここを見て!」
ヴァニラが指をさした看板には一枚の紙が貼ってあった。

 『勇者様。いや、最狂勇者よ。私はグランドドイッス地区ベイマス・コーリングス配下のベントウ・ベンと申します。この度は誠に申し訳ないのですが、王を追放するという狂った行為を行ったとして、住民権を剥奪させてもらいます。出てけ。フラニック・オブ・クライネスを置いて。』

 「...勇者どの。あらら、これはまずいね。」
「いや、まずいどころの話じゃないだろ!?こっから俺はどうすればいいっていうの!?」
「私が国民のみんなに向けて説得会見でも開いたほうがいいかな?」

 「......それはなんか違うんだよな。そうだ!!あの魔王のいない魔王城に引っ越せばいいんだ!!あそこはグランドドイッスおよび東アニマニクス同盟共和国にぎりぎり属していないからもしかしたら、俺はすっごいかもしれない。」

 「たしかに!!いい考えかもしれないね。それじゃあ、さっそく向かうかや?」
「そうだな。」
ヴァニラは俺の切り替えの早さに驚いているかもしれないが、一番驚いているのは自分なんじゃないかなって思う。昔の俺だったら。泣いて、泣いて、泣いていただろう。

 「よお、さいきょう勇者。」
俺に声をかけてきたのはよく来るお店のおっちゃんだ。名前は......知らん。
「おっちゃん。最強、最狂。どっちで呼んでいるんだ?」

 「もちろん、最狂勇者。」
「...ガーン!!!」
周りから見ればふざけているようにしか見えないかもしれないが、クッソ悲しい。だって、幼なじみなんだよ!相手はおっちゃんだし、名前知らんけど...。

 「勇者どの。ちょっと私も魔王城に行くから城から色々物資を持ってくるね。」

ヴァニラはそう言いながら大きな城へと向かっていった。
「いったんバイバイ。」
「じゃ。」
俺の目に映るヴァニラの姿はどんどんどんどんと小さくなっていった。
 

 「おい?このくそ勇者。てめぇよ!ふざけてんのか!」
はい。チンピラに絡まれてしまいました。レンガでできた大きな道から少し外れた路地裏に連れていかれ、文句をはかされた。
「なんですか?」
「一発殴らせろ。」
「いやです。」
俺は心のどこかにふわりと現れた怒りの感情が忠実に働いた。フラニック・オブ・クライネスを鞘から取り出してい隠してみる。

 「おい、この剣が見えないのか?」
「...み、見えます。」
「よろしい。帰れ。」
威嚇が終わったから、フラニック・オブ・クライネスを鞘にしまうか。

 (スパッ)

 「痛い!?」
え...。俺がしまおうと思い鞘に向って振りあげたフラニック・オブ・クライネスが彼の体に直撃してしまった。たまたまフラニック・オブ・クライネスが魔力切れしていたのが不幸中の幸いで、路地裏ごとぶっ飛ぶということはなかった。
「す、すいません!チンピラさん!わざとじゃないんです。」

 「...チッ。このことをグランドドイッス兵士団に報告するからな。最狂勇者に一方的に切られました。って。」
そういった彼は痛みに耐えながらゆっくりゆっくりと路地裏から出て行った。これがもし本当に報告されたら俺は終わりだ。これ以上評判を下げられたら追放どころか処刑されるかもしれない...。
俺は絶望というお土産とともに路地裏を出た。

 「あ、勇者どの!!持ってきたよ。」
路地裏から出ると、ヴァニラがでっかいリュックをしょいながら、尻尾を振って待っていた。

 「ヴァニラ、今、俺な......。」
「どうしたの?」
ヴァニラの輝く笑顔を壊すことなどできない。

 「...何でもない。」
「えぇ!?これからどんどん頑張って一緒に評判を上げていこうね!」
「...うん。」
「だから、絶対に人を攻撃なんかしちゃダメだよ。」
「............ぅぃ。」
「小声(笑)。さあ、人生をエンジョイしよう。」
終わった。と思った俺がいる。誰か、マジで助けて。
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