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ルドルフ視点11
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「おい、ルドルフ。魔力を制御しろ」
後ろからユリウスが慌てて声を掛けて来る。
それに気付いたのか、アレンデル殿下もため息を吐きながら「パチン」と指を鳴らした。
一瞬で僕の周囲に巡らされた魔力が飛散する。
「何をやっているんだ」
僕に追い付いたユリウスに乱暴に肩を取られた。
「今日は殿下の祝の席なんだぞ」
尚も怒るユリウス。
「悪い。ちょっと気持ちが暴走した」
僕は魔力が高い為か怒りの気持ちでたまに魔力が暴走する事がある。
最近は制御出来ているとばかり思っていたのだが、どうやらそれは思い込みだけのようだ。
ユリウスの後ろからやって来たアレンデル殿下へも深々と謝罪する。
「申し訳ございません。アレンデル殿下」
僕の謝罪にアレンデル殿下は意にも反さないように
「うん。良いよ。ところでルドルフ何にそんなに気を取られたの?」
と、僕を気遣いながらにこやかにそう問い掛けて来る。
アレンデル殿下は四歳年下だが何時も穏やかに対応してくれる良く出来たら弟のような存在だ。
「すみません。先程エドを見かけたもので」
そうだ。
そこが肝心だ。
最初こそエリスをエスコートしていると錯覚したが、良く良く見れば男受けしそうな顔の大女だった。
もしかしたら、あの無垢で優しいエドがたぶらかされたかもしれないのだ。
「ああ、ルドルフが私の側近にと話していた例の優秀な婚約者のお兄さんだね」
優しい声音で話すアレンデル殿下に僕のざわついた心が穏やかになって行く。
「はい。先程ダンスホールの方へと向かっていましたので……」
そうだよ。
ダンスホールへ向かったんだよ。
エドのファーストダンスをあの女と?
「じゃあ、ダンスが終わったら声を掛けようか。丁度私への挨拶も一段落したし、私もルドルフの言うエドとは面通し位しておきたいからね」
そう言って微笑むアレンデル殿下は僕の背中を軽く押す。
「皆さんお騒がせ致しました。本日は私の祝の席です。楽しんで行って下されば幸いです」
さっと紳士の礼を取ると貴族達はそれに習うように礼を取る。
その様子に再度微笑んだアレンデル殿下は僕の方を向き直るといたずらっ子のような顔になった。
「何しているの、さっさと出待ちして驚かせよう」
と更にアレンデル殿下に促される。
まだまだ少年の域を出ないというのに。
「はい、アレンデル殿下」
本当に出来た主人である。
後ろからユリウスが慌てて声を掛けて来る。
それに気付いたのか、アレンデル殿下もため息を吐きながら「パチン」と指を鳴らした。
一瞬で僕の周囲に巡らされた魔力が飛散する。
「何をやっているんだ」
僕に追い付いたユリウスに乱暴に肩を取られた。
「今日は殿下の祝の席なんだぞ」
尚も怒るユリウス。
「悪い。ちょっと気持ちが暴走した」
僕は魔力が高い為か怒りの気持ちでたまに魔力が暴走する事がある。
最近は制御出来ているとばかり思っていたのだが、どうやらそれは思い込みだけのようだ。
ユリウスの後ろからやって来たアレンデル殿下へも深々と謝罪する。
「申し訳ございません。アレンデル殿下」
僕の謝罪にアレンデル殿下は意にも反さないように
「うん。良いよ。ところでルドルフ何にそんなに気を取られたの?」
と、僕を気遣いながらにこやかにそう問い掛けて来る。
アレンデル殿下は四歳年下だが何時も穏やかに対応してくれる良く出来たら弟のような存在だ。
「すみません。先程エドを見かけたもので」
そうだ。
そこが肝心だ。
最初こそエリスをエスコートしていると錯覚したが、良く良く見れば男受けしそうな顔の大女だった。
もしかしたら、あの無垢で優しいエドがたぶらかされたかもしれないのだ。
「ああ、ルドルフが私の側近にと話していた例の優秀な婚約者のお兄さんだね」
優しい声音で話すアレンデル殿下に僕のざわついた心が穏やかになって行く。
「はい。先程ダンスホールの方へと向かっていましたので……」
そうだよ。
ダンスホールへ向かったんだよ。
エドのファーストダンスをあの女と?
「じゃあ、ダンスが終わったら声を掛けようか。丁度私への挨拶も一段落したし、私もルドルフの言うエドとは面通し位しておきたいからね」
そう言って微笑むアレンデル殿下は僕の背中を軽く押す。
「皆さんお騒がせ致しました。本日は私の祝の席です。楽しんで行って下されば幸いです」
さっと紳士の礼を取ると貴族達はそれに習うように礼を取る。
その様子に再度微笑んだアレンデル殿下は僕の方を向き直るといたずらっ子のような顔になった。
「何しているの、さっさと出待ちして驚かせよう」
と更にアレンデル殿下に促される。
まだまだ少年の域を出ないというのに。
「はい、アレンデル殿下」
本当に出来た主人である。
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