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時は来たれり……。
100年に一度の周期でその国には異世界から聖人が現れていた。
世界に漂う魔素が瘴気に満ちるのを防ぐ存在。
ただそこにあるだけで全てを浄化する存在。
その者達は女ならば聖女と、男ならば勇者と呼ばれ崇められた。
今、その時が来たのだ……。
おびただしい数の重鎮が犇めく聖堂。
その聖堂の中央に今、男女二人の人物が現れた。
一人は可憐な乙女。
一人は真剣を持った青年。
どちらも整った顔立ちで人々の視線を釘告げにした。
「聖女様ようこそ我が国に」
そう言って二人の人物の元に最初に近づいたのはこの国の王太子。
きらびやかな青いマントを翻して可憐な乙女に跪く。
「私はこの国の王太子ルドルフです。どうぞ私の手を」
そう言って可憐な乙女の手を取る。
しかし、その乙女はなかなか手を取らない。
それどころか隣に立つ異世界の青年を頬を染めながら見つめていた。
「あの……私本郷麗美那と申します」
そして、王太子を傍目に勝手に自己紹介を初めてしまった。
「こんにちは。はじめまして麗美那さん。私は若林優希です」
そう言って軽くお辞儀をする青年。
爽やかに微笑む優希に麗美那は顔を茹で蛸のように赤らめる。
一目で恋に落ちたのは馬鹿でも分かるその光景を、苦々しく見ている者がいた。
勿論、それはこの場で一番偉い王太子である。
「あの……私◯◯女子高3年生です。彼氏はいません」
「そうですか。私は△△大学付属高等学校3年生で、この通り恋人は剣なんですよ」
そう言って微笑む優希に麗美那は益々頬を染めた。
「つまり……フリー」
ポツリと小さくそう呟くとガッツポーズをとる聖女様。
そんな状況で一番近くにいた王太子は今や鬼のような微笑みで優希の方を見ていた。
「これはこれは勇者様。我が世界へようこそ」
ヒクヒクと口角をひくつかせながら王太子は優希にお辞儀をした。
今回の聖女降臨は無事に人型のようでほっとした。
過去には獣人だとか竜だとか人じゃない者もいた。
どちらかと言うと女が多いが、今回のように男も異世界から渡って来る事もある。
その場合、女は聖女で男は勇者となり王族よりも尊い存在なのだ。
そして、どちらも特殊な能力を有しており、この国を守ってくれる。
……とされている。
だから大切に王家で守って来たのだ。
そう、配偶者として。
今回の降臨は聖女様と勇者様がお一人づつ。
つまり、王子と王女が一人づつ伴侶となるのだが……。
「あの……もし良ければ携帯の番号を……あれ?スマホが開かない」
慌てる麗美那に
「どうやら圏外のようですし、機械に何かしらの不具合が生じているのかと」
冷静に対処する優希。
益々目をハートにした麗美那が
「機械にもお強いんですね。あの……もし宜しければ私とお付き合い下さい」
大衆の面前で告っていた。
いや、この場合王太子の前でと言うべきか。
あちゃー。
そう思い王太子を見れば過呼吸気味になっている。
「すみません。麗美那さん。お申し出は嬉しいのですが、そう言うお付き合い出来ません。お友達ではいけませんか?」
何処の女たらしだよ。
つまり聖女様はキープ君?
「あっ。はい。お友達からで宜しくお願い致します」
そう言って聖女様こと麗美那は力強く優希と握手を交わした。
おい。
それで良いのかよ?
100年に一度の周期でその国には異世界から聖人が現れていた。
世界に漂う魔素が瘴気に満ちるのを防ぐ存在。
ただそこにあるだけで全てを浄化する存在。
その者達は女ならば聖女と、男ならば勇者と呼ばれ崇められた。
今、その時が来たのだ……。
おびただしい数の重鎮が犇めく聖堂。
その聖堂の中央に今、男女二人の人物が現れた。
一人は可憐な乙女。
一人は真剣を持った青年。
どちらも整った顔立ちで人々の視線を釘告げにした。
「聖女様ようこそ我が国に」
そう言って二人の人物の元に最初に近づいたのはこの国の王太子。
きらびやかな青いマントを翻して可憐な乙女に跪く。
「私はこの国の王太子ルドルフです。どうぞ私の手を」
そう言って可憐な乙女の手を取る。
しかし、その乙女はなかなか手を取らない。
それどころか隣に立つ異世界の青年を頬を染めながら見つめていた。
「あの……私本郷麗美那と申します」
そして、王太子を傍目に勝手に自己紹介を初めてしまった。
「こんにちは。はじめまして麗美那さん。私は若林優希です」
そう言って軽くお辞儀をする青年。
爽やかに微笑む優希に麗美那は顔を茹で蛸のように赤らめる。
一目で恋に落ちたのは馬鹿でも分かるその光景を、苦々しく見ている者がいた。
勿論、それはこの場で一番偉い王太子である。
「あの……私◯◯女子高3年生です。彼氏はいません」
「そうですか。私は△△大学付属高等学校3年生で、この通り恋人は剣なんですよ」
そう言って微笑む優希に麗美那は益々頬を染めた。
「つまり……フリー」
ポツリと小さくそう呟くとガッツポーズをとる聖女様。
そんな状況で一番近くにいた王太子は今や鬼のような微笑みで優希の方を見ていた。
「これはこれは勇者様。我が世界へようこそ」
ヒクヒクと口角をひくつかせながら王太子は優希にお辞儀をした。
今回の聖女降臨は無事に人型のようでほっとした。
過去には獣人だとか竜だとか人じゃない者もいた。
どちらかと言うと女が多いが、今回のように男も異世界から渡って来る事もある。
その場合、女は聖女で男は勇者となり王族よりも尊い存在なのだ。
そして、どちらも特殊な能力を有しており、この国を守ってくれる。
……とされている。
だから大切に王家で守って来たのだ。
そう、配偶者として。
今回の降臨は聖女様と勇者様がお一人づつ。
つまり、王子と王女が一人づつ伴侶となるのだが……。
「あの……もし良ければ携帯の番号を……あれ?スマホが開かない」
慌てる麗美那に
「どうやら圏外のようですし、機械に何かしらの不具合が生じているのかと」
冷静に対処する優希。
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「機械にもお強いんですね。あの……もし宜しければ私とお付き合い下さい」
大衆の面前で告っていた。
いや、この場合王太子の前でと言うべきか。
あちゃー。
そう思い王太子を見れば過呼吸気味になっている。
「すみません。麗美那さん。お申し出は嬉しいのですが、そう言うお付き合い出来ません。お友達ではいけませんか?」
何処の女たらしだよ。
つまり聖女様はキープ君?
「あっ。はい。お友達からで宜しくお願い致します」
そう言って聖女様こと麗美那は力強く優希と握手を交わした。
おい。
それで良いのかよ?
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