聖女降臨

麻生空

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「じゃあ、呪い……じゃなくて、祝福?の内容を変えたついでに発動条件も変えたから安心して良いよ」

今何気に呪いって言ったよね。
この腕輪は祝福された物ではなく呪われた物だったんだ。

優希は空のスープ皿をテーブルに置くと魔法で器に水を注いだ。
透き通るような水はキラキラと光輝いている。

「これは魔法で出した聖水です。これに私と貴方の血液を一滴づつ入れます」
「聖水ですか?」
よく神殿で神官達が祈りを捧げたと言って高い金で売ってくるぼったくり水の事だろうか?
瘴気を払う力があるとか言いながら、実際はそれ程たいした効力は感じられない代物だよね。
アンデッドとの戦いで結界を張るのに使ったりするヤツだ。

そう思って優希の出した水を見つめる。

揺らめくその水はキラキラと七色に煌めいて美しい。
これは神殿で売っている聖水と違うのではないだろうか?

「では、私から始めますね」

そう言うと優希を器の上に指をかざしてパチンと指を鳴らした。
するとポタンと一滴の赤が聖水に落ちる。

「じゃあ次はアリエルの番だね」

優希の声に私も指を器の上へとかざす。

優希がパチンと指を鳴らすと私の指からも赤い雫がポタンと聖水に落ちた。

そこに二つの腕輪を浸す。

「これで朝まで待てば出来上がり。3分で出来ないのが申し訳ない」

優希は苦笑いしながらそう言った。

3分?
優希は意味不明な言葉を残して「じゃあ」と食事の方へと向かって行った。

そこにはまだ手付かずの大量の食事がある。
まだ食べたりなかったのか?と優希を見ていると優希は食事の方へ剣を掲げた。
何をするのか?と優希の挙動を見つめていると、不思議な事に食事が剣に吸われるように消えて行くではないか。

「実はこの剣は聖剣で、食事も摂取するらしいんですよ。今、色々と力を使ったからね。その分のエネルギー補充です」

ニコリとそう言う優希。
だから一口食べては色々な食事を要求していたのか……。

ぐんぐん減っていく食事は推定50人前はあったと思う。

魔法を使う度にこんな量を摂取されたのでは、食事だけで財政難になってしまうのではないだろうか?

それに、貰う土地が何の利益も生まない曰く付きの場所なだけにもう不安しかない。

そう思っていると、場違いな音がなる。

『パンパカパーン。レベルアップ』

何処からともなく聞こえた音。

「な……何事?」

そう思い優希を見ると「聖剣のレベルが上がったみたいだね」とクスリと笑った。

「レ……レベル?」

そんな話は聞いた事もない。
大体にしてレベルとはなんぞや。

「ん~レベルと言うのは、個々の強さを数字で表した物だね。ちなみに、アリエルはステータスって聞いた事がある?」

ステータス?
何それ?

「個々の個人情報みたいな物かな?ちなみにアリエルのステータスは職業が王女で基礎レベルは20かな」

優希はそう言うと困ったように微笑んだ。

「では、私のお兄様のステータスも見られたのですか?」

何と無くそうかな……と思って聞いて見た。
だって、そう言われれば何もかもが合点がいく。

「王太子……ね。基礎レベル25、弟殺しの王太子。彼の周りに死んだ弟達がいたね」

ゾクリとした。

やっぱりと言う気持ちと、そうだったのかと言う気持ちの両方がのし掛かる。

「でも、それも全て聖女を手に入れる為にしたようだから、私と一緒にこの世界に来た彼女の事は大事にしてくれると思うんだよね」

それには私も同意する。

何せ幼い頃からその為だけに生きて来た人だから。

そうしてハタと気付く。

そこまで兄の事情が分かっている優希が、私の偽装に気付かない事があるのだろうか?

そう思い優希を見れば

「大丈夫。アリエルが男の子でも私は娶るから安心して。それに、男の子の方が私としても気持ち的に助かるからさぁ」

爽やかにそう言う優希。

もしかして、男色そっち系の人?
どちらにしろ私の貞操の危機は去っていないようだ。
そんな私は優希をまじまじと見ながら思わず白目を剥きそうになっていた。

「乙男系ワンコ割りと好きですよ。フフフ」
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