前世αだったけどメス堕ちしたら今世はΩになってしまった僕の件

麻生空

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さて、僕の事を少し話しておこう。

名前は星野充希、高校二年生。

通っている高校は湯野葉ゆのは学園。

小学校から大学までのエスカレーター式のその学園はαが多い事でも有名な学園だ。

優秀なαをより優秀にする為に組まれたカリキュラムは全て超一流の先生陣によって運営されている。

勿論、学園も一流なら学費も一流。

一般的な私立の学費の十数倍もの金額を踏んだくっている。

故に、この学園に通う生徒の家は富裕層の中でも一流の部類の家庭の子供しかいないのだ。

それはつまり、親が限りなく金稼ぎの良いαだと言う事でもある。

そして、そんなα様が多く通う学園で、僕は自身の番だろうαと出会った。

勿論、相手はまだ僕が番のΩだと気付いていない。

何せ、Ωの匂いを消す為に僕の前世の知識を総動員してαの姉と共に新薬を開発したのだ。

まだ試験段階のその新薬の被験者は勿論僕。

精通や生理が始まってから強くなると言われている他者を惑わすΩのフェロモンを上手く押さえ込んでいる。

このまま穏便に学園を卒業出来たら、Ωのフェロモンを押さえるこの新薬は世間の日の光に出れるだろう。

それと言うのも発情期を完全に防ぐ術が未だにないからだ。

発情期を多少遅らせたり早めたりする薬はある。
但し、それはほんの数日の誤差を生むだけの物だ。
基本的には発情期が予定外の場所で発生した時の一時しのぎの為に用いられる。

αの発情期は犯したくて堪らなくなるし、Ωの発情期は犯されたくて他者を惑わす媚薬のようなフェロモンを出す。

そして、その媚薬のようなフェロモンは厄介な事に家族にも影響すると言うのだ。

だから、僕はΩの望まぬセックスを回避する為にこの新薬を世に出したいのだ。

仲の良い家族がギクシャクするのも、別々に暮らさなければならない現実も嫌だからだ。

決して僕がもう男に手篭めにされたくないから頑張っているのではない。



「おはよう充希」

教室に入るや声をかけて来たのがくだんの僕の番でもあるαの湯野葉恭助きょうすけだ。

名前でも分かるようにこの湯野葉学園理事長の孫だ。

上に兄が居るらしいが、全てαのエリート家族だ。

確か先月長男がΩの番、それも女性と婚約を発表したばかりだ。

僕が前世で作った遺伝子から番を見つけ出すシステム。

一応20歳を過ぎると登録出来るようになっている。

それで巡り会った二人が番の強制力で恋に落ちたのは僕にとっては嬉しいようでその実、とても複雑な気持ちだ。

何故なら、Ωは強制的に登録の義務があるからだ。

まぁ、その為にΩの登録料諸々は諸経費含めて全て無料。

勿論、その分の料金はα側に加算されるんだけどね。

そして、見事番が見つかったばあいはその報酬もα側で支払う事になっている。

Ωからしたら運命の番にただで出会えて、その後の生活も安定している夢のようなシステムだが、僕からしたらカツアゲに近い婚活システムにしか思えない。

何せ、恭助のお兄さんは番が見つかって婚約した後に礼金として一千万円を協会へ支払ったらしいのだから。


「なぁ充希。来週の連休に家の兄貴の婚約披露宴するんだけど、充希も来ないか?」

来週の連休とはゴールデンウイークの事だ。

中学の修学旅行以来、僕は恭助を避けて生きて来たのだが、お互いに成績上位者なだけありクラスが離れた事はなかった。

「呼ばれる理由がない。それこそ湯野葉が仲良くしている林田とか向井を誘ったら良いんじゃないのか?家だって格式あるし、只の公務員の親の成り上がりよりよっぽどご両親が喜ぶんじゃないかな?」

彼等は恭助の取り巻きのような存在だ。
その家も湯野葉共々財界に名を馳せている。

だが、手広く事業をやっている湯野葉には到底敵わない。
故に、彼等は恭助を介して湯野葉と懇意にすべくはべっているのだ。
その姿や、差し詰上位のα様にかしづく侍従のような存在だ。

「充希……昔みたいに名前では呼んでくれないのか?」

そう言って塩顔イケメンは項垂れた。

やめてくれよ。
番なだけあって恭助の声や仕草は僕の内側をいやらしくかき乱すのだから。

そうして今日も僕は朝から盛大に溜め息を吐くのだった。
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