前世αだったけどメス堕ちしたら今世はΩになってしまった僕の件

麻生空

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端的に言えば僕の服薬している新薬はΩのフェロモンを押さえるだけであって、相手のフェロモンの匂いに反応してしまうΩの嗅覚を押さえる物ではない。

故に、疑似鼻炎になる薬も少量服薬しているのだが、あまり摂取すると鼻風邪と勘違いされる為に本当に少量しか飲んでいない。

故に、恭助に近付かれて話しかけられると嫌でもそのフェロモンを嗅いでしまうのだ。

まぁ、薬のお陰で大事には至っていないのだけが救いなのだが。

長年恭助の友人で、そのフェロモンを常に嗅いで来ていた為に耐性が出来ている僕は、恭助の匂いだからとヒートの周期以外で発情する事はない。

けど、ヒートの周期に入ってしまえばその限りではないのは中学の修学旅行で身に染みている。

修学旅行最終日の朝、僕は恭助の朝立故に滲むオスの匂いに発情してしまったのだ。

そして、同時に恭助が番なのだと言う事も自覚した。

その時は、まだ朝の4時だった事もあり、万が一にと同じホテルに待機していてくれた姉に直ぐ様連絡して保護して貰ったのだ。


「あんな失敗は二度とごめんだ」

ぼそりとそう呟けば恭助が怪訝な顔で僕を見る。

「あんな失敗って何?もしかして充希、お前高校生にもなって……」

恭助はそう言うと僕を哀れむような目で見て来る。

「なっ。違う。その想像は絶対に違うからな」

恭助の肩を掴み盛大に否定すれば恭助は益々ニヤニヤとする。

「そんなに焦って訂正する所を見ると怪しいな」

恭助の顔はニヤニヤからニタニタに変わる。

「訂正じゃない。本当の事だ」

恭助は一瞬口角を上げる。

「そんなに食い付かれると俺も勘繰ってしまうな。証拠は?」

恭助のその言葉に僕は「はぁ?」と間抜けな声が出た。

「本当にそんな事はないって言う証拠を見せてよ。そうしたら信じてやる」

恭助は挑発的に僕の胸に指を突き付けて来た。

「分かったよ。で、どうやって証拠を見せれば良いんだ?」

僕の問い掛けに恭助は満面の笑みで答えた。

「OK.勿論家に泊まりに来れば俺が証人になってやるよ」

恭助の返答にその時初めて僕は嵌められたのだと気付いた。
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