前世αだったけどメス堕ちしたら今世はΩになってしまった僕の件

麻生空

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「まぁ、話の成り行きで?」

曖昧に答える僕に二人は生暖かい眼差しを向ける。

「恭助も報われないよな」

「そうだね。充希の鈍感振りは筋金入りだから」

意味有り気な事を言って二人はため息を吐く。

二人共αなだけありイケメンだ。

まぁ、僕の番の恭助には負けるけど・・・って僕何言っているんだろう。

でも、多分僕から恭助に僕が君の番だと教える気はない。

それに、高校を卒業したら姉が働く研究所の系列の大学に入るつもりだから恭助とはそれまでの付き合いだ。

もう番が絡んだいざこざは勘弁なのだ。

恭助位のルックスにあの頭脳がプラスされたら伴侶など選び放題だと思う。

こんなαに嫌気をさしてしまった僕よりその方が何倍も充実した生活が出来るだろう。

そう思えばこそ自分が恭助の運命の番だと名乗り出るつもりはない。

何とか誤魔化しながら高校生活を終えるつもりだ。

故に、本来ならホ―ムパーティーなんて危ないイベントは回避するに限るのに、言葉の文というか、罠に嵌まったと言うべきか。

中学の修学旅行以来避けていた恭助が何故か最近僕にやたらと構うようになってしまった。

「まぁ、取り敢えず参加するなら礼装は忘れるなよ」

「まぁ、忘れても恭助の家は何でも揃っているから体一つで来ても大丈夫だと思うけど」

林田と向井はそう言うと二人で「うんうん」と納得する。

僕だけが納得出来ない。

けど、確かに礼装は必要だな。
また兄さんのを借りよう。
そうすれば僕の匂いを誤魔化せるから。

折角ここまで頑張って来たんだ。
僕がΩだと悟られないように頑張らねば。

そう思ってホ―ムパーティ― までの一週間、万全の準備をして来たのだが、この時まさかあんな事になると分かっていたらお漏らししたと言う濡れ衣をあえてかぶってでも行くのを止めただろう。
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