僕と彼女の夏の思い出

大里 悠

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First Summer~君と出会った夏の思い出~

次の日に

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    次の日の朝、僕はまだ寝たいと訴えている頭を無理矢理抑えて体を起こした。
「やぁおはよう、修一。」
「おはよう、父さん。」
    父は既に起きていた様でジャージを着ていて、何故か少し疲れた様子だった。
「父さんどうしたの?」
「少し庭の所を走って来たんだよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
    そうやって僕が父と話していたら、襖が勢い良く開けられた。
「二人共!ご飯よ!私は先に行ってるからね!」
    母はそう言い残して行った。
「……母さんは元気だったね。」
「うん。一緒に走ってたんだけど、僕が休んでいる時も元気に走ってて。僕より長く走ってた筈なんだけどね……。」
「へ、へぇ……。」
    母の元気は一体何処から出るのだろうと思っていた。
「ま、取りあえず行こうか。」
「うん。」
    そうして僕と父はご飯を食べに向かった。



「おはようございます、修一さん。広志さん。」
「あっ、おはようございます。」
「うん。おはよう彩夏ちゃん。」
    僕達が着くと居たのは母と美波さんだった。
紅葉さんや祖父母達はどうやら先に食べて行ったようだ。
「じゃあ食べましょうか。」
「「「「いただきます」」」」
    味噌汁とお浸しが特に美味しかった。



    ご飯を食べ終えたがこの後は何しよう?
「あっ、そうだ。広志さん。」
「ん?どうしたんだい?母さん。」
「この後畑の手伝いをして欲しいのだけど…。」
「うん。特にやることも見つからないし、良いよ。」
「じゃあ後で裏の畑に来てね。」
    母はそう言って部屋を出ていった。いつの間にか美波さんも移動したようだ。
「……あ、そうだ。持ってきた本でも読んでいよう。」
    やることが無いので僕は部屋で本を読むことにした。



    しばらくの間、部屋で本を読んでいたのだけれど、あまりに暇なので何処か別の場所で読もうと考えた。
    なので母に一言言ってから、本を読む良いところは無いかと探していた。
「おや?どうしましたか、修一さん。」
    すると途中で美波さんに会った。
「本を読もうかと思ったんです。」
「そうですか。」
「ただ、本を読みやすそうな場所が無いかと探してるんですが丁度良い所が無いんですよ。」
「………それなら良い場所を知っているので一緒にいきませんか?」
    そう美波さんに聞かれたが、断る理由は無いので付いていくことにした。付いていく間、美波さんは4、5冊本を持っていてどんな本を読んでいるのだろうと僕は思った。



    僕は森の中まで入っていった美波さんを見失わない様に気を付けながら歩いていた。
「あれ?ここは……。」
    急いで歩いていると、突然開けた所に出た。そしてそこは、僕が昨日美波さんと出会った切り株のある場所だった。
「あ、そう言えば昨日はここで会ったんでしたね。」
「そうですね。」
「ここは日当たりも良くて、静かなので本を読むのに良いのでお気に入りの場所なんです。」
「へぇ。そうなんですか。」
「はい。では私はこちらの方で読んでいますね?」
「あっはい。」
    そのあと、僕達は暫くの間本を読んでいた。
その間は静寂に包まれていたが、それは心地よい静けさだった。



    ふと、僕は本から目線をずらし美波さんの読んでいる本の表紙を見てみた。特に理由はなくただ、気になったからだ。
    そして美波さんが読んでいた本は僕も読んだ、といよりもつい最近読んだばかりの物だった。しかし僕が読んだのは日本語に訳された物だったが、美波さんは英語のままのを読んでいた。
    美波さんは僕が見ているのに気がついた様で、美波さんに話しかけられた。
「この本がどうかしましたか?」
「いや、つい最近僕もその本読んだな~。と思って……。」
「え!そうなんですか!良いですよね!この本私の一番気に入っている本なんです!」
「そ、そうですか。」
「はい!特に気に入っている所がですね、えっと……あっ此処です!
I can not regain your heart貴女の心は僕が取り戻すことは出来ない . Because he is the only one何故なら貴女の心を取り戻すことが出来るのは who can regain your heart 彼、只一人だけなのだから.』
此処が一番好きなんです!」
    驚いた事に、僕は日本語に訳されていたが美波さんと同じところを気に入っていたからだ。
「あの、美波さん。」
「はい?」
「日本語に訳された物だったんですけど、僕も同じところが好きなんですよ。」
    そう言うと、美波さんの顔が満面の笑みを浮かべて嬉しそうにしていた。
「そうなんですか!良かったです。私の友達はそもそもこの本を読んでいないと言っていたので。」
「そうだ美波さん!他にも本を持ってきているので色々と話しませんか?」
「ぜひ!あっそういえば修一さん。」
「なんです?」
「美波さんと言われると何だかとても他人行儀なので、出来れば彩夏と呼んでくれませんか?」
「え?い、良いんですか?」
「はい。良いですよ。」
「じ、じゃあ。……彩夏さん。」
「はい!」
「沢山、話しましょうか。」
    そのあとも僕達は互いが読んでいる本について多くの事を話した。

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