全てを失った私が、黒竜王の最愛になるまで

湊一桜

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第四章

ずっとずっと、愛してる

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 日付けが変わる頃……ようやく解放された私たちは、疲れきってぐったりしていた。それでも、酔っ払いたちはまだ騒いでいるようで、城外からはけたたましい笑い声が響いてくる。

 その笑い声を聞きながら、私はクリフさんに告げた。

「皆に楽しんでもらえて、良かったですね」

 すると、アルコールのせいか少し頬を染めている彼は、嬉しそうに首を縦に振った。

「俺は幸せだ。
 楽しい仲間に囲まれて、隣にはエマもいて」

「私もです」

 そう応えると、クリフさんはそっと手を伸ばし、その指と指を絡める。胸がとくんとときめいた。

「エマのウエディング姿があまりにも綺麗だから、披露宴をやめようかと思った。
 でも、開いて良かった」

 ぽつりと呟くクリフさんに、

「何言ってるんですか」

いつもの調子で答える私。

 綺麗なのは、クリフさんのタキシード姿だ。こんなにも美しい人と、しかも国王陛下と結婚してしまっていいのかも不安にもなった。……だが、いいのだ。
 クリフさんは私だけを愛してくれており、今となってはその気持ちを信じることが出来る。私はつがいとなり、クリフさんの唯一の妻となったのだから。



 王城の奥にある、国王の寝室。その扉を、彼はそっと開けた。広い室内に、大きなベッド。微かにクリフさんの香りがする。

「エマ……」

 彼は私の名を愛しそうに呼び、ちゅっと軽いキスをする。その後、愛しそうに左手首の痣にも唇を落とした。

「俺と、この世界で生きると決めてくれてありがとう。
 俺はこれからも、エマだけを愛し、エマと生涯添い遂げるから」

「はい」

 見上げると、彼は少し切なげに、その深い青い瞳で私を見下ろしている。その美しい瞳を見て笑っていた。

「ずっとずっと、一緒にいてくださいね? 」

「ああ、ずっと……」

 再び唇を重ねる。その存在を確かめるように、キスはどんどん深くなっていく。波長が合うせいか、波長は関係ないのか、心がクリフさんで満たされていく。もう、クリフさんのこと以外考えられない。

「愛しています」

 初めて自分から告げると、彼は幸せそうな笑顔で私を見た。





 竜人族は、一般的に多夫多妻制を取る。
 だが、稀に、愛する唯一の女性とつがいの契約をする者もいる。
 つがいの契約をした竜人族の愛情は深く、生涯その女性のみを愛するという。

 黒竜国のクリフォード王は、愛するエマをつがいとして迎えた。
 そして年老いて命尽きるまで、彼女だけを愛したという。

 
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