花野井一家の幸せ。

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鈴蘭の場合2

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お母さんの誕生日前日。
フランクさんたちは上手くお母さんを連れ出してくれた。
と言っても、思ったより簡単に連れ出せたが。



「たまには大人同士で交流しないか?」


「それはいいね!あんたたちのことは娘と孫だと思ってるんだ。たまには孫は孫同士で遊んで、私たちに娘を可愛がらせておくれよ。」


「そんな…!娘だなんて嬉しいこと…!私も両親ができたみたいだと思ってたから嬉しいです!」



早くに実の両親を亡くしてるお母さんにはとても響いただろう。
疑うこともなく2人と出掛けていった。



「連れ出してもらうためだったけど、お母さん嬉しそうだったね。」


「フランクさんたちも本心から言ってたみたいだし。」


「思わず感動の場面になっちゃったね。」



3人でにこにこしながら顔を見合わせた。



「さて!それじゃあ行こっか。」


「うん!いいのが見つかるといいね!」


「今回はケーキも大きくしようね!」



おー!と手を上に掲げて出発した。







「とりあえずどこに行く?」


「まずはプレゼントにしよ。食材は買ったらすぐに持って帰りたいし。」


「じゃあ雑貨やさん見て回ろ。」



3人で話しながら歩いていると、突き刺さる視線。
どれも好意的なもので嫌ではないのだが、やっぱり慣れない。



「やっぱり見られるね。」


「そろそろ慣れてほしいけどね。」


「3人並んでるから余計かな?」



食堂で動き回っている私たちだが、忙しすぎて並んで話してる余裕なんてない。
どうも私たちは美人らしいし、それが並んで歩いていたら見ちゃうのかな?
よくわからないけど。



「それぞれ近場で探してみる?」


「そうだね。プレゼントはそれぞれ買って、食材は皆で買おうか。」


「こんなに見られながらよりましか。」



視線に耐えられたくなった私たちは、それぞれでプレゼントを探すことにした。



「じゃあ、1時間くらいでここに戻ってこよう。」


「そのあとお昼にしよっか。」


「そうしよ。」



わかりやすく大きな噴水の前を待ち合わせに決め、皆それぞれお店に向かった。
私はお母さんの好きな雑貨が置いてありそうなお店に入る。



「いらっしゃい。…まぁ!天使様!今日は何をお探しですか?」



食堂でよく見かける、お母さんくらいの女性がカウンターにいた。



「こんにちは。今日はお母さんの誕生日プレゼントを探しに来たんです。」


「あらあら!それは素敵なことですね!」



綺麗なワンピースを着たぽっちゃりな女性店主は、にこにこしながら話していた。
品が良さそうなこの店主にどんな物があるのか聞いてみた。



「女性に人気なのはここらへんにあるアクセサリーですね。」



見てみると、指輪やブレスレット、ネックレスなど様々なアクセサリーが置いてある。
きらきらと輝くアクセサリーに気分が上がる。



「可愛い!どれもきらきらしてて綺麗ですね!」



素直に感想を伝えると、嬉しそうに微笑む店主。



「ありがとうございます。ここのアクセサリーは私の手作りなんですよ。」


「え!?手作り!?こんなに細かいのが!?」



はい、と頷く店主にびっくりする。
元の世界でも器用な人がアクセサリーとか作ってたけど、身近にはいなくて誰かが作ってるのはあまり実感がなかった。
本当にこんな細かいのが作れる人がいるんだ。



「すごいですね!こんなに細かいところまで綺麗に作ってて!尊敬します!」


「ふふふ、ありがとうございます。」



嬉しそうに微笑む店主を見て、ここでプレゼントを買おうと決めた。
じっくり見ていると、綺麗な花の形をした金具のついた髪留めを見つけた。
花の回りにはレースのような模様の金具で囲まれており、花の中心にはビーズのような物がはめられていた。
このレース模様…針金みたいなので作ってあるけど、本当に手でやったのかしんじられないくらい細かい。



「これ、すごいですね。こんなに細かい模様を手作業で?」


「はい、小さな道具を使うんですが、手作業ですよ。細かい模様作るのが得意で。」



ちょっと誇らしそうに言う店主に、もっと大きく自慢していいよと思う。



「道具使っててもすごいですよ。もっと自慢しまくってほしいくらいです。」



素直に口にすると、また嬉しそうに笑う店主。



「そう言ってもらえると頑張った甲斐があります。」


「本当に素晴らしい才能ですね。お母さんのプレゼントにこれを頂いていいですか?」


「もちろんです!ありがとうございます!」



頭を下げてにこにこしながら包んでくれた。
いいのが見つかってよかった。



「今日はありがとうございました。これからも頑張ってください。」


「はい!」



店主に手を振りながらお店をでた。
予想外に早く素敵なお店を見つけてしまって、予定の時間まであいてしまった。








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