97 / 1,153
ep2 .
ep2 . 「訳有り令嬢と秘密の花園」 家庭教師とプライベートレッスン
しおりを挟む
「おい佐藤、お前英語のワークどうした?」
廊下で小泉が俺を呼び止めた。
「どうしたって……今週はちゃんと提出したけど」
だから聞いてるんだ、と小泉は不審げに俺を見る。
「何度言っても一度も課題を提出したことのないお前がどういう風の吹き回しだ?」
小泉は呆れたように呟く。
確かにそうだった。
俺は一学期の最初から今日まで課題だの宿題だのを提出した事なんて一度もなかった。
ハッキリ言ってどこから手を付けていいものかサッパリわからなかったからだった。
しかし、状況は変わった。
帰国子女でクォーターであるというチートに近い能力を持った花園リセは俺の宿題まで面倒を見てくれた。
丸々肩代わりするとか、そういう甘やかされ方じゃない。
ちゃんと丁寧に教えてくれるんだ。
俺はそれが堪らなく嬉しかった。
俺を不良とか子ども扱いせずにキチンと一人の人間として向き合ってくれているように思えた。
馬鹿にするでもなく、ただ、理解できるように一から順を追って教えてくれる彼女のお陰で遅れていた課題や宿題はどんどん片付いていった。
正直に告白すると俺は一年の一学期の半ばから既に授業について行けなくなっていた。
俺は頭も悪く、馬鹿だし金もないし高校なんか行けっこない、そう思っていた。
けれど、花園リセの教え方が上手いのかなんなのかここの所、ずいぶんと俺は勉強が出来る様になった気がした。
今日も英語のプリントを見てもらう約束だった俺は小泉の制止を振り払い、下校を急いだ。
途中で自宅に戻り、玄関に予め用意しておいた紙袋を掴んで引き返す。
中には梨がいくつか入っている。
梨農家の親戚がこの時期になると送ってくるものだった。
梨自体は嫌いではないし美味い。この時期は冷やすと格段に美味さが増す。
しかしどう転んでも果物である事には変わりはないので主食にはなり得なかった。
こういったアイテムは自宅に数個を残してトレード用にするのが効率がいい。
死んだ爺さん婆さんの知り合い数件の家に『親戚がたくさん送って来たものですから』と配り歩く。
そうすると大概、その場で『ちょっと待っててね』のコールと共に何かが出てくるのだ。
多くは仏壇に供えてあったお中元お歳暮の箱モノの何かだったり、その家で採れた野菜だったりする。
しかしこれがなかなか驚異の回収率なのだ。
梨数個がお中元のカルピス原液5本入りセットに化けたりハムの箱に化けたりする。
恐らくは中学生の俺が自ら配り歩いているという事、爺さん婆さんの知人友人であるというブーストが掛かっている事もあると思う。
いつもはこのイベントで結構な食料を調達する事が出来た。
中学生の俺が親なしで生きていくには必須のアイテム交換イベントであり、生きていく命綱だった。
田舎あるあるである。
廊下で小泉が俺を呼び止めた。
「どうしたって……今週はちゃんと提出したけど」
だから聞いてるんだ、と小泉は不審げに俺を見る。
「何度言っても一度も課題を提出したことのないお前がどういう風の吹き回しだ?」
小泉は呆れたように呟く。
確かにそうだった。
俺は一学期の最初から今日まで課題だの宿題だのを提出した事なんて一度もなかった。
ハッキリ言ってどこから手を付けていいものかサッパリわからなかったからだった。
しかし、状況は変わった。
帰国子女でクォーターであるというチートに近い能力を持った花園リセは俺の宿題まで面倒を見てくれた。
丸々肩代わりするとか、そういう甘やかされ方じゃない。
ちゃんと丁寧に教えてくれるんだ。
俺はそれが堪らなく嬉しかった。
俺を不良とか子ども扱いせずにキチンと一人の人間として向き合ってくれているように思えた。
馬鹿にするでもなく、ただ、理解できるように一から順を追って教えてくれる彼女のお陰で遅れていた課題や宿題はどんどん片付いていった。
正直に告白すると俺は一年の一学期の半ばから既に授業について行けなくなっていた。
俺は頭も悪く、馬鹿だし金もないし高校なんか行けっこない、そう思っていた。
けれど、花園リセの教え方が上手いのかなんなのかここの所、ずいぶんと俺は勉強が出来る様になった気がした。
今日も英語のプリントを見てもらう約束だった俺は小泉の制止を振り払い、下校を急いだ。
途中で自宅に戻り、玄関に予め用意しておいた紙袋を掴んで引き返す。
中には梨がいくつか入っている。
梨農家の親戚がこの時期になると送ってくるものだった。
梨自体は嫌いではないし美味い。この時期は冷やすと格段に美味さが増す。
しかしどう転んでも果物である事には変わりはないので主食にはなり得なかった。
こういったアイテムは自宅に数個を残してトレード用にするのが効率がいい。
死んだ爺さん婆さんの知り合い数件の家に『親戚がたくさん送って来たものですから』と配り歩く。
そうすると大概、その場で『ちょっと待っててね』のコールと共に何かが出てくるのだ。
多くは仏壇に供えてあったお中元お歳暮の箱モノの何かだったり、その家で採れた野菜だったりする。
しかしこれがなかなか驚異の回収率なのだ。
梨数個がお中元のカルピス原液5本入りセットに化けたりハムの箱に化けたりする。
恐らくは中学生の俺が自ら配り歩いているという事、爺さん婆さんの知人友人であるというブーストが掛かっている事もあると思う。
いつもはこのイベントで結構な食料を調達する事が出来た。
中学生の俺が親なしで生きていくには必須のアイテム交換イベントであり、生きていく命綱だった。
田舎あるあるである。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる