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ep.4.
ep4. 「暴かれた世界」 白昼夢
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9月中旬。
俺は通常……と言うべきかどうかは解らないが、日常の生活に戻っていた。
おそらく三度目だろうと思われる、繰り返される今年の9月。
もう二度と接点は無いだろうと思っていた御月レイジ。
俺は何故かHRでのジャンケンに負け、保健委員をやらされることになった。
そして4組の保健委員も御月レイジだった。
委員会の集まりで顔を合わせる機会もあり、前回ほどでは無いが御月とは少し雑談する程度の仲にはなっていた。
時間が戻ると言っても、毎回同じ流れにはならない。
どこかで少しずつ世界に影響が及んでいるのだろうか。
俺には何もかもさっぱり判らなかった。
そしてもう一人の登場人物。
深窓の御令嬢。
花園リセである。
やはりどういう訳か俺は彼女と再び出会ってしまっていた。
そして前回ほどの親密さでは無いとはいえ、結局俺は週に一回ほどの頻度で花園リセの屋敷を訪問している。
もちろん、距離を詰めすぎないように細心の注意は払っているつもりだ。
もう二度と会うことは無いだろうとあれほど思っていたというのに、それでも俺は彼女に会いに行ってしまっている。
何度か繰り返すうちに世界は変わっていくのだろうか?
それとも変わってしまったのは俺の方なのだろうか。
そんな事をぼんやりと考えながら俺はなんとなく小泉のいる神社に向かっていた。
土曜日の午後。
給料日までまだ数日あり、給食もない。
所持金も食料も底をつきかけたので小泉に何か食べさせてもらおうと思ってのことだった。
最悪、茶菓子か何か出てくるだろう。
あるいは、カード付きの菓子の菓子部分だけでもいい。
重度の限界オタクの小泉ならウエハースとかチップスとか食玩の類いを大量に持ってそうでもある。
っていうか、この前にカートン買いしたとか言ってたような気がする。
腹が減っていた俺はとにかくなんでもいいから食いたかった。
暑さの残る気温の中、俺はゆっくりと神社への道を歩いていく。
境内へ続く道の角を曲がったあがりだった。
不意に、不思議な音がどこかから聞こえて来た。
微かな音だが確かに聴こえてくる。
どこから聞こえるんだ?
その音は鈴の音に似ていた。
だが何かが奇妙だった。
風に乗って聴こえてくる?
俺は周囲を見渡した。
周囲には誰もいない。
不意に音が鳴り止む。
一瞬の静寂に包まれた後、それは目の前に佇んでいた。
箱。
金属の箱で頭を覆い隠している人物。
四角い金属の箱は恐ろしい秘密を隠しているかのようにも思えた。
その瞬間まで気配をまるで感じなかったのに。
俺の身体は金縛りになったように動かなかった。なんだコイツは???
男か女かも判らない。
ただ、頭はゆらゆらと動いているようにも見えた。
箱人間。
ハコニンゲン?
ハコニンゲンは微動だにせず俺の目の前に立っている。
誰だ?
こいつは何だ?
その存在にに気圧されて俺は全く動けずにいた。
ゆらり、とハコニンゲンの頭が少し動く。
しゃん、と鈴に似た音が周囲に響く。
コイツは誰だ?
何もわからない。
だがこのハコニンゲンからはどこか懐かしい匂いがした。
俺は以前にコイツに会ったことがあったろうか。
凝視する俺を気にする素振りもなく、ハコニンゲンは俺に近付いてくる。
ソイツは自分の頭のてっぺんを開け、そこから何かを取り出した。
ハコニンゲンは俺に何かを差し出す。
俺は不思議と何も疑問に思わずそれを受け取る。
ひんやりとした感触が手のひらに触れる。
それはよく冷えたヤクルトだった。
「は!?ヤクルト!?」
我に返った俺は思わず叫ぶ。
目の前のハコニンゲンは消えていた。
なんなんだ一体?
っていうか、めっちゃキンキンに冷えてるんだけど頭の中は冷蔵庫になってるのか?
意味がわからない。
俺はヤケクソ気味でそれを飲んだ。
久しぶりに飲むヤクルトはやっぱり美味かった。いや、飲んでる場合じゃないのかも知れねぇけど。
これが新たな事件のスタートになるとはその時の俺はまだ気付いていなかった。
俺は通常……と言うべきかどうかは解らないが、日常の生活に戻っていた。
おそらく三度目だろうと思われる、繰り返される今年の9月。
もう二度と接点は無いだろうと思っていた御月レイジ。
俺は何故かHRでのジャンケンに負け、保健委員をやらされることになった。
そして4組の保健委員も御月レイジだった。
委員会の集まりで顔を合わせる機会もあり、前回ほどでは無いが御月とは少し雑談する程度の仲にはなっていた。
時間が戻ると言っても、毎回同じ流れにはならない。
どこかで少しずつ世界に影響が及んでいるのだろうか。
俺には何もかもさっぱり判らなかった。
そしてもう一人の登場人物。
深窓の御令嬢。
花園リセである。
やはりどういう訳か俺は彼女と再び出会ってしまっていた。
そして前回ほどの親密さでは無いとはいえ、結局俺は週に一回ほどの頻度で花園リセの屋敷を訪問している。
もちろん、距離を詰めすぎないように細心の注意は払っているつもりだ。
もう二度と会うことは無いだろうとあれほど思っていたというのに、それでも俺は彼女に会いに行ってしまっている。
何度か繰り返すうちに世界は変わっていくのだろうか?
それとも変わってしまったのは俺の方なのだろうか。
そんな事をぼんやりと考えながら俺はなんとなく小泉のいる神社に向かっていた。
土曜日の午後。
給料日までまだ数日あり、給食もない。
所持金も食料も底をつきかけたので小泉に何か食べさせてもらおうと思ってのことだった。
最悪、茶菓子か何か出てくるだろう。
あるいは、カード付きの菓子の菓子部分だけでもいい。
重度の限界オタクの小泉ならウエハースとかチップスとか食玩の類いを大量に持ってそうでもある。
っていうか、この前にカートン買いしたとか言ってたような気がする。
腹が減っていた俺はとにかくなんでもいいから食いたかった。
暑さの残る気温の中、俺はゆっくりと神社への道を歩いていく。
境内へ続く道の角を曲がったあがりだった。
不意に、不思議な音がどこかから聞こえて来た。
微かな音だが確かに聴こえてくる。
どこから聞こえるんだ?
その音は鈴の音に似ていた。
だが何かが奇妙だった。
風に乗って聴こえてくる?
俺は周囲を見渡した。
周囲には誰もいない。
不意に音が鳴り止む。
一瞬の静寂に包まれた後、それは目の前に佇んでいた。
箱。
金属の箱で頭を覆い隠している人物。
四角い金属の箱は恐ろしい秘密を隠しているかのようにも思えた。
その瞬間まで気配をまるで感じなかったのに。
俺の身体は金縛りになったように動かなかった。なんだコイツは???
男か女かも判らない。
ただ、頭はゆらゆらと動いているようにも見えた。
箱人間。
ハコニンゲン?
ハコニンゲンは微動だにせず俺の目の前に立っている。
誰だ?
こいつは何だ?
その存在にに気圧されて俺は全く動けずにいた。
ゆらり、とハコニンゲンの頭が少し動く。
しゃん、と鈴に似た音が周囲に響く。
コイツは誰だ?
何もわからない。
だがこのハコニンゲンからはどこか懐かしい匂いがした。
俺は以前にコイツに会ったことがあったろうか。
凝視する俺を気にする素振りもなく、ハコニンゲンは俺に近付いてくる。
ソイツは自分の頭のてっぺんを開け、そこから何かを取り出した。
ハコニンゲンは俺に何かを差し出す。
俺は不思議と何も疑問に思わずそれを受け取る。
ひんやりとした感触が手のひらに触れる。
それはよく冷えたヤクルトだった。
「は!?ヤクルト!?」
我に返った俺は思わず叫ぶ。
目の前のハコニンゲンは消えていた。
なんなんだ一体?
っていうか、めっちゃキンキンに冷えてるんだけど頭の中は冷蔵庫になってるのか?
意味がわからない。
俺はヤケクソ気味でそれを飲んだ。
久しぶりに飲むヤクルトはやっぱり美味かった。いや、飲んでる場合じゃないのかも知れねぇけど。
これが新たな事件のスタートになるとはその時の俺はまだ気付いていなかった。
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